小説『ボーンシルヴィアの罪』
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「私の実施する訓練についてこれない者はこうなる。わかってもらえただろうか。諸君」

「はいっ!」
 
選択肢などなかった。此処に流れ着いた時点で。

「理解してもらえた様だな」
 
グラス大佐が懐から煙草を取り出すとすかさず従兵が火をつける。
グラス大佐はタバコの煙を盛大に吐き出しながら続ける。

「ここで諸君らに一つ、アドバイスをしよう。全ての分野を極める必要はない。戦争は白兵戦、銃撃戦、砲撃、斥候、兵站業務、部隊指揮、参謀教育など多岐に渡る。諸君らの好きな事でも、得意な事でも何でも良い。全てを極めようとせず、限定された分野を極めろ。そして、選択した分野において他の追随を決して許すな。これが私が諸君らに送る、最初にして最後の生き残るためのアドバイスだ」
 
グラス大佐は煙草を揉み消した。

「さて、2年後には何人生き残っているかな。楽しみだ」
 
グラス大佐は笑った。
 




頭を打ち抜かれた少年の遺体が従兵によって運ばれていくのが見えた。

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