小説『ボーンシルヴィアの罪』
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「よくやった。諸君。さて、これが本当の最終試験だ。今から諸君を2人組に分ける。相手を殺して、その肉を食え。それを達成した時点で諸君らはここから解放される」

僕の相手は同じ組で共に励ましあった戦友だった。お互いナイフを1本持ち、刃を交える。
お互いの刃が接触する度に火花が散る。
 
刃が戦友の肉を抉る感触が手に伝わる。
戦友の悲鳴と苦悶の表情がその生々しい感触を彩る。
戦友の突きを躱し、懐に潜りこみ、刃を首に滑らせる。
首から大量の血液を吹き出し、くぐもった悲鳴を上げながら戦友は倒れ込んだ。
荒い呼吸音。
戦友は虚ろな目で僕を見上げる。
―すまない。
僕はまもなく息絶える戦友に、視線で訴える。
戦友は小さく、頷いた。
僕は、戦友の肉を喰い、生き延びた。
――生きる。
僕は絶対に死ねない。
シャーリィの仇を討つまでは。
僕の力の根源は?憎しみ?だ。
シャーリィを殺した全てへの深い憎しみが僕の人間性を奪い、代わりに力を与えた。
もはや戻る道などない。
たとえ地獄に堕ちようが、畜生に堕ちようがこの復讐を完遂するために行使し尽くしてやる。
その?力?のすべてを。
 

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