小説『鬼畜の宴』
作者:ウィンダム()

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私の身辺に起こりはじめた不審な出来事は監視から始まったようだ。

それは自宅のマンションの駐車場や周辺の路上に見慣れない車両が停車する。
こちらが近づいていくとさっさと走り去る、不審車両のナンバーはなぜか『足立ナンバー』が目立つ。

足立区に集団ストーカーの総本部でもあるのだろうか?

そのほかのナンバーとしては『八王子ナンバー』『所沢ナンバー』が確認できる。
八王子や所沢に集団ストーカー支部でもあるのだろうか?

不審車両の乗員は一様に野球帽のようなキャップを目深に被って顔を隠している。
時たま垣間見える人相から、どことなく胡散臭そうな30代から40代の男たちであることがわかる。
たまにジジイのときもある。
これは今まで取材した人たちの話とほぼ一致する。

どうみても全うな職に就く勤労者には見えない、かといってヤクザ者とも違うようだ。
これも取材した人たちの話と一致している。

こいつらの正体はなんだろう?

この連中の監視活動、特に時間帯から考えて、どうやら『その道のプロ』らしい。
携帯電話のカメラで顔を映してやろうと接近していくと慌てるように急いで走り去っていく。
どうやら『面が割れる』ことを極度に恐れているかのようだ。

この連中は自分の正体を知られることがお嫌いなようだ、そのくせターゲットのことは丸裸にしてほくそ笑む。
陰でコソコソ蠢く卑怯者とはまさにこのことだ。

こうした不審車両に関してあることに気が付く。
それは専用駐車場に停車している不審車両がある特定の場所に限られるということだ、そしてその場所は通常別な車両が駐車している。
つまり、その場所をマンション住民が誰かに貸していることを示す。

マンションの管理規則では駐車場の利用は一世帯一か所だ、それに駐車場の不正使用禁止も明記されている。
駐車場の不正使用とは、マンション居住者以外の者に使用させることだ。
私は証拠を押さえるべく暫くの間、不審車両が停車している駐車場の特定箇所を撮影し続けてみた。
そして判ってきたことは4〜5日置きに車両が入れ替わっているということだ。

本来なら管理組合に問い押せるところだが、生憎とこちらは賃貸マンションだ、管理組合などないし管理する管理人もいない。
私の賃貸マンションは公団が事業主となっている。
そこで公団に問いあわせると、そういったことは自治会に問いあわせてくださいという。
おいおい、それはないだろう、賃貸マンション使用規約は公団が作成しているじゃないか。
その点を突くと曖昧な返答をしながら逃げていく。
話しにならないのでやむなく自治会に問いあわせてみることにした。

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