小説『鬼畜の宴』
作者:ウィンダム()

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X氏の言うこうした『妨害』。

これは被害者同志の連帯や団結をさせまいとする『攪乱工作』のひとつかもしれない。
このような団結を阻止する攪乱工作をもっとも得意とするのが警察だろう、特に公安警察は攪乱のプロと考えていい。

こうした攪乱工作も考えてみるとFBIの『コインテルプロ』に行きつくことが解る。
対象団体に潜入し『あらぬ噂』を流布して周囲を疑心暗鬼に陥らせ、あわよくば組織分裂へと至らしめ互いに血で血を洗う抗争に駆り立てて共倒れに追い込んでいく・・・。

  すると、Xさんは集団ストーカー被害者にも、連帯や団結を阻止するための『攪乱』が行われていると考えますか?

  はい、その可能性は大いにあり得ますね。

  そうですか、なにか御自身、思い当たることはありますか?

  ええ、ありますよ、以前にある若い被害者と会った時のことです。
  相手は学生さんらしく、当初は自分の体験を切々と訴えていました。

X氏は或る大学生の被害例を紹介を交えながら話していく。
話によると、被害者の学生は『広域カルト組織』からの組織的嫌がらせに晒されたためか、『集団ストーカー=広域カルト組織』という図式一辺倒になっていたそうである。

X氏は集団ストーカーを特定の団体のみの説明には無理があると言うと、そんなことはないと言い張る。
エック氏はいろいろな被害情報や様々な状況から考えても集団ストーカーは『権力犯罪』の疑いがあり、そのなかでも『防犯ネットワーク』の悪用が強く疑われると指摘すると、まるでX氏を

  『あんたは広域カルト組織の仕業から目を逸らそうとしているのか!』

と一方的に嫌疑を掛けてくる。
X氏が筋道立てて説明しているにも関わらず耳を貸そうとしない、それどころか

  『防犯ネットワークなどなんの実態もないじゃないか、そんなものを持ち出すのは目を逸らそうとする攪乱だ』

そしてしまいには、

  『あんたは広域カルトの工作員だろう!』

と決めつけられてしまったという。

  いやぁ、正直言って閉口しましたよ。
  その学生さんはともかく広域カルトの一点張りで他の観方、考え方をまったく受け付けない。
  大学生ならもう少し視野を広く持っていいはずなんですがね。
  そもそも大学というところはより広い視野に立って思考判断をできるように、
  高度な知的な訓練を受ける場所でもあるわけですから・・・。

と苦笑する。
 
  その学生さんは、身辺に付き纏うパトカーについても、

   『すべては広域カルトが警察組織に侵入しているためだ』

  と言う、つまり、

   『警察内部に侵入している広域カルト組織のメンバーが警察車両を使って嫌がらせをしてくるんだ』

  と言い張るわけです。
  なるほど、広域カルト組織は公権力への浸透を図り、あわよくば『政治上の権力』を掌握して社会支配を目論む。
  そのなかでも『警察権力』は重要な攻略対象だろう。
  ここで少し警察組織を考えてみます。
  警察の階級は警察法第62条により9階級に区分され、これらを上位から羅列していくと、

   ■警察庁長官
   (警察法上は階級の枠外。警察官の最高位)

   ■警視総監
   (警視庁の長で、階級最高位)

   ■警視監
   (警察庁次長、警察庁各局長、警視庁副総監、管区警察局長、道・府・大規模県警察本部長、警察大学校長など)

   ■警視長
   (警察庁課長、大規模本部以外の本部長、大規模警察本部の部長級など)

   ■警視正
   (警察庁理事官、警視庁課長、県警察本部の部長級、大規模警察署の署長級)

   ■警視
   (所属長級:警察本部の参事官、中小規模警察署の署長、県警察本部の課長など 
    その他:副署長・次席、警察本部の管理官、調査官、警察署の刑事官、地域官など)

   ■警部
   (警察署の各課長、県警察本部の課長補佐級など)

   ■警部補
   (警察署の係長級)

  ■巡査部長
   (警察署の主任級)

   ■巡査長
   (巡査長に関する規則(昭和42年国家公安委員会規則第3号)で定められた呼称・職位。警察法上は巡査)

   ■巡査

  となります。
  ここで考えなければならないのは、広域カルト組織は警察組織のどの階級にまで浸透しているのか?
  という問題でしょう。

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