小説『ボーンシルヴィアの罪』
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クリミア帝国本領軍二個旅団とグレマン准将とラッツィンガー少将の殴り合いは当初は互角だった。

アルスター街道防衛戦から6日後、敵旅団が大きく壊乱したのを良い事に、グレマン准将はあろうことか敵本営への浸透突破を独断で実施。ラッツィンガー少将の再三の撤退命令を無視し、敵陣に突撃したグレマン准将率いる第5旅団は持ち直したクリミア帝国本領軍二個旅団からタコ殴りにされ、撤退。その戦力の半分を喪失するという大失態を犯した。
 
互角の戦いから一転、絶体絶命の窮地に陥ったラッツィンガー少将は何とか持ち直し、未だアルスター街道を守り抜いている。仮に第6旅団を率いている将軍がラッツィンガー少将でなかったら王国はとっくの昔に滅亡していた事だろう。
 

命令違反を理由にラッツィンガー少将はグレマン准将をカサンドラにたたき返し、上層部に対して?もっとマシな奴を寄越せ?と怒りに満ち満ちた要望書を叩き付けた。こうした紆余曲折の果てにアルスター街道に向かっているのが僕らという事になる。

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