小説『鬼畜の宴』
作者:ウィンダム()

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  私としては議員も関与していると考えるしかありませんね。

  議員も? ほほう、といいますと?

  まず、議員というものを考えますと、基本的に議員は立法府において法案を作成するわけです。
  が、現実には殆どの法案は役人が作成している。
  これはよく知られた話です。
  また、法律と言うのはあらゆる状況を想定して作成されるものです。
  こうしたことを考えると『ストーカー行為等の規制等に関する法律』は、
  最初から定義を色恋沙汰に限定したザル法として作成されたものなのか否か?
  という疑問が浮上してきます。
  法律の作成があらゆる状況を想定し作成されるという観点に立つならば、
  現行のストーカー規制法が、最初から定義を限定させものとして作成された、
  とは考えにくいものがあります。
  当初の原案は定義をもっと総体的なものとしていたのではないかと思えます。
  なぜなら、『つきまとい』というものが色恋沙汰のみに起きうるとは考えられないからです。
  色恋沙汰以外に怨恨や嫌がらせによる『つきまとい』の場合もあるわけです。
  であればそれに沿ったものとして定義づけするのが自然なはずです。
  法律を作成するうえで、こうした点を最初から排除して作成されていた場合、
  するとそれを作成した役人達も集団ストーカーを規制の対象外にするために、
  意識的にザル法を作成しことになり、さらにそれを議員らが何も考えずに、
  無批判に可決したことになります。
  こんなことは到底考えられないことです。
  実際にこの法律が可決されるまで紆余曲折があったと聞いています。
  当初は色恋沙汰に限定せず、また組織的な場合も盛り込んだものとして作成が進められましたが、
  一部の政党がこれに反対したという。
  つまり一部の議員たちが反対したわけです。
  となればこの議員たちは集団ストーカーを規制の対象外にするため、ストーカーを規制する法律を、
  規制対象となる行為について公権力介入の限定という美名を建前に、恋愛感情に関するものに限定
  したとすれば、
  それは恋愛感情以外の『怨恨』『嫌がらせ』『見せしめ』『カルトの仏罰』『カルトの地獄に落とす』
  といった悪意を持った組織的なストーカを不問にし定義の埒外ということで公権力を一切介入させない
  ことにしてしまったということになります。
  こんなおかしな話をすべての議員が何も考えずに無批判に可決させたなんて考えられない。
  当然、定義を恋愛感情云々に限定させることを反対した議員さんたちもいただろうと思いますよ。
  ですから私は、一部の議員らが悪意を持った組織的ストーカーを規制の対象外にしたと考えています。
  すると集団ストーカーは『政治権力』を背景とした『犯罪組織』という図式を描いていくことが
  可能となるわけです。
  『政治権力』と『国家権力』は切っても切り離せない関係である以上、
  冒頭で私が言った『国家権力にまで及ぶ』という意味がこれでご理解いただけるものと思います。

私はX氏の説明から、彼の言う集団ストーカーと国家権力との関連をこれで理解することができた。
集団ストーカー被害を一切関知しない警察当局、被害者を門前払いする警察当局。
その理由がストーカー規制法の定義にあるとすれば、このような定義に限定させてしまった一部の議員、
つまり『一部の政治権力』という図式が浮上してこ来ざるを得ない。

  するとXさん、集団ストーカーは『政治権力』に守られた『犯罪組織』ということが言えますが、
  その点はどうでしょう?

  ええ、その通りでしょう。
  集団ストーカーは『政治権力』によって守られていることになります。
  私は思うのですが、『政治権力』というよりも『この世の支配権力』によって守られているというか、
  『支配権力の見えない暴力装置』、それが集団ストーカーではないかと睨んでいます。
  というよりそう考えないと、カルト系の集団ストーカーだけでなく、
  企業系のリストラストーカーを説明できないからです。
  この両者は同じもので、単に目的と用途に応じて使い分けされているに過ぎないと考えています。

  ふうむ・・・、なるほど。

  そしてこの『支配権力』のひとつに警察権力が組み込まれていると考えた場合、
  集団ストーカー被害者が一様に体験する、パトカーや救急車、消防車、警察ヘリ、
  さらにはタクシーその他のタイミングの良い遭遇といった不可解な出来事が、
  なんであるが見えてくるわけです。

  はぁ、その話ですか、私も取材した被害者の全てが同じようなことを話していましたね。
  なぜこのような不可解なことが起こるのか、その点についてどのように考えてますか?

私の問いにX氏はすかさず答える。

  はい、それは生活安全条例に基づいて導入された警察防犯ネットワークが関わっている。
  というよりもそれが乱用されていると観ています。

  警察防犯ネットワーク? それはどういったものでしょう? 
  そしてそれが乱用されているというのは?

私の問いにX氏は語る。

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