6話「彼女ハ彼トアイツヲ重ネテルトシカ思エナイ」
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翼「今回は、江島サイドでお送りします!」
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俺は、甲斐田江島。
「あ、甲斐田くんだ。顔かっこいいのに、ね」
そう噂されるは度々。
俺は、元々、そんな喋るタイプじゃなかった。
丞たちと話すまでは、なんにも知らなかったぐらいだ。
4月―
俺は静かに本を読んでいた。
「甲斐田くん。かっこいいよね」
そんなことは分かってる。
「甲斐田!」
そう言って俺の机の周りに集まったのは、丞と魁人。
「本読んでて楽しいかよ。俺等と遊ぼうぜ」
正直鬱陶しかった。
邪魔だった。
俺は一人でいたいのに、
なのに、こいつらが俺の世界を崩した。
「黙ってたら幸せが近寄らねーぞ」
えっ?
「だから、大声だしゃ幸せのほうが自分に気づいて近寄ってくるんだよ!」
なんだその理屈は。と笑えてきた。
「お、おぉぉ!甲斐田!お前笑えんじゃん!」
「えっ?」
「お前が笑ってるの初めて見た!」
「そうか…」
「あぁ。いいよ!お前!きっと俺等と気ィ合うよ!」
それは嘘だと思えた。
二人はクラスで、悪ふざけが過ぎる奴であり、エロさ全開の奴だった。
自分がそんな奴だと思ってもみないし、そんな奴と関わりたいと思った事もない。
だが実際遊んでみると、自分が元々そういう人間であったかのように、しっくりきた。
「だろ?江島」
「…名前…」
「俺は丞」
「俺は魁人」
「丞…魁人…。ヨロシク」
そうお互い名前を呼び合い俺等は仲良しになった。
なのに、
なのにだ。
なぜ真登ちゃんが来るんだ。
「きゃ、先輩カッコイイ!」
俺は、体育の着替えをしてる丞を覗いてる真登ちゃんを見つけた。
「おい、話あるから来いよ」
「江島先輩?」
―理科準備室―
「こんなところに呼んで、あたしをどうするつもりですか?」
「どうするつもりって…」
この女は全く。
「あのさ、丞が好きなのはあいつと重ねてるのか?」
「なんのことかさっぱりだよ。江島先輩」
「あいつにそっくりだよ。ダメなとこも、たれ目なとこも、エロいとこも、可愛い子が好きなとこも」
「だ、誰の事言ってるの?」
「分かってるだろ。あいつのことを一日だって忘れた事無いくせに」
「なんで、そんなこと言うのよ」
なんでそんなことを言うのかだと?
「そんなもん、丞の迷惑だからに決まってるだろ?」
「先輩の為?なに?江島先輩はそういう趣味があるわけ?」
「いいのか?だんだん口調が荒くなってるぞ」
「なによ」
「お前な、あいつと重ねて、あいつのように消えるんじゃないかと心配してストーカーして」
「うるさい!」
「本当にそう思ったんだろう?そっくりだもんな。丞と。瓜二つだ。だから好きになったんだろ」
「何が分かるって言うの?」
「いや、分かっちゃいないさ。ただの憶測だ。ただの俺の考えさ」
「だ、だったらなんで…」
「あぁ。図星だったか?そうだな。あれからあいつの部屋に入り浸ってるお前を見てるわけだから憶測と言ったって、ちゃんと筋と根拠があるわけだからな」
「なんであんたがそれを知ってるのよ」
「本当に、お前は俺の情報網を嘗めすぎてないか?」
「……」
「お前は、丞のことなんか好きじゃない。お前は、丞を通して明を見てるんだろ?」
「……うるさい。黙れ!あんたが父さんの名前呼ばないでよ!お兄ちゃんに何が分かるのよ!」
真登がそう言い放ったとき、理科準備室の扉がガタッと鳴った。
まぁ、来るとは思っていたが。
「なぁ、江島、どういうこと?」
「…俺と真登は血のつながった兄弟だよ」
「は、はぁ!!!!!!!!!!」