小説『ボーンシルヴィアの罪』
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「シャーリィ!」

「見えたぞぉ!運び出せ!」

瓦礫の中からシャーリィを運び出す事に成功したが、シャーリィの意識はない。

「坊主!ここじゃまたいつ落盤があるかわからん!その子を早く外に運び出せ!」

「はい!」

僕はシャーリィを抱きかかえたまま坑道を駆け、坑道を脱出した。

シャーリィは血まみれでもはやどこを怪我しているのかもわからない程だった

医学の知識を全く持っていない僕でもシャーリィは瀕死の重傷だとはっきりとわかった。自分ひとりじゃどうにも出来ない。

僕は近くで呑気にタバコを吸っているサンチェスにすがりついた。

「医者を呼んでください!妹が…妹が重傷なんです!医者を呼んでください!お願いします!」

懇願。
まさに懇願だった。

サンチェスは泣きながら懇願する僕を見て、あの不気味な笑みを浮かべる。

「………出す?」

「え?」

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