小説『泡沫候補っていうな!』
作者:しょむ研 水野松太朗(しょむ系政治勢力研究会)

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○交通政党

 交通政策について訴える政党もあった。「モーター新党」は高速道路無料化・モトクロス場およびオートキャンプ場建設推進・ガソリン値下げなどを公約に、マイク真木(歌手)や菅原義正(ラリードライバー)らを擁立。「全日本ドライバーズクラブ」は暴走族取締り強化や「ネズミ捕り」によるスピード違反取締りの禁止、税制の消費税への一本化、都道府県廃止などを訴えた。党首の岡田三男は「日本のラルフ・ネーダー(アメリカ緑の党代表)」を名乗っていた。

 「自由党」は石川八郎、高橋妙子らを中心に結成された「新自由党」を母体とし、「交通戦争阻止」を公約とした。柿沢弘治らの「自由党」や小沢一郎らの「自由党」と区別し、「自由党石川派」「石川自由党」など呼ばれることもある。1998年参院選では、自由党から副総裁(党首)として出馬した石川は91467票を獲得。同選挙では小沢自由党の候補者も全国で出馬しており、一部では混乱が見られた。

 近年は、「高速道路無料化」を訴え料金所強行突破などを行なっている「新党フリーウェイクラブ」が活発に活動している。

○運動系政党

 運動系といっても市民運動や社会運動ではなく、スポーツ系政党のことである。これらにはアントニオ猪木(プロレスラー)や江本孟紀(元野球選手)の所属し、小林よしのり等も支援した「スポーツ平和党」(スポ平)や、川上哲治(元野球選手)らが立ち上げた「さわやか国民会議」を母体し、小林繁(元野球選手)や高田延彦(プロレスラー)らが所属した「さわやか新党」などがある。

 「消費税に延髄切り」などのキャッチコピーで華々しくデビューしたスポ平は、計2名の当選者を出し、民社党と統一会派を組んだ。政党交付金(政党助成金)の受給要件が「得票率2%以上」となっているのは、自党の得票率が2%台だったスポ平の意向によるものである。しかし金銭トラブルが絶えず、活動は先細り、自然消滅していった。江本は自由連合に移籍後、大阪府知事選に自民党大阪府連と自由連合の推薦で出馬したが、落選している。

 「さわやか」は「政治にフェアプレーを!」がスローガン。同時期に出馬していたスポ平との混同を避けるべく、「我々はスポーツ平和党ではない!」と強調。「校庭の芝生化」「いじめられっ子を武道で鍛える」などの政策を打ち出したが、大きな支持にはつながらなかった。街宣車は白と黄色を基調とし、「さわやかさわやかさわやかね〜♪」という歌詞のテーマソングを流していた。応援演説には向井亜紀(タレント、高田の妻)やローバー美々(タレント)らがかけつけていた。

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