小説『ハイスクールD×D 〜銀白の剣士〜』
作者:strik()

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第43話






Side 渚


 サーゼクスさんの来日から数日がたった。

 サーゼクスさんとグレイフィアさんは泊まった次の日に家から出立していた。

 なにやら、町の下見をしているようだったけど、観光しているようにしか見えなかったな。まあ、何かしら考えがあるのだろう。

「行ってきます」

 そんなことを考えながら、四人で休日出勤だ。理由は後程説明しよう。

「兄さん、よだれが垂れているよ」

「おおっと!」

 兄さんが手でよだれを拭う。下品な笑みを浮かべていた。その横には少し不満そうなアーシアちゃん。きっと自分だけを見てほしいのだろう。

「おはよう」

 学校に向かう途中でゼノヴィアが合流した。彼女は近所のマンションに一人暮らしをしている。まあ、そのマンションも悪魔の息がかかっているところみたいだけどね。

「アーシア、例の宿題は済ませたか?」

「はい。ゼノヴィアさんは?」

「私は日本語でわからないところがあってね。教えてくれないかな?」

 クラスは違うが、出る宿題は一緒なのでゼノヴィアはアーシアさんに聞くことが多い。

「任せてください! ・・・・・・・でも漢字はちょっと」

「私もだ。日本人はこんな複雑な文字を覚えていくのだから恐ろしい。さすがは経済大国だ」

 最初の出会いはよくなかったが、今はこうして仲がいい。休み時間も兄さんのクラスに行ったりすることもある。男子の中でも「静のアーシア」、「動のゼノヴィア」とこの二人を称していた。

 そしてその二人は、祈りのダメージを受けている。

「何やってんの、キミたちは・・・・・・」

 兄さんがこう言うのも何回目だろうか。リアス先輩もくすくすと笑っている。

「さて、今日は私たち限定のプール開きよ!」

 休日出勤のわけはこれでした。一番最初にプールを使う条件にオカルト研究部で掃除をしたのだ。祐斗は用事があるので不参加らしい。

 それにしても、兄さんのにやけ顔がひどい。オカルト研究部の女子はみんなかわいいので妄想が膨らむのだろう。アーシアさんはそんな兄さんに少し不満そうだった。





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「ナギ、あなたが選んでくれた水着よ」

 リアス先輩が水着を披露してくれた。先日の買い物で買った、布地の少ない紅いビキニ。前に見た時も思ったが、胸が零れ落ちそうだ。脚線美も綺麗で兄さんが鼻血を出している。

「あらあら、部長ったら、張り切ってますわね。ナギくん私の水着もどうですか?」

 白いビキニで登場したのは朱乃先輩だ。こちらも布地が少なく扇情的だ。兄さんは前かがみになっている。僕は、大丈夫だ。兄さんほど盛っていないからね。

「イッセーさん、わ、私も着替えてきました」

 アーシアさんがもじもじしながら立っている。学校指定のスクール水着だ。胸になぜかひらがなで「あーしあ」と書かれている。マニアックだ。

「お兄さんは感動だ! 似合っているよ!」

 スクール水着でそれを言われてうれしいのだろうか?

「そう言ってもらえるとうれしいです。小猫ちゃんも同じ水着なんですよ」

 うれしいようですね。小猫ちゃんも胸にひらがなで「こねこ」と書かれている。リアス先輩や朱乃先輩のような色気はないが、愛くるしさがすさまじい。兄さんも同じようだ

「・・・・・・卑猥な目で見られないのはそれはそれで複雑です」

 なにやら、ぼそっとつぶやいた小猫ちゃん。はて? どうかしたんだろうか? ちなみに僕の水着は黒のぴったりフィットするスパッツのような肩口がなく、首元があるタイプで、お腹の上までの長さの上の水着と、ハーフパンツぐらいの長さのスパッツタイプの水着だ。着替えはもちろん僕専用の更衣室でした。なぜ、上があると言うツッコみはもうしない。

