小説『鬼畜の宴』
作者:ウィンダム()

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X氏はタバコを一服すると説明し始める。

  『ガスライティング』の派生的な手口は多岐にわたります。
  私が冒頭で少し触れた『ブライティング』『ノイズキャンペーン』『ストリートシアター』
  『コリジョンキャンペーン』『モビング』などがそうですね。

X氏はファイルブックから書類を出すとテーブルに置く。
どうやらこれも英文書類だ。

  これは派生的な手口に関する外国文献で、その翻訳文もありますからどうぞ一読してみてください。

私は翻訳文を手に取り一瞥するが、これを読むより具体的な実例を聞いたほうが確かだと考える。

  そうですか、是非一読したいのてすが、その前にそれらの派生的な手口の具体的な実例をお聞かせ願いませんか。

  いいですよ。

X氏は引き続きQ氏の体験を基に説明していく。

  具体的な事例としてQさんの体験からかいつまんで説明し行きます。
  まず、『ガスライティング』の応用的な手口に『光』や『音響』を利用した手口があります。
  この手口は多くの被害者が体験することで、一条さんも被害者への取材で耳にしていると思います。

X氏の話から私はK氏の話を思い出す。
確かK氏も『光』や『音響』による神経工作に悩まされたと言ってい。

  『光』を利用した手口は『ブライティング』と呼ばれ、具体的には、

   ■クルマのヘッドライトでターゲットを照らす。 

   ■クルマのハザードやウィンカーを点滅させる。

   ■火の付いたタバコを投げ捨てる

   ■玄関や室内照明を点灯、または消灯する。

   ■サーチライトでターゲットの居室を照らし出す。

  と、だいたいがこんなところです。
  要するにあらゆる『光』を悪用した神経工作のことですね。
  で、これらが実際どのようなものかと言いますと、例えばQさんの体験を基に話しますと、
  Qさんが外出時や帰宅時に、決まって自宅近辺に停車している不審な車両があり、
  Qさんが姿を現すとその不審な車両がヘッドライトでQさんを照らしてみたり、
  あるいは自宅近辺を歩いていたりすると同じように不審な車両がハザードを点滅させるわけです。
  そしてQさんが不審車両に近づくとそのクルマは走り去っていく。
  こうしたことが何度となく繰り返される。
  また、外出時や帰宅時にQさんが姿を現すと、決まって特定の近隣住戸が室内照明や玄関照明を点灯させたり、
  あるいは消灯させたりする。
  こうしたことが毎日のように行われるだけでなく、いつの間に設置したのか、
  サーチライトで一晩中Qさんの居室を照らし続ける。
  こんな当てつけめいたことが毎日のように起こると、さすがに忌々しくなってくるものです。

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