小説『IS<インフィニット・ストラトス>〜ロスト・エボリューション〜』
作者:優雅()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>






【プロローグ2 過去の記憶!一夏は漢と出会う!】

その時、俺はただ恐怖で震えていた。
中学生にもなって、怖くて震えてるなんて情けないなんて言う奴は、俺と代わってほしいくらいだ。だって、まさか姉の応援のために異国の地…つまりは、外国に来て誘拐されるなんてな…
俺はこのままどうなるんだ…?相手の要求は何かわからないし、なんで俺が誘拐されたのかなんてもっとわからない。でも、この後、俺はどうなるのかは、何となくだけどわかる。………俺は、きっと殺されるんだ。
死にたくない、そんな感情が心を占めていく。
助けて欲しい、そんな願望で溢れていく。
生きたい、そんな欲望が俺の体に満ちていく。
そんな思考ばかりが、俺の頭を駆け巡っていった。
そして、誘拐犯たちは、相手との交渉を終えたらしく、俺の頭に拳銃を突きつけてきた。
嫌だ…死にたくない…俺は、死にたくない!
つい、自分の中の思いを叫んでしまった。だけど、どうやら逆効果だった。俺の頭に拳銃を突きつけてくる誘拐犯は、口を歪め笑みを作っていた。そして、その人差し指が拳銃のトリガーを引くために力を込めるのがわかる。
ごめん、千冬姉…いつも、心配ばっかかけて…ずっと迷惑をかけてたのに、恩返しもできなくて…
頭の中に、今まであった出来事が頭に浮かぶ。ああ、これが走馬灯ってやつか…俺は、もう死ぬのか……
諦めかけた瞬間、突然、奥の方から誘拐犯の一人が吹き飛ばされてきた。
俺を含め、当然の如く、誘拐犯たちも驚く。いきなり、何が起こったんだ、一体。
驚きの次に感じたのは、風だった。突風のようで、どこか温かみを持った風。
一瞬、風で目がくらむ。そして、次に目を開くと、そこには…学ランを羽織った虎のような人がいた。誘拐犯が何か叫んでいるが、生憎外国語なんてわからない俺には、何を言っているのかわからない。だけど、虎のような人が話す言語は解った。

「儂が誰かじゃと?儂の名は、バンチョーレオモン!漢の中の漢じゃ!!弱きものをさらい、命まで奪おうとする貴様らを儂は許さん!!」

虎のような人改め、バンチョーレオモンのその言動や姿は、まさに正義の味方のようで格好よかった。俺に振り向き、頭に手を起きながら「待っていろ。直ぐに、終わらせる」と言われなぜだか知らないけど、すごく安心できた。
そして、バンチョーレオモンと誘拐犯たちの戦いは始まった…だけど、これは戦いなんて言わない。ただの圧倒的な、力でバンチョーレオモンが誘拐犯たちを叩きのめしていた。きっと、日曜にやってる戦隊物を見ている子供は、こんな気持ちになるんだろうと、バンチョーレオモンの強さに憧れながら、見ていた。
だけど、誘拐犯はISを出してきた。
IS…女性だけが乗れる、マルチパワードスーツ。その力は、現在存在する兵器なんて、圧倒的に凌駕する力を持っている。
俺は、もう駄目だと思った。俺は、バンチョーレオモンに、ISには勝てない…もう逃げてくれと行った。だけど、バンチョーレオモンは「漢たるもの!決して背を向けず!漢はこの背を地に付けぬ限り、絶対に負けぬ!!」とどこからか刀を取り出し、言い切った。
そこからは凄かった。刀から放たれた真空波は、ISを楽々と切り裂き、光り輝く拳は殴るだけで、ISの装甲を木っ端微塵にした。
いつしか、倉庫の中で意識を保ってるのは、俺とバンチョーレオモンだけだった。
バンチョーレオモンは、最後に俺を縛っている縄をちぎり、開放してくれた。そして、背を向け、去っていこうとした。
俺は、気がつくとバンチョーレオモンを呼び止めていた。そして、どうしてそこまで強くいられるのか聞いていた。
バンチョーレオモンは、振り向かずに「どんな状況でも、己の信念を貫き通す!それを成す者こそ、真の勇気を持つ者なり!真の勇気を持つ者こそ、どこまでも強くあれるのだ!」と言った。
俺は、その姿を目に焼き付けた。真の勇気を持つ漢…俺の目指す姿を…
バンチョーレオモンは、最後の「儂のことは、番長でいい」と言い、光の中に消えていった。
その後、すぐに千冬姉が俺を助けに来てくれた。こうして、俺の誘拐事件は終わった。
だけど、目を閉じれば何時でも思い出せる。番長の姿を…いつか、俺は番長のように、みんなを守れる漢になりたいと、強く誓ったんだ。


* * *


「って、思ったことあったけどさ…」

あの誘拐事件から、3年の月日が経った。
俺は、あの時俺を助けてくれた番長みたいに強くなりたくて、やめちまった剣道をまたやり始めたり、体を鍛えてたりしたけどさ…さすがに、こればっかりはこまったものだ。
だって、今目の前にあるこれから俺が通う学園…それは、IS学園。ISの操作とかを学ぶ学校……つまりは、女子校。
いくらみんなを守れるような漢に名有りたいって思ってもさ、女子高はないだろ!!
はぁ、本来ならIS学園じゃなくて藍越学園の入試を受けるはずだったのに…何故か、藍越学園の入試会場じゃなくて、IS学園の入試会場に行って、しかもISを動かしちまうなんて……

「あぁーもう!迷っててもしょうがない!どんな状況だって自分の信念を貫く!それでいいじゃないか」

そうだ!番長だってそう言ってたじゃないか。それに、俺は番長みたいな漢になるって決めたじゃないか!こんなことでうだうだ言ってられるか!
この学園で、俺はもっと自分を磨く。そして、いつか番長みたいな漢の中の漢になってみせるぜ!!




次回予告

愛する者との死別。

それは幼き少年の心に深く刻まれるのだった。

次回【プロローグ3 永遠の別れ!前を向く思い】

世界の常識を覆した時、物語は始まる

-3-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




IS <インフィニット・ストラトス> ポス×ポスコレクションVol.2 BOX
新品 \3680
中古 \
(参考価格:\4200)