小説『鬼畜の宴』
作者:ウィンダム()

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  それから銀行なんかに行くと、他のお客さんは番号で呼ぶのに私だけ名前で呼ぶ。
  これは郵便局に行っても同じことが起きる。
  いつだったか銀行で新たな口座を作ったときのことなんですが、
  暗証番号を決めるとき、わざと口にして番号を復唱する年配の行員がいましたよ。

  ほう、それは酷いですね。
 
   ええ、私は怒鳴りつけてやりましたよ。

その後もL氏は話し続けていった。

結局L氏はその後も続く職場内でのハラスメントに我慢できなくなりその会社を自主退職へと追いやられて行く。

体よくリストラされてしまったわけだが、ところが会社をリストラされても相変わらず被害が収まらない。
リストラの目的が達成されたならばLに用はないはずである、だが、現実はそうではない。
リストラ後も執拗に組織的付き纏いやハラスメントが起こり続ける。

こうしてK氏とL氏の2名を取材して考えるべきは、K氏とL氏は互いに面識もなく住むところも違うし職業も違う。
にも関わらず二人とも同じような体験をし、且つ、現在も続いているということだ。
これを偶然の一致といえばそう言えるだろう。

そこで私はこれらが果たして偶然か否を明確化するため、
できるだけ多くの集団ストーカー被害者を取材する必要性を感じ取る。
私は取材対象者を一騎に10数名に増やし各自に取材を打診したところ、全員が快諾してくれた。

こうしてK氏とL氏を含めて10数名を取材したところ、
全員が異口同音に同じような体験をしていることが判ってきた。

事態がここまでくれば偶然の一致で片づけることはできなくなってくる。
取材した対象者はすべてお互いに面識はなく居住場所も職業も違うし勤務先も違う。
にも関わらずに全員が同じような体験をしているということは、
広域にわたって『何か』が生じていたとしか言いようがない。

さらに私はこうした被害体験を分類したところ以下の2種類に大別できることが分かった。
それは、

(1)原因を特定できるグループ

(2)原因を特定できないグループ

さらに『(1)原因を特定できるグループ』については概ね2種類に分類できることも分かった。

  ?カルト系集団ストーカー被害
  ?企業系集団ストーカー被害

『(1)原因を特定できるグループ』については、ある程度の説明が可能であり比較的理解しやすいが、
問題なのは、『(2)原因を特定できないグループ』だ。

或る日を境に、突如として身辺に異変が起きるが、なぜ自分の身に降りかかってきたのか皆目見当がつかない。

怨恨でも逆恨みでも、その他トラブルでもない。
全く身に覚えがないにも関わらず、突如として集団ストーカー被害に巻き込まれていく。
これは全く不可解なことでありひとつの謎だ。

こうした身に覚えのない、原因を特定できないケースとしてM氏の体験がある。

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