もはや子供二人を養えないと判断した母は僕と妹を捨てたのであった。
消えた母を泣きながら捜す僕らが国軍兵士に拘束されるのにさほど時間はかからなかった。
平民の資格を失った者を通報した者には1500セドルの報奨金が支払われる。
平民にとって1500セドルは大金だ。きっと僕らを見かけた平民達は通報するために国軍駐屯地に押し寄せたに違いない。
“人しての誇り”など吹けば飛ぶ程脆いものなのだ。死病に蝕まれた王国においては。
ギルバート=スチュアート=ミル。10歳。
シャーリィ=スチュアート=ミル。8歳。
王記672年。僕らは人畜に堕ちた。