小説『鬼畜の宴』
作者:ウィンダム()

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出版社へ戻った私はX氏を含めた今までインタビューをパソコンでデータ管理する作業に没頭し始める。
そして被害者に共通する『ガスライティング』や光・音響を利用する『ブライティング』『ノイズキャンペーン』などを抽出して、
集団ストーカー犯罪の具体的な手口として編纂し直していった。
そして前回の論評の続編として、Q出版社の総合雑誌に掲載してみた。
タイトルは、

『集団ストーカー:未知の犯罪手口を暴く』

それから数日後。

私宛に一通の電子メールが届く。
差出人はN、住所は東京都HM市H町とある。
氏名と所在を明確にしているところから、匿名メールで怪文書ではないらしい。
それにHM市ということから、私はとっさに市議会議員殺害事件を思い浮かべる。

この事件は今から十数年前に発生した極めて謎の多い不可解な『殺人事件』である。
当初は自殺と断定され、さらにその理由が万引き苦によるものとする情報が、一部メディアやネットの一部からも吹聴されていた。

この事件の不可解さはいくらでもあるが、その中でも納得できない点は、万引きを見たという『目撃者』に関する情報が一切伝えられず未だに隠蔽されてきている点だ。
今となっては本当にこんな『目撃者』など存在していたのか疑問に思えてくる、本当は『目撃者』になどいなかったのではないかと思える、つまり捏造である。

実際には存在しない『目撃者』を捏造し、それを元に『目撃証言』として、そして万引き苦による自殺という実しやかなフィクションをでっちあげて社会に垂れ流したのではないか・・・。

このように最初から捏造であるからこそ『目撃者』が誰なのかを明かすことができないでいる、そう考えるとき未だに『目撃者』を隠蔽し続ける理由が見えてくる。

ともあれ、この事件は自殺なのではなく殺人事件。それも組織的で策謀的な殺人事件と断言していいだろう。
話しが横道にそれてしまうので、この『殺人事件』に関しては他の研究者に委ねることにする。

私は電子メールを閲覧してみた。

  はじめまして。一条様。
  私は都下のHM市に住むNと言います。
  つきましては先だって、御社から出版されている総合雑誌に掲載された集団ストーカーの記事を読み、
  大変に驚かされています。
  そこに書かれていることは、まさに私が体験してきたことのほぼ全てが網羅されていると言っても過言ではありません。
  そして私が体験した不審で奇怪な出来事が『ガスライティング』という手口をあることを知り、目から鱗が落ちるようです。
  決して精神の病なのではなく、人為的に計算されつくした巧妙な犯罪手口だったことを知り心が解放されたかのようです。
  私が今迄に体験してきことは組織的付き纏いはおろか不審電話、不審なパトカー、
  そして家宅侵入によるガスライティングの数々です。
  そうした体験の中で誰も信じないようなこともあります。
  それは医療機関まで巻き込んだ妨害、というより医療行為に名を借りた拷問です。
  この拷問には医師・看護師・薬剤師といった医療関係者らが関与し、ターゲットに対して
  あの手この手の拷問を仕掛けてくるのです。
  信じられないお話かもしれませんが、これは事実です。
  このおぞましい、まるでナチスのような医療拷問の数々とその実態をこれからお話していきます。

医療拷問か・・・。
この手の話なら過去に何度か耳にしたことはあるが、まさかそれを本当に体験した人から話を聞けるとは思わなかった。

それに、集団ストーカーの場合、関与するのは精神科だが、メールの内容からそれは一般医療のようだ。
関心を強めた私は読み続けていく。

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