小説『ボーンシルヴィアの罪』
作者:()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

僕は駆け出していた。
とっさに周囲を見渡してジャック中尉の姿を探す。
見つからない。
後方では歓声と僕を冷やかす声が聞こえる。
僕は森林地帯に逃げ込んだ。
酔っ払いの放つ弾丸が僕に当たるものか。
万が一の時はこの木々達が僕を守ってくれる。
必死にそう思いながら僕は森を駆ける。
やがて狩りの開催を宣言するかの様な銃声が轟いた。
ほぼ同時に僕の真横にあった木が破裂した。
―本当に撃ちやがった。
衝撃が僕を襲う。
後方の歓声はますます大きくなっている。
屑共が。
やはりここには絶望しかないのか。
畜生。
いつか皆殺しにしてやる。
僕は殺意を新たに森林を駆ける。

-20-
Copyright ©樹 All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える