小説『ボーンシルヴィアの罪』
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気が付いた時には、僕は医務室のベッドに横たわっていた。

「気が付いたか」

ベッドに腰をかけていた兵士に気づいて慌てて身構える。

本を片手に時間を潰していた兵士は、開いた本を閉じ優しく語りかけてきた。

「心配はいらない。俺は君に危害を加えない」

「…」

「自己紹介がまだだったな。俺はジャック=エンノイア中尉。エリスグール収容所の管理将官だ。サンチェスには俺から言っておく。すまなかった」

ジャック=エンノイア中尉はそう言って、頭を下げた。

僕がエリスグール収容所に収容されてから人畜に頭を下げる兵士を見るのは初めてだった。

ジャック中尉は軍服が似合う精悍な男だった。
右頬に刻まれた大きな傷は戦場でつけられたものだろうか。
僕はジャック中尉に対して次第に警戒を解いていった。

そんな僕の様子を見てジャック中尉は微笑む。

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