小説『ボーンシルヴィアの罪』
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32人の訓練生を4人組に分けての実践訓練。銃器、爆薬、凶器の使用、訓練生同士の殺害を全て許可。食糧などは支給されるが、その後は自給自足及び敵から奪い取る事。訓練生が16人になるまで試験は継続される。他人を殺して生き延びるべし。それがグラス大佐から課せられた卒業試験だった。
 卒業試験が開始されてから広大な森林地帯を舞台にした殺し合いが幕を上げた。
 ある者は突撃を敢行し、ある者は用意周到に罠を張り巡らせ、ある者は敵に協力を呼びかけ、ある者は狂を発し、容赦なく命を絶たれた。
 僕たちは自らの生き残りを懸け、あらゆる戦闘行為、あらゆる策謀に手を染めた。主に実践訓練に使用されていた広大な森林に悲鳴と怒号、銃声と爆音で構成される戦場音楽が縦横無尽に響き渡る。
 引き金を引くのに躊躇いはなかった。訓練生が頭蓋の中身を盛大にぶちまけても心は動かなかった。僕と同じ組の訓練生は?地獄だ?と言って頭を抱え、呻く。地獄?地獄だと。笑わせるな。僕はこんな状況などとは比較にならない地獄を潜り抜けたのだ。最愛の妹の死に比べれば、こんなものなど、ただの日常風景だ。
 ここまで生き残ってきた訓練生なだけあって、さすがに手強かった。結局16人まで訓練生が減るのに40日間もかかったのだった。
 泥と血で薄汚れた僕らを見て、グラス大佐は満足気に頷いた。

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