小説『ボーンシルヴィアの罪』
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「いくら出すかって聞いてんだよ」

最初は何を言っているのかわからなかった。

「ほら、可愛い可愛い妹が死にそうなんだろ。兄貴としての優しさを見せてやれよ」

僕は絶句した。とても人間が吐く言葉とは思えなかった。

「医者を呼びに行く労力も考えるといくらになるのか想像出来んなぁ」

「出します!いくらでも出します!10年でも!20年でも!一生タダ働きでもいい!僕にはもう妹しかいないんだ!たった一人の妹なんだ!助けてください!お願いします!」

「却下だ」

サンチェスは大きな笑い声を上げながら背を向けた。

その時、僕の中で何かが決壊した。
気が付いた時には、僕はサンチェスに飛び掛かっていた。
あっという間に複数の兵士達に囲まれ、暴行を受け、懲罰室に連行された。
 
シャーリィの助命を乞う絶叫は誰の耳にも届かなかった。
 
懲罰室で執拗な暴行を受け続けた。
僕は懲罰室の冷たい鉄格子を掴み、シャーリィの名を泣きながら叫ぶ。
 



サンチェスが笑いながらシャーリィの死を告げた2日後の事だった。

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