小説『鬼畜の宴』
作者:ウィンダム()

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X氏との会話において、たびたび『広域カルト組織』についての言及が繰り返される。
そこで私は少し本題(集団ストーカー)から離れてX氏に『広域カルト組織』について質問してみた。

  Xさんは、たびたび『広域カルト組織』について言及されていますが、
  ここで少しそのことについてお考えをお聞かせできませんか?

X氏は少し考えるように、

  ええ、かまいません、私のようなものの拙い話で良ければなんなりと・・・。

X氏の了承を得た私はさっそく質問にかかる。

  『カルト』という言葉をよく耳にしますが、そもそもXさんにとって、『カルト』とはどのようなものとお考えですか?


  そうですね、カルトに関してはフランス国民議会の『アラン・ジュスト報告書』により、カルトの定義が示されていますね。
  もっともヨーロッパにおいては『セクト』むという言葉が主流ですが、
  それによると『セクト(カルト)』の定義として以下のような条件が示されています。

    1.精神の不安定化

    2.法外な金銭的要求

    3.住み慣れた生活環境からの断絶

   4.肉体的保全の損傷

    5.子供の囲い込み

    6.反社会的な言説

    7.公秩序の攪乱

    8.裁判沙汰の多さ

    9.従来の経済回路からの逸脱

   10.公権力への浸透の試み

  以上の項目のいずれかにあてはまる団体を『セクト=カルト』とみなしている。
  それよりも注目すべきは、

         ★セクトの本質は『新しい形の全体主義』

  と定義している点ですね。
  これはまったくその通り、カルトとは全体主義のひとつであり、それが政治カルトだろうが経済カルトだろうが、
  全ての『カルト』は全体主義と見做して構わないと思いますね。

  ふむ、なるほど・

  さらに報告書では、カルトの特徴も示されていて、

   ■指導者に対する崇拝
    聖人、あるいは神格に向けられるものとさして変わらない賛美

   ■指導者の無謬(むびゅう)性 指導者は絶対に間違いを犯さないという確信。
    指導者の知識の広さ 哲学的な事柄から日常の些細なことまで、指導者の信条や口にすることは
    なんでも無条件に受け入れる。

   ■説得のテクニック
    新たな信徒を獲得し、現状の信仰心を補強するために、寛大なものから威圧的なものまで手段はさまざま。

   ■秘密の計画
    信仰の真の目的と計画が曖昧としている、あるいは新規入信者や一般大衆にはそれらが明確に提示されていない。
    欺瞞 入信者や信徒は、その頂点に立つ指導者や集団の中枢部に関してすべてを知らされるわけではなく、
    また大きな混乱を招くような不備や厄介事に発展しそうな事件、あるいは状況は隠蔽されている。

   ■金融面および性的な利用
    入信者や信徒は、その金銭およびそのほかの資産を差し出すよう説得され、
    指導者には一人かそれ以上の信徒との性的関係が許されている。

   ■絶対的な真理
    さまざまなテーマにおいて、指導者、あるいは集団が見いだした究極の知識に対する盲信。
    絶対的な道徳観 指導者、あるいは集団が確立した、組織の内外を問わず等しくあてはまる、
    思考および行動に関する善悪の基準への盲信。その道徳の基準にきちんと従えば、組織の一員としていられるが、
    そうでない者は破門されるか罰せられる。

  といったところでしょう。
  こうしたカルトの定義なり特徴なりに異論はないでしょう。
  ですが私は思うのですが、こうしたカルトの定義や特徴を煮詰めると、
  そこに主要なものが浮かんでくるように思えてなりませんね。

  ほう・・・、それはどのようなものでしょう?

  それは、カルトが人間の弱さにつけこむことを基本としていることです。
  そして人々の無知につけこみ何も知らせも理解もさせずに信仰や熱狂を生じさせ、
  挙句の果てには恐怖で人々を支配し利用する。
  これがカルトの本質でしょう。
  私はこうしたことを自分自身の判断基準として頭に入れています。
  従って私は自分なりの判断基準のどれかに該当する場合、すべてカルトとしての傾向があると見ています。
  こうした私なりの基準に照らすならば、かつてのナチスや共産主義は立派なカルトです。
  さらにかつての大日本帝国、特に戦時中の日本は間違いなくカルト国家です。

  ははぁ・・・、なるほど。

X氏の判断基準にどこか独善的な面を感じるものの大きく頷けるものがある。

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