いつからかは明確に特定できないがK氏はときおり例の団体構成員から勧誘を受けるようになる。
K氏はさしたる興味がないため断る。
すると相手はじっとこちせの目を覗き込むように見る。
断り方が悪かったかな、とその時はそう思った。
K氏はそれ以来、そうした勧誘を度々受けるようになるとその度にやんわりと断り続ける。
そして来る相手は決まって年配風の男で、たまに中年女性と一緒に来る時もある。
暫くすると今度は機関紙を購読しないかと勧誘してくる。
例によってK氏が断ると、またもじっとこちらの目を覗き込むように見る。
なんとなく気持ち悪いこともあってか、この際だがらキッパリと断りを入れた。
あの、すみませんが、あなた方の組織も機関紙にも興味ありませんからお引き取りください。
すると相手の年配者は薄ら笑いを浮かべながら、
そんな、連れないことを言うものじゃありませんよ。
近所にも私たちの機関紙を購読している人もいることだし・・・、ね?
近所のお付き合いはとても大事ですよ・・・、ね?
そのときK氏は目の前の年配者の言葉に、なにか近所を絡めた恫喝のような印象を受けたという。
しかしK氏はそんなことに怯まず、
そうですか、それはそれでいいんじゃありませんかね。
読みたい人がいるなら読めばいい。
読みたくないなら読まなければいい、それでいいじゃないですか。
すると相手の年配者は、
ほら、そういう考え方がいけないんだ。
はぁ、なにがいけないんですか? 人が何を考えるかはその人の自由でしょう?
憲法にも思想信教の自由が保障されているじゃないですか。
そうK氏が言い返すと相手の年配者は一瞬目つきを変える。
何か睨むようにな目つきだったと言う。
K氏は年配者の男が帰ろうとしないため、
ともかく、そういうわけですから、今後一切の勧誘はやめてくださいね。
とキッパリ言うと、相手の年配者は、
そんな不信心な態度でいると、今に碌なことが起きないですよ。
さすがにK氏はウンザリしてきたためか、つい言葉が荒くなる。
はぁ、そうですか、するとなんですか?
新聞取らなきゃ地獄にでも堕ちるととでも言いますか?
と失笑すると相手の年配者はプイと横を向いて立ち去って行った。
それ以来、勧誘してくることはなくなった。
が、その変わり、身辺に異変が生じ始める。