小説『鬼畜の宴』
作者:ウィンダム()

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X氏は遠くを見るように語りだす。

  そうですね、集団ストーカーの正体についてですが、現時点において確実に言えることがあります。

  それはなんでしょう?

  それは誰にもわからない、ということですよ。

拍子抜けした私は思わず問い返す。

  そ、そんな、誰にもわからないって、それじゃ・・・。

するとX氏は私の言葉を遮るように、

  一条さん、誰にもわからないということはとても重要な視点なんですよ。
  少なくともこの問題に取り組むためにはね。
  特にネットから多くの情報を収取し吟味していく際に、とても重要な判断材料になりますからね。

  判断材料? といいますと?

  ええ、当初この問題がネット上で噴出し爆発的に広まっていった頃、そう2001年〜2002年ころのことですが、
  なぜか集団ストーカーの正体を『○○がやっている』と確定するような書き込みが多く現れました。
  例えば、その正体を『探偵』や『公安警察』であるとか、あるいは『左翼』や『共産党ブラック』、
  さらには『闇行政』だの『在日』の仕業と決めつけたり、しまいには『自衛隊』の仕業だとか、
  そうした書き込みが多く現れた。
  そしてそうしたものに例の『某会の仕業』という書き込みが群を抜いて多かった。
  また、『公安警察』についてはもっと興味深いこともかなり書かれていました。
  それはS県A分署の公安警察が睡眠薬を使用しては夜な夜な独身女性の寝室に忍び込み、
  その睡眠薬で気を失わせ寝ている女性に『睡眠強姦』を繰り返しているという実しやかな書き込みなど。
  かと思えばK県の公安警察官が勝手に他人の家に上り込んでは冷蔵庫のウドンを煮て食ったとか、
  ラーメン喰ったとか、 ともかく公安警察に対するボロクソな書き込みが実に多かった。
  まぁ、もっともこれは組織ストーカーとは関係ない話ですが・・・。
  ともかく、私は当初こうしたネット上の書き込みを興味深く閲覧しいていたものですが、
  あるとき妙なことに気が付く。
  それは書き込まれる文章がよく似た文章で集団ストーカーの正体はAであると書いたかと思うと、
  次の書き込みにはまったく違うことが書かれている。
  こうした正体に関する相矛盾する同一人物らしき者の書き込みから、
  どうやら早いうちから攪乱が行われていたことを知るわけです。
  こうした攪乱情報を含め、そして集団ストーカーが可能となる条件を備えたものは何か?
  ということを自分なりに調べ考えるうちに主として二つのものが浮上してきたわけです。

  ふぅむ・・・、それが警察防犯ネットワークと例の広域カルト組織・・・、というわけですか。

  ええ、その通り、しかし、これとて仮説に過ぎない。
  ですが、他に条件と合致するものがない限り、この二つを主軸として問題に取り組んでいくしかありません。
  特に例の広域カルト組織については、その後の調べで分かったことですが、
  過去に何度か組織的な嫌がらせに関する議会質疑が記録されています。
  これは集団ストーカーの正体を追及していく場合に見逃せない極めて有力な材料と観ています。
  それと防犯関連については、これが主として英米の治安システムをほぼそっくり踏襲している点から、
  集団ストーカーの起源が『外国』であるという仮説を考えています。

  つまり、集団ストーカーは外国製、ということですか?

  ええ、その通り。
  そう考えていいと思いますよ、例えばギャングストーカー。
  これは集団ストーカーの外国版という観方が強いようですが、そうではなく集団ストーカーこそが、
  ギャングストーカーの日本版、といった観方をする必要があると思います。

  ほほう、といいますと?
 
  ええ、ギャングストーカーとその日本版の集団ストーカーが駆使する『ガスライティング』について。
  実はこの語源が昔のハリウッド映画の題名から取られている点です。

  『ガスライティング』の語源が映画のタイトル? ほほう、それは興味深いですね。
 
  『ガスライティング』という外来語について、これは実は映画『ガス燈』から取られています。
  このことからして『ガスライティング』という手法が外来性であることを示唆しています。
  というより外国で考案された手口であると見做していい。

  ほう・・・、映画『ガス燈』が語源ね・・・。

  もし、『ガスライティング』がどのような手口かを知りたい場合、
  私はひとつのテキストとしてこの映画を見ることをお勧めします。
  そうすれば『ガスライティング』がどのようなものかを疑似体験できますから。

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