小説『鬼畜の宴』
作者:ウィンダム()

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   Nさんの体験はまさにこの『魔の手』が及んだものと観られる典型的なケースと言えます。
   例によってNさんも他の被害者と同様、『風評工作』『人間関係破壊工作』『ガスライティング』などの、
   一連の洗礼を受けたわけですが、それだけではなくあらゆる『妨害』に遭遇したそうで、その『妨害』が半端じゃない。

   ふむ、で、どのような『妨害』ですか?

   ええ、それはNさんが行くところ全てに『妨害』が掛かったということで、
   例えばNさんがスーパーやコンビニへ行くとしましょう。
   そこでNさんがよく買う使用品、例えば特定銘柄のミネラルウォーターやペットボトル飲料などが、
   どういうわけか店から姿を消してしまう、やむなく別な店舗で買うと、今度はそこでも姿を消していく。
   ともかく、Nさんがよく購入する商品や気に入った商品が、どうゆうわけか店舗から姿を消していく、
それも売れ筋の商品がですよ、おかしいと思いませんか?

   そうですね、どこか不自然ですね。

   Nさんが言うには、気に入った商品や特定の商品を『3回続けて買う』と、なぜか姿を消してしまう。
   これは飲食店でも同様で、同じ飲食店、そう、例えばラーメン屋に行きつけると『3回目』で不審な対応になるという。
   まず店員の態度が悪くなる、次にオーダーした料理が妙に温かったり、料理自体が不審なものとなる。

   不審な料理? と言いますと?

   ええ、例えば中華料理屋へ行って麻婆豆腐が気に入ったとしましょう。
   最初のうちはなんの不審もないのですが『3回目』あたりから、
   まるで豆腐の屑を掻き集めたかのよう麻婆豆腐を出してくる。
   それはまるで『他の客の喰い残し』でも掻き集めたんじゃないかと疑えるようなものだったそうです。

   ははぁ、他の客の残飯ですか・・・。

『他の客の喰い残し』を出す飲食店というのは過去に実際にあった話で、某日本料理店でそれが発覚しマスコミで叩かれたこともある。
信じがたい話だが、そうした『他の客の喰い残し』を平然と再料理して、何食わぬ顔で客に出して喰わせ、カネを取るというのだから憤慨を通り越して呆れ果ててしまう。

   こうした『他の客の喰い残し』と疑えるようなことはラーメン屋だけでなくイタリア料理店でも起きたそうで、
   某駅ビルのレストラン街のイタリア料理店でピザを食べようとオーダーしたところ、
   サラに乗せて最初から切られているピザが出されたそうです。
   店内を見ると他の客は、すべて焼きたてのピザを切りながら食べているというのに、
   Nさんだけはそうじゃなかったということです。
  『喰い残し』とはいかないまでも不審なことはいくらてせもあり、例えば店を変えてラーメンを注文する、
   すると丼に細かい粉が付着していたり、食べ終わった後の丼の底に胡椒の粉が固まったように付着していたりする。
   こうした『妨害』は行くところ行くところで起きる。
   まるで誰かに『あの野郎に残飯を喰わせろ!』とでも命令されているんじゃないかという感じだそうです。
   こうした『飲食店での妨害』は、

    ?店員の態度が悪くなる、愛想がなくなる

    ?他の客と同じ料理をオーダーしているのに出される料理が他の客となぜか異なる
    (食器や盛り付け等が異なるなど)

    ?行きつけるとなぜか『店内の監視カメラ設置』を表示する貼り紙が貼られるようになる。

   ここでも『監視カメラ』、つまり『防犯関連の影』がチラつき始めるわけです。
   こうした妨害は他の被害者も体験することが多いのですが、Nさんの場合は、こうしたスーパーや飲食店に留まらず、
   『マンション業者』や『不動産業者』にまで及んだそうです。

   ふぅむ、というと、劣悪物件を押し付けるとか?

X氏は首を振る。

   いえ、そうじゃありません、どうにも『手付金』を騙し取られそうになったということです。

   ははぁ、手付金をね・・・、いまどき珍しい話ですね。

   ええ、いまどき珍しい話ですが、ところがNさんが商談した不動産業者やマンション業者というのが、
   どれもすべて名の知れた大手の業者だそうです。
   また、不動産関連についてはN氏も素人で不動産関連の本を何冊か読んだ程度の、
   ありきたりのことしか知らなかったそうでNさん自身、それで十分だろうと考えていたわけです。
   バブル時代のような不動産売買で儲けようとするわけではなく、実際に住むための住宅購入を考えていたわけですから。
   
マンションや戸建ての購入やローンについての煩雑な手続き関連に関しては、大抵は売主側、つまり業者とその提携金融機関が一括して手続きを進め、買主側は業者の指示に従って購入手続きを進めていくのが殆どだ。
まぁ、今日日の不動産購入、特にマンション購入などは買うのではなく、実際は業者と提携金融機関に買わせてもらっている、というのが実情だろう。
というより、そうしないと不動産ビジネスを効率化していくことができない。
 
   まったくその通りですね、大昔ならともかく、サラリーマンの住宅購入については、
   確かに指摘されるように業者と提携金融機関に買わせてもらっているというのが実上ですね。
   もっとも、こうした不特定多数の給与所得者向けのマンションや戸建て販売は、
   誰でも安心して購入できる仕組みにしないと不動産ビジネスが成り立たなくなってくるわけで、
   ですからそうした仕組みが出来上がって久しいわけでもあります。
   住宅購入に至っては、不動産売買の裏の裏まで知ることも考えることも必要ないわけですね。

   ええ、まったくその通りです、ですがNさんが体験した不動産妨害は、
   こうした誰でも安心して住宅が購入できる仕組みの盲点を突いた手口で仕掛けられてきたらしい。

   ほほう・・・、どんな手口ですか、それは?

   Nさんも手口の明確化ができずに憤りを感じていたということですが、それはたとえて言えば、
   先のないベルトコンベアーに乗せられてしまうような感じだったそうです。
   マンション購入のベルトコンベアーの先がなく、そのまま乗っかっていけば確実に奈落の底へ突き落されてしまう・・・。

どうやら極めて巧妙な手口が仕掛けられたということらしい。

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