小説『泡沫候補っていうな!』
作者:しょむ研 水野松太朗(しょむ系政治勢力研究会)

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

○維新政党・新風

 1995年、新右翼活動家魚谷哲央(実業家、神職)らにより結党。当初は魚谷の活動拠点である京都に本部を置いていたが、2008年東京に移転。

 「風の会」と同じく、反米反共・ヤルタポツダム体制打倒を掲げる新右翼系だが、自民党、民主党、民社党(民社協会)、青年自由党出身者も多い。軍備増強、在日外国人排斥、核武装、宗教団体規制、消費税増税、同性愛処罰、児童ポルノ規制反対などの政策を掲げる。

 支部は全国に35ヶ所前後あり、選挙活動は1998年よりスタート。出馬は参院選と地方議員選のみで、衆院選や首長選には出馬しておらず(但し、大阪府知事選で橋下徹を推薦するなど、他党候補の推薦はある)、公認候補の当選者は1人もいない。2001年には西村修平(元党千葉県本部代表)、川久保勲(元党神奈川県本部副代表)ら新風党員による集会妨害事件が起き、威力業務妨害罪や傷害罪で逮捕され、後に有罪判決を受けている。また、2009年には千代信人(元党北海道本部代表)が詐欺罪で逮捕されている。

 2004年には中武賢臣(元青年自由党)を青年部長に迎え、「ライブ・平成維新」なるロックコンサートを開くなど、この頃から若者の取り込みに力を入れるようになる。さらに近年は瀬戸弘幸(ネオナチ団体「世界戦略研究所」代表、恐喝・傷害・威力業務妨害で逮捕歴あり)を広報委員(後に副代表)に迎え、「コヴァ」と呼ばれる「ゴーマニズム宣言」「わしズム」(どちらも小林よしのり製作)読者、「ネット右翼」(ネトウヨ)、オタク(ヲタク)、ニート(若年無職者)など、ルサンチマン(自己欺瞞を含む劣等感、羨望、嫉妬)を抱える人々の結集に力を入れるようになる。それに伴い、政策も伝統的な反米右翼から、ナチズム的な排外主義や他者蔑視、統制志向を強め、反権力志向から政府与党寄りの権力志向へと移行している。従軍慰安婦問題について言及する女性を「淫売ババア(売春ババア)」、毎日新聞を「変態新聞」など、対象を強烈な侮蔑的文言で非難する活動も活発。さらに、活動資金調達のために、ブルーベリー風味のゼリー「ナノゼリー」をマルチ商法で販売する計画や、「パナウェーブ研究所」(「千乃正法」「タマちゃんのことを想う会」)などと同じく「電磁波攻撃」に抗する活動も行なっている。

-8-
Copyright ©しょむ研 水野松太朗 All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える