小説『ボーンシルヴィアの罪』
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その時、僅かだが僕を呼ぶ声が聞こえた。
「シャーリィ?」
僕は周囲を血走った目で見渡す。
確かに、聞こえた。
「シャーリィ!いるのか!返事をしろ!」
また、声が聞こえた。
僕は全ての神経を聴覚に集中し、か細い声の出所を探る。
声は僕の後方の瓦礫の下から聞こえる。
「シャーリィ!そこだな!?そこにいるんだな!?待ってろ!今助ける!」
僕は瓦礫の除去作業にあたっていた人畜たちに協力を求める。
屈強な大人たちと力を合わせて瓦礫を退ける。
渾身の力を込めて瓦礫と向かい合う。
そして、瓦礫のわずかな隙間から血まみれのシャーリィの姿が見えた。

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