その日、僕はアルボラにあるバーでグラスを傾けていた。 その傍らには『ファック!』と連呼しながらウィスキーのグラスを次々と空にする大男。 「まったく、やってられんぜ。うちの王様は底なしの莫迦だな。ファック!」 酒と女をこよなく愛し、『ファック!』が口癖の大男――カルナウ=バロウ大尉もまた、僕と同じくグラス中将が実施した特別訓練の生き残りだった。