 リアス先輩はそんな小猫ちゃんの肩に手を置き、ニッコリわらながら言った。

「それでね、悪いのだけど」

「「はい?」」





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「いち、に、いち、に」

 小猫ちゃんの手を引いて、バタ足の練習に付き合う。

 小猫ちゃんは泳げないらしいので、僕か兄さんに練習を手伝ってもらいたかったらしい。そして、練習に付き合うのは運動神経のいい僕になった。

 小猫ちゃんは時折、息継ぎのために顔を上げながら、懸命にバタ足をしている。横目で見ると兄さんはアーシアさんの泳ぎの練習をしている。アーシアさんも泳げなかったらしい。

「ぷはー。・・・・・・付き合わせてしまったごめんなさい」

 小猫ちゃんが申し訳なさそうに、僕に謝ってきた。

「別にかまわないよ。人にものを教えるのもなかなか楽しいしね」

 そう言いながら、手を引いていくと端についた。勢い余って、僕にぶつかり抱き着いたような姿勢になる。

「ナギ先輩は優しいですよね」

 抱き着いたような姿勢のまま小猫ちゃんが言う。少し、顔が赤かった。

「そうかな?」

「・・・・・・・はい」

 この後も小猫ちゃんの泳ぎの練習は続いた。





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「ふぅ・・・・・・」

 小猫ちゃんの泳ぎの練習も一段落して、プールサイドで休む。小猫ちゃんは持ってきていた本を日陰で呼んでいた。

アーシアさんと兄さんも疲れたのか休んでいた。敷かれているビニールシートの上で横になっている。

(さて、これからどうしようかな・・・・・・・。体力的にも十分あるので、何回か泳ごう)

 そう思って立ち上がろうとすると、赤いコウモリが僕の周りを飛んでいることに気がついた。リアス先輩の使い魔だ。

 何かあったのかと顔をリアス先輩たちのいる方に向けると、手におそらく日焼け止めのクリームを持って手招きしていた。

 立ち上がって、リアス先輩の前に移動する。

「クリームを塗ればいいんですか?」

「ええ、お願いしてもいいかしら? 悪魔は日焼けはしないけど日光は天敵なのよ」

 手に持っている小瓶を僕に渡してきた。ちなみに、僕はもう塗っている。母さんが「渚は肌を焼いちゃいけません!」と言ってくるからだ。

「美容の特製オイルよ。背中塗ってくれるかしら?」

「了解です」

 蓋を取りはずし、手の平に適量を垂らす。そして、手の平で少し温める。母さんに塗った時の経験がこんなところで活きるとは思わなかった。

「では、さっそく準備しましょうか」

 リアス先輩は背中に手を回し、ビキニのブラの部分を外した。当然押させるものがなくなった胸は、零れ落ちるようにその姿をさらす。

「ちょ、ちょっと! なんで僕の目の前で脱ぐんですか!?」

 そんなこと言いながらも、ばっちり胸を見てしまうのは男の性ゆえか・・・・・・・。普通うつ伏せになってから外すものだろう。

「ナギだからよ」

 よくわからない返答をされた。

「さあ、お願いね」

 順序が逆だが、リアス先輩は長い髪の毛をどかしてうつ伏せになる。胸がつぶれて横にはみ出ているのがすごい。

 そればかり見ていると理性がどうにかなりそうだったので、塗ることに集中することにした。

 塗っているとわかるが、スベスベの肌だ。触っていて飽きがこない。そんなことを考えながらむらの無いように満遍なく塗っていく。

「塗り終わりましたよ」

 もう少し触っていたかったような気がするが、無事に背中にオイルを塗り終えた。

「ありがとう。ところでナギ・・・・・・」

「なんですか?」

「胸にもオイルを塗ってくれないかしら?」

 思考が停止しそうになるが、気力を振り絞って何とか持ちこたえた。

「ま、前は自分で塗れますよね!?」

「ええ、でもナギに塗ってもらいたい気分なの」

(どんな気分ですか、それ!?)

