小説『ボーンシルヴィアの罪』
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僕らは王国西部、エリスグール収容所に収容された。王国西部では宝石となる原石がよく採れる。

エリスグール収容所は原石採掘を主な業務としている。その業務は過酷を極めた。
エリスグール収容所は人畜の死者を何処よりも多く出す悪名の高い収容所として知られている。

朝6時起床。朝7時より、業務開始。

朝6時起床。朝7時より、業務開始。

原石を発掘するために坑道で一心不乱につるはしを振り下ろし続け、35キロにもなるカゴを4キロも運び、それを何往復もする。そんな過酷な業務が夜9時まで続く。食事は1日1回。水とカスみたいな具材しか入っていないスープが一杯。それだけ過酷な仕事をして、1日に支払われる賃金はわずか10セドル。うち7セドルは税金及び、維持費として持っていかれる。僕らの手に残るのはわずか3セドルであった。人畜から解放されるには1000セドルが必要であった。僕と妹2人で2000セドル。

絶望に打ちひしがれるわけにはいかなかった。僕には妹シャーリィがいるのだ。シャーリィを解放するためにも最低1000セドルは稼がなくてはいけない。僕は母とシャーリィを守るために死ぬ事が出来なかった。だから今度は―僕がシャーリィを救う。そんな僕に絶望する事など許されなかった。

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