小説『俺はとんでもない人に好きになられたかもしれない!』
作者:72マヨ()

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5話「彼女ハ何故彼ヲ愛スルカ」






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翼「今回は、真登サイドです!」

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昔から好きになるとその人を常に追いかけていた。








それでも、友達に「変だよ」と言われるとそれなりに抑えてた。


せめて家の前とか、せめて5時までとか決めてた。







でも、高校に上がって、中学の友達が誰もいなくなった。
そして、ダイエットに成功したワケか、男が寄るようになった。
昔から男の子は大好きだった。




でも…



「俺と付き合ってくれない?」




そういうのはイケメンばかり…。。。




その日も男の誘いを断った帰りだった。


「あたしが求めてるのはこういうのじゃないのにな…」




「み、みさとちゃん!待ってよ!」


「離してよ!気持ち悪い!ついてこないで!」



そうそうこんな駄目男。
そして、こういう台詞が似合うたれ目のしょぼーんとした顔の…


「みさとちゃん……」


発見した。



変態レーダーが反応した。

こいつは、いける。




好きになった私は、迷わずその人の跡をつける。
私を止める友達はもういないから抑える必要もない。



そして、調べていった。

六条丞っていう名前も、
アイスが好きだってことも、
近所のアイス屋がお気に入りでいつもカフェモカを食べることも。







あんな駄目男なんだから生活もヒドイに違いない。
あたしはそんな理由から一日中ついてみることにした。




夕方、学校から帰ると、毎日のように歴同会っていう同盟のメンバーと集まること、
家に帰ると、すぐソファーに座って横になりながらテレビを見ること。
テレビがヒマになって、お姉ちゃんがまだ帰ってないとお姉ちゃんの部屋に入って少女漫画を読むこと。
御飯は好きな物から食べて、米は一番最後に一口で終われるように食べること。
お姉ちゃんがお風呂に入ってるときに覗くこと。
部屋に帰ってから寝るまでギャルゲーやエロゲーをすること。

朝は、駄目男なんだからお母さんにたたき起こされるに違いないと思っていたが先輩の起きた時刻は6時。


一週間見てて分かった話、
6時に起きるのは、お姉ちゃんが毎日6時半に起きるから覗いていたのだ。
まさかそこまで駄目男…。







今日も、いつものように先輩の様子をスケジュールに書き込んでいると
唯一の友達市川槇(いちかわまき)が近寄ってきた。


「何?市川」


「いや、あんた毎日良くできるよね」


「えっ?」


「六条先輩の追尾」




市川は、あたしのストーカーを止めない。
むしろおもしろがってるみたい。



「ったく、六条先輩のどこがいいの?姉弟揃いもそろってブサイクだってみんな言ってるよ」


「そうだね」


「…そうだねって…好きなんじゃないの?」


「だって、あたしブサイク好きよ」


「……。はぁ…あの3年生の熊迫先輩を振る理由はそれか…」


熊迫先輩。バスケ部のキャプテンでアイドル並みの整った顔に尋常じゃないくらいいい運動神経にトーク力。
いままで狙った女は百発百中だった。


でも、あたしを外した。





「というか、あんたっていつ寝てるの?家には?帰るの?」

「…いや、いくらあたしでも一日ずっとそこにいるわけじゃないよ!ちゃんと、家には帰ってる」


「いつ?」



「そりゃあ、先輩の生活習慣を調べた一週間は無睡だったけど、6時に起きて、12時寝るって決まってるから、私はそれに合わせて帰ってるよ」




そんな昼休みの女子の会話を教室の誰も聞いてないっていうわけもなく、
聞いてる人はまず、教室にいる同じグループの人にあたしの醜態を晒す。
そして、みんなしてこっちを一瞬見てから「えぇ…」というように引く。

男子も同様だ。






−キーンコーンカーンコーン


授業おしまいのチャイムを聞くとあたしは、すぐに荷物を持って教室を出る。
先輩に追いつくためだ。






「せーんぱいっ!」




咲間真登、今日も駄目駄目で変態な先輩が大好きです!








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