小説『鬼畜の宴』
作者:ウィンダム()

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■警察防犯ネットワークシステム■

これは1990年代から警察が進めてきた『安全・安心まちづくり』を基に構築された大規模な監視システムインフラと呼べるものであり、
このネットワークは、『ソフト面としての地域安全活動』と『ハード面のとしての犯罪防止に配慮した環境設計活動』の2つの施策から成り立つ。


(1)『ソフト面としての地域安全活動』

 ■アメリカの「コミュニティポリシング(Community Policing)」を基にした施策。

 ■その特徴は、警察が積極的に地域社会に入り自治体・住民・ボランティア団体などと連携して
  防犯活動を行うもので、事件発生前の予防先行的活動となってい.

そしてこの施策は警察主導によって1994年から1995年にかけて研究・紹介・具体化し、地域住民などによる「自主防犯活動」の組織化を支えてきた。

(2)『ハード面のとしての犯罪防止に配慮した環境設計活動』

 ■これももアメリカの施策を元にしている、具体的には、

 「環境設計による犯罪予防(Crime Prevention through Environmental Design)や、
  イギリスの「状況的犯罪防止手法(Situational Crime Prevention)」。

 ■その特徴は道路、公園、駐車・駐輪場、公衆便所、マンションなど共同住宅での見通しの確保と
  『防犯カメラ』 (監視カメラ)など防犯設備の整備を進めるものとなっている。

そしてこの施策も警察主導によって1997年から2000年にかけて研究・紹介・具体化し、本来警察の任務ではない「まちづくり」に口出しをしたり、監視カメラの設置を進めてきた。

このような欧米の防犯施策を基にして構築された防犯ネットワークが、具体的にどのようなものに構築されてきたかは以下の通り

 ?1994年に警察庁生活安全局が発足し「生活安全警察」が提唱される

 ?全国防犯協会連合会等によって生活安全条例の制定が推奨される。

こうした流れから生活安全条例が自治体主導ではなく警察とその外郭団体主導によって全国で制定されてきたことが判る。
そしてこの警察組織と民間組織間のネットワークが構築されていく。
それは、

 ■民間交番設置、自警団結成、パトロール隊を組み込んだもの。

そしてその詳細は、

 ■警察署の生活安全課、消防署、警備会社、タクシー会社、新聞販売店、郵便局、宅配業者、消防団、
  コンビニ、防犯連絡所、自警団、一般企業等多岐にわたる。
  防犯ボランティア団体も警察及び実質的な外郭団体主導で設立され、地域パトロール隊といった、
  例えば、わんわんパトロール(犬の散歩とともにパトロール)、
      りんりんパトロール(女学生による通学時パトロール)等として防犯活動をしている。

こうしたことすべての司令塔が警察となっているのが、生活安全条例に基づく警察防犯ネットワークだ。
警察組織の指揮系統から考えれば、警察庁に設置されている『生活安全局』を司令塔として、そしてその隷下に各都道府県警察の『生活安全課』が設置されていることが判る。
ついでにこれらが警察と利害関係のある防犯業界、つまりはセキュリティ産業を潤していることも見えてくるだけでなく、
こうした業界に警察OB・OG、つまりは定年退縮者らの再雇用に一役買っていることも見えてくる・・・。

X氏の解説から、私はいつの間にかこの社会に警察主導の監視体制が構築されてきたことを知る。
そしてこの監視体制を知れば知るほど極めて危険なものであることも見えてくる。

こうした社会に存在するあらゆる団体組織を網羅している監視網、それは戦時中の国家総動員体制にも似た社会的総動員体制ともいえるウルトラ監視網・・・。

このような監視網が恣意的に運用された場合の状況を想定したとき、そこに何を見出すだろうか?
さらに警察とつるむ政治権力を背景とする特定の組織集団によってこの監視網が乱用された場合、そこに何を見出すだろうか?

そう考える私は突然悟る。

もし、警察あるいは警察とつるむ特定の組織集団にとって『目障りな者』がいたとした場合。
例えば権力犯罪や汚職やその他社会的不正その他を追及する特定の誰かを、『目障りで邪魔な存在』とみなした場合。

この誰かをターゲットにし、且つ、そのターゲットを社会的に抹殺するため、ターゲットを風評工作によって社会的に孤立させ、『精神障害者か悪党』仕立て上げる。

そしてそのターゲットをこのウルトラ監視網によってその協力団体、例えば警察署の生活安全課、消防署、
警備会社、タクシー会社、新聞販売店、郵便局、宅配業者、消防団、コンビニ、防犯連絡所、自警団、
一般企、防犯ボランティア団体、地域パトロール隊、わんわんパトロール隊、りんりんパトロール隊を嗾け一斉に監視され付け回されていく・・・。


これはまさに集団ストーカー被害者が訴える世界そのものではないか!

私はこの信じがたくとんでもない現実の世界が、この世に存在していることをこのとき初めて理解し、そして愕然とする。

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