小説『ボーンシルヴィアの罪』
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「なんで」
「国民感情の悪化が著しい。生存税の増税に加えて、クリミア戦役が始まってからも続く上層部の贅沢三昧に怒り心頭。ってところだな」
「まぁ、そりゃそうだ。でもよ。反乱を起こした所でまた鎮圧されておしまいなんじゃねぇの」
「今までの反乱が鎮圧された理由は唯一つ。数が少なかったからだ」
「…」
「数千人規模の反乱ならカサンドラに常駐している完全武装の軍だけで鎮圧出来る。だが、反乱に参加する人間が数万人、数十万人規模になったらどうなる。平民だけでなく、各収容所の人畜までも反旗を翻したら。さらに軍の武器庫であるヴィヴィルテット要塞が陥落し、常駐する兵士達の武器が奪われたらどうなるか」
 
カルナウ=バロウ大尉はニヤリと笑う。

「軍は、壊乱する」
「そうだ。まぁ、それでもカサンドラの全戦力に対して真っ向から喧嘩を売るんだ。もっと腹が痛くなるんじゃないのか。バロウ?」
「はっ!そうなったら可愛いねーちゃんに腹さすってもらうわ。楽しくなってきたな。おい。まずはアルスター街道防衛戦だな。」
「そうだ。僕らの邪魔はさせない。恨みはないが、クリミア帝国本領軍の皆様には地獄を見てもらう」
 

そうだ。
 僕の復讐は、僕のものだ。
 邪魔などさせるものか。

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