小説『ボーンシルヴィアの罪』
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「こんなに綺麗な場所はここしかないんだって」

シャーリィは屈託のない笑顔を浮かべている。

僕は近くにあるボーンシルヴィアの花を手にとった。
草径は30センチから50センチ。6枚の赤い花弁が鮮やかだ。
花に鼻を近づけると甘酸っぱい香りがした。
この2年間で受けた心の傷が少しずつ癒されていくのを感じた。

シャーリィもボーンシルヴィアを手に取って僕に問いかける。

「ねぇ、お兄ちゃん。なんで花は絶対に枯れちゃうって知ってるのに咲こうとするのかな。種から芽が出て、ぐんぐん成長して花が咲いても絶対に最後は枯れちゃう。それなのに花は咲こうとするのをやめない。だから花は綺麗なんだよ。きっと」

?まるで僕らの様だね?とは言わなかった。

「あぁ、そうだな。そうだと思う」

「きっと、人の生き方も同じなんだよ」



たとえ最後は必ず枯れるとわかっていても、与えられた本分を全うして生きる。


尊い言葉だと思った。


ここにきてから最も心に響く言葉だった。

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