心の中で叫んだ。このままだと、リアス先輩の胸にも塗る羽目になりそうだ。僕だって男なので嫌ってわけじゃないが、恥ずかしいというか複雑である。

「あらあら、部長だけずるいですわ。ナギくん、私にも塗ってくださる?」

 突然背中に重みを感じたので、首をまわして確認すると、朱乃先輩が僕に抱き着いてきていた。

 当然、僕の背中にダイレクトに胸の感触が伝わってくる。そう、ダイレクトなのだ。布地の感触がしない。他にも足を絡めるようにしてくるので顔が赤くなっていく。

「ちょっと、朱乃。まだ塗り終わってないのよ? それにそんなにくっつかないで!」

 不機嫌そうにリアス先輩が上半身を起こす。再びリアス先輩の胸とご対面だ。丸見えですよ! 隠してください!

 朱乃先輩はそんなリアス先輩に対抗するように、一層僕にくっつき、頬と頬とスリスリとする。

「ねえ、ナギくん。リアスが怖いですわ」

 僕の耳を甘噛みしながら言っても説得力がないと思います。噛まれるたびに理性が削られていく。息子が目覚め始めていた。

「リアス、ナギくんに最初に目を付けたのは私なのよ? それをあとから掻っ攫うのはどうかしら?」

「こういうのは早い者勝ちのなのよ。いくら先に目を付けたからって絶対に譲らないわ!」

 二人で言い争いを始めてしまった。僕は何とか理性を持ちなおそうと心頭を滅却する。

「ところでナギくん」

 滅却しようとしたら、話しかけられた。失敗してしまう。

「いつもリアスと寝ているのよね?」

「ええ・・・・・・そうですが」

 何が言いたいんだろう?

「じゃあ、エッチなことはもうしたの?」

「そ、そんなことするわけないじゃないですか!」

 なんてことを聞くんだ! でも少し落ち着いてきた。理性のライフも少し回復したきがする。

「あらあら、それじゃあナギくんは悶々として溜まるばかりですか・・・・・・。良かったら私が吐き出させてあげましょうか?」

 せっかく回復した理性が再びダメージを負った。確かに、兄さんほど盛んではないけど性欲がないわけではないのだ。

「大きくなったナギくんのを乱暴に私に突き込むんです。雄の本能のままに・・・・・・」

 手で僕の体をまさぐりながら、耳元でささやいていく。思わずのどが鳴った。その場面を想像してしまい、息が荒くなるのを感じる。

―ヒュッ! ボンッ!

 僕の横を紅い魔力が通り過ぎた。後ろで破砕音がし、見てみると飛び込み台の一つが消滅している。水をかけられたように一気に熱が冷めた。

「朱乃・・・・・・・ちょっと調子に乗りすぎじゃないかしら? あなた、私の下僕で眷属だということを忘れていない?」

 ドスの効いた声でリアス先輩が言う。

「私は引かないわよ? リアスには渡しませんわ」

 朱乃先輩が僕から離れる。リアス先輩は紅いオーラを、朱乃先輩は金色のオーラを発している。ただ、二人とも胸が丸出しなので締まらない。

「ナギはあげないわ。いやしい雷の巫女さん」

「それはこっちのセリフだわ。紅髪の処女姫さま」

「あなただって、処女じゃないの!」

「何回もチャンスを逃しているリアスよりましですわ!」

 破壊音が巻き起こり、喧嘩のレベルを超えた争いが始まる。空中を飛び交い魔力を放ちあう。リアス先輩は水着の上をつけていないので

 みんなも何事かとこちらを見ていた。リアス先輩は水着の上をつけていないので、兄さんが鼻血を出して、アーシアさんに抓られている。その光景は父さんと母さんを幻視させた。

―バゴッ!

 僕のすぐ近くに魔力が飛んできて、プールサイドを抉った。

 止めたいけど、僕が止めたらややこしいことになりそうな気がビンビンするので、心の中で謝罪しながら比較的安全そうなプール用具室に逃げ込んだ。


Side out


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