小説『鬼畜の宴』
作者:ウィンダム()

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  なるほど、つまりXさんは、集団ストーカー問題に取り組むためには、
  学校で教わるような教科書的な観方考え方では不十分というわけですね?

  ええ、そうです、というよりそんな考え方では、集団ストーカーはおろかこの世に起こる様々な犯罪、
  特に政治絡みの犯罪や企業犯罪など絶対に解ってこない、というこです。

  ふぅむ・・・、そうですか、それではXさんの観方考え方による集団ストーカー問題をお聞かせ下さい。

X氏は一呼吸置いて話し出す。

  まず、この世のあらゆる国はいずれも類似する、というか良く似た一面があります。
  それは普遍的なものと言ってもいい。

  ふむ、この世の普遍性ですか。

  ええ、どこの国でもその社会体制には必ず建前と本音があるものです、こうしたことのもっとも判りやすい図式は、
  所謂社会の上層、つまり上流階級と社会の底辺、つまり下層階級は必ずどこかでリンクしている、という図式です。
  これはどこの国でも観られる図式で、こうした図式の意味するところは社会の上層が中間層を抑え込むため、
  社会の下層を利用しているということです。
  こうした利用のうち、しばしば第三世界で見受けられるものとして『闇社会』の利用があります。
  『闇社会』は社会の底辺と密接でありその構成員の殆どがこうした階層の出身であることからも、
  『闇社会』が下層に位置していると見做して間違いありません。
  上層による『闇社会』の利用が第三世界の特有のアナクロニズム的なものかというと、実際は決してそうではありません。
  先進国を標榜する国においてもこうした『闇社会』とのリンクが密かに行われていると、私は考えています。

  ほほう、それはどのような理由で。

  簡単なことです、どの先進国も犯罪組織を社会から一掃できない。
  アメリカならマフィアや闇の麻薬組織やその他犯罪組織、ヨーロッパならユーロマフィア、そして我が国日本も同様、
  暴力団組織を社会から一掃できない、考えても見てください。
  日本を例にとるならば警察組織とヤクザ組織ではどちらが優れた組織ネットワークと武力を保有しているか。
  また、万が一警察力で対処不能となれば自衛隊という準軍隊組織が治安出動する。
  この警察と自衛隊の保有する圧倒的な武力と組織ネットワークの前では、ヤクザ組織など児戯に等しい。
  これは外国も同様なはずですよ。
  もし、本気で『闇社会』を一掃しようとする気があるなら、こうした圧倒的な武力制圧によって『闇社会』など、
  とっくの昔に殲滅され地上から消え失せているはずです。
  実際に『闇社会』を一掃しようと思えばそれは可能で例えばナチス時代のドイツや軍国主義という軍事政権下の大日本帝国、
  そしてスターリン時代のソ連や毛沢東時代の中華人民共和国、さらには現存するカストロ政権下の社会主義キューバ、
  こうしたことは『闇社会』の一掃が可能であることを歴史が示しています。
  ですが、こうした特異な時代を除けば未だに『闇社会』は存在し続けている。

    曰く、暴力団追放

    曰く、暴力団を利用しない

    曰く、暴力団にカネを出さない

  こんな警察のスローガンなど空証文のごとく、相変わらず『ヤクザ』は健在だ。
  これを説明するには、先に言及した『支配権力』、すなわち社会の上層がこうした『ヤクザ』を、
  相変わらず必要としているからにほかなりません。
  こうした実態からこの世の本当の権力の姿が浮上してきます。
  それは、

    ★『政・官・財』を横断するインフォーマルな人的ネットワーク集団と『ヤクザ』

  これこそがこの世の本当の『権力』の実像でしょう。
  より的確に表現するならば、この世の『権力』である、

    ★『政・官・財』を横断するインフォーマルな人的ネットワーク集団
 
  の非合法『暴力装置』として『ヤクザ』が利用されてきた。
  言い換えれば、

    ★『政・官・財』を横断するインフォーマルな人的ネットワーク集団

  だけが『ヤクザ』を特権的に利用してきた。
  そしてこうした図式の延長に『集団ストーカー』が存在しているというこです。

  なるほど、つまり集団ストーカーとは支配階級と闇社会の関係、ということですか。

  そうです、少なくとも私はそう考えています。
  で、例の『広域カルト組織』に話を戻しますが、この世を支配するインフォーマルネットワーク、
  つまり『支配階層』の独占的で密かな『暴力装置』だったものを、『広域カルト組織』にもその使用を許可した、
  ということではないでしょうか。
  これは『広域カルト組織』の政治的な軌跡を辿れば判るはずですよ。
  米ソ冷戦時代の左翼陣営に手を焼いた『支配階層』は保守政党を通じて『広域カルト組織』を、
  自らの政治的補完物として利用していくために取り込んでいく。
  そしてその見返りとして『広域カルト組織』の様々な要求を飲んだ。
  それは『広域カルト組織』の政治的要望をある程度反映さたり、反社会的活動を不問にしたり、
  特にテレビ・新聞が批判しないようタブー視する。
  こうして『支配階層の政治的補完物』として協力していくうち、
  『支配階層』が独占的に利用してきた密かな『暴力装置』の利用までも許可した・・・。
  これこそが『広域カルト組織』と集団ストーカーの関係とその源流を探る図式に他ならないと観ています。

  ふふん、なかなか興味深い仮説ですね、なにかそれを示すソースでもありますか?

私の質問にX氏はニコリと笑みを浮かべる。

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