小説『鬼畜の宴』
作者:ウィンダム()

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2 Lさんの場合

K氏の取材から私はL氏に会う前に某会に関する認識を更新させる必要を感じたため、
とりあえずネットで某会を調べ直しててみた。

するとその殆どが某会のサイトや某会擁護の関連サイトばかり。
私は試に

  某会 集団ストーカー 

のキーワードで検索してみた。

すると驚いたことに某会関連のダークな情報が次々とヒットする。
ヒット数を見れば軽く百万件を超えている。

  なんだこれは!

私は思わず声に出してしまう。
次は、

  某会 犯罪 

のキーワードで検索する。
するとこれも膨大な情報量に出っくわす。
そしてそのダーティな体質を告発するかのような情報の山また山・・・。
私は呆れながらもそれらの情報をできる限り多く閲覧していった。
こうして某会に関する認識を更新させた私はL氏にアポをとる。

二人目の取材となるL氏は名古屋に住む派遣社員でリストラ経験の持ち主。
私の取材申込を打診すると幸いにも快諾してくれた。
それだけではなくL氏はわざわざ東京まで出向いてくれた。

東京駅まで迎えに行った私は予め示し合わせた場所で待つスーツ姿のL氏を発見する。
一見するとL氏もK氏と同様、どこにでもいるごく普通のサラリーマンといった感じだ。

  はじめまして、フリーのジャーナリスト一条隼人です。
 
  あ、はじめまして、私Lと申します。

  今回は、わざわざ遠方からお越しいただき恐縮です。

  いえいえ、とんでもない、雑誌社の方から取材を受けるなんて、私にとっては願ってもないことです。

意気揚々とするL氏に、私はその御足労に報いようとできるだけ静かな良い店を選ぶ。
アンチークな感じの店内にはピアノジャズが静か流れる。
私は適当な席を見つけるとそこでさっそく取材を開始する。

  さっそくですが、Lさんは集団ストーカーによる被害者だということですが・・・。

  集団ストーカー? ああ、そういう呼ばれ方もされているようですが、
  私の場合はリストラストーカーです。

  リストラストーカー? 

聞きなれない名称に私は思わず問い返した。
集団ストーカーとは別なものが存在しているのだろうか?
だが、私はL氏の話を聞いていくうち、単に呼び名が違うだけで同じものであることが判ってくる。

  ええ、リストラストーカーです。
 
  ほほう、リストラストーカーね・・・、で、どのような体験をされましたか?

とりあえず私はL氏の話を聞いてみることにする。

  私の場合、事の発端は勤務先のリストラからでした・・・。

L氏は語りだす。

-7-
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