小説『ボーンシルヴィアの罪』
作者:()

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数週間後、兵士達が僕の自室に怒鳴り込んできた。

「どういう事ですか!?なんで俺等があんな所に行かなきゃならんのですか!」
「熟慮の末の結果だ。人事部局からの認可も下りている」
「そんな…莫迦な!何故…よりにもよってロディアスなんですか!」
「不安か」
「ッ!」
「君らが訓練を怠っていなければ生還の可能性は上がっているはずだ。弱いものいじめに明け暮れるからそうなる。違うか」
「………!」
 
ロディアス湿原攻防戦という名の死刑宣告を受けた兵士達は僕を呪殺しかねない目で睨む。
僕は殺意、憎悪に滲んだ視線を一身に浴びて心が沸き立つのを感じた。

「まぁ、君らは人畜を殺し過ぎた」
「は!?あんな屑共を何人殺したって…!」
「2813人」
「は!?」
「この数字が何を意味しているかわかるか。過去5年間のエリスグール収容所における人畜の死亡者数の平均だ。確かに彼らは貧しい。だが、その能力は君らに劣るとは言えない。君らを遥かに凌駕する才能の持ち主もいただろう。君らは、そんな彼らの可能性を踏みにじり過ぎたのだ」
「…」
「命令拒否は許さん。命令の拒否及び逃亡は死罪だ。ここで死ぬかロディアスで死ぬか選べ」
 
兵士達は顔面を蒼白にしながら絶句している。
 
僕はにっこりと笑った。
 
一人も逃がすつもりはなかった。


 
結局285人の兵士達のうち182人が逃亡未遂によって捕縛、銃殺。
残る103人がロディアス湿原に派遣され、全員の戦死が確認された。
彼らをすぐに殺す事は出来た。
だが、彼らには絶望を存分に味わって欲しかった。

最初の復讐を果たした時は絶頂にも似た快楽がもたらされた。

 

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