小説『ボーンシルヴィアの罪』
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墓は、自分で建てた。
墓穴は、自分で掘った。
地面を素手で2メートル以上掘るのは並大抵の事ではない。
手の皮が剥け、爪が剥がれて血まみれになった。

「畜生…畜生…!」

僕は泣きながら墓穴を掘る。
固い土を掘る度に激痛が奔ったが、そんな事は一切構わずに僕は墓穴を掘り続ける。
やっとの思いで掘った墓穴に、シャーリィを静かに横たえる。
シャーリィに少しずつ土をかけて埋めていく。
シャーリィを埋めるのと同時に、僕の人間としての心も、埋まっていく様な気がした。
墓にはシャーリィが心から愛した花、ボーンシルヴィアを供えた。
僕はシャーリィの墓の前で膝を付きうずくまった。
涙が、止まらない。

心を砕かれる痛みが涙となり、嗚咽となり、夜の静寂に溶け込んでゆく。

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