小説『ボーンシルヴィアの罪』
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そんな僕の心を見透かしたのかグレマン准将は苦い表情を浮かべた。

「儂はたまたま運が良かっただけだ。兵を半分失った」

そりゃあそうだろう。
 
当然だ。
 
グランフェルド平原でラッツィンガー少将と共にアルスター街道防衛戦を繰り広げていたが、功を焦って独断専行でクリミア帝国本領軍一個旅団に浸透突破を実施。その結果兵力の半分を失っておめおめと王都カサンドラに帰ってきたのだから。
 
しかし、通常であれば旅団兵力の半分を損失するという大失態を犯せば良くて罷免、悪くて問答無用で処刑だ。名門貴族出身だから責任を問われる事もなく、それを当然と言わんばかりにぬけぬけと統合作戦本部に顔を出す。

能力がないばかりではなく恥も知らぬとは。

グレマン准将の軍服で輝きを放つ勲章も泣いているに違いない。

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