小説『ハイスクールD×D 〜銀白の剣士〜』
作者:strik()

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〜第4話〜




Side 渚


 結局、僕は悪魔になるとこはなかった。相性のいい駒であろう|騎士(ナイト)の駒では数が足りず、グレモリー先輩の持っている他の駒ではだめだった。

「眷属にはできなかったけど、これからよろしくね。私のことはリアスでいいわ。渚くん・・・・・・ナギと呼んでもいいかしら」

「構いませんよ。リアス先輩」

 ほかの部員もそう呼んでいいかと聞いてきたので、了承しておく。

 そして、兄さんはオカルト研究部に入部し、僕は剣道部と掛け持ちすることになった。まあ、あまり剣道部にはいかないので構わないと言えば構わない。

そして今、僕たちは風を切っている。朱乃先輩に簡単な魔力の操作方法を教えてもらって、魔力を体に帯びさせ、瞬間的に放出。それを連続して、その推進力で兄さんの自転車に並走していて、兄さんのチラシ配りに付き合っているのだ。これを見た朱乃先輩は「魔力放出」とか言っていた。

「ほら、兄さん! 速く、速く!」

 自転車をこいでいる兄さんに声をかける。

「なんで、自転車の俺より速いんだよぉぉぉぉぉぉぉ!」

 今の僕は走っているというより、跳んでいる状態に近い。一歩一歩のストロークが大きいのだ。

「ちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! 仕方ないよな! 仕方ないもんな! 俺、悪魔だもーん!」

 兄さんが意味不明な絶叫をしている。近所迷惑なので速攻で黙らせた。

なぜ、兄さんがこんなに必死になっているのかというと、それはあの日に遡らなければいけない。





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「じゃ、じゃあ! やり方次第では俺も爵位を!?」

「ええ。不可能じゃないわ。もちろん、それ相応の努力と年月がかかるでしょうけど」

「マジか! 俺が! 俺がハーレムを作れる!? エ、エッチなこともしていいんですよね!?」

「そうね。あなたの下僕にならいいんじゃないかしら」

 リアス先輩を兄さんのやり取り。兄さんのあまりの発言に膝をついてorzになってしまった。僕はおかしくないだろう。そして姫島先輩と塔城さんが、ポンと僕の肩を叩いた。

「元気出してください」

「・・・・・いいことありますよ」

二人は慰めようとしてくれるが、僕にはその優しさが痛かった。木場は苦笑いしている。身内の恥を思い切り、晒している状態だ。

「ハーレム王に俺はなるッ!」

 僕は止めを刺された気分だった。あの時は、もう泣きそうだった。目の前が涙で見えなかったのだから。

「・・・・・・・・きっといい事あります」

「ええ、その通りですわ」

「ありがとうございます。塔城さん、姫島先輩」

 慰めてくれた二人に、顔を上げてお礼を言う。

「私のことは、朱乃でいいですわ///」

「・・・・・・私も小猫でいいです///」

 二人とも顔が赤くなっていた。・・・・・・風邪だろうか?

「わかりました。朱乃先輩と小猫ちゃんですね」

 正直ダメージは抜けないが、なんとか立ち上がる。まだ、涙目だ。その時に木場が手を貸してくれた。木場は、

「君も苦労してるんだね。僕のことは祐斗でいいから」

 と語っていた。木場、いや祐斗はいいやつだな・・・・・・・・。そして、祐斗も苦労しているらしい、確かに女子の中に男子が一人じゃ大変だろう。

 そこで、リアス先輩と兄さんが来る。僕の顔を見て、グレモリー先輩の顔が赤くなっていた。

「・・・・・・・・イッセー? あなたの弟は本当に男なのかしら?」

「俺も・・・・・・最近自信がなくなってきました・・・・・・・・・・・」

 女にしか見えないのはわかっているが、面と向かって言われると結構くるものがある。僕は部室の隅に移動して、体育座りで座る。また涙が溢れ出てきたのだ。

 元凶の二人は、他の人(悪魔)から責めるような目で見られていた。





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 まあ、最後の方は余計だったが、そんなことがあったのだ。なので、兄さんはハーレム目指して頑張っているのだ。そして、数日後・・・・・・・・・・。

「今回はあなたに仕事を任せてみようと思うわ」

 チラシ配りが終わり、ようやく仕事がもらえるようだ。

 どうやら、小猫ちゃんへの依頼の代わりに兄さんが行くらしい。それも、魔法陣から依頼人のもとへ、瞬間移動するようで、今回僕はお留守番だ。

「それじゃあ、いってらっしゃい!」

 魔法陣から光があふれ、兄さんの体を覆う。そして、光が収まった後には――――

「リアス先輩。兄さん、まだいますよ?」

 兄さんも困惑した表情で先輩を見ている。先輩は額に手を当て、困り顔。朱乃先輩はあらあらと残念な表情。木場は溜息をついていた。

 リアス先輩の説明している。どうやら、兄さんには魔力が悪魔の子供以下の量しかないらしい。僕は魔力が桁違いに多いので、兄さんにもそれなりの量があると思っていたようだが、違うようだ。

「こwwwどwwwもwww以www下www」

 僕は大爆笑。ドラゴン波よりもクリティカルヒットした。

「・・・・・・・無様。ナギ先輩の搾りかすですね」

 小猫ちゃんは痛烈な口撃。小猫ちゃん? 兄さんが泣いちゃうよ?

「あらあら、困りましたわね」

 困り顔の朱乃先輩。

 結局、足で行くことになった兄さん。足で行くならと僕もついていくことにした。

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁん! がんばりますぅぅぅぅぅ!」

 兄さんは涙を流しながら、走り出した。


Side out





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Side 一誠


 俺は今、依頼人の森沢さんの家にいる。魔法陣から出れないので、最初は変態扱いされたが、俺が泣いているのを見て入れてくれた。

「そうかい。魔法陣から出ていけないんで、ショックを受けたのか・・・・・・」

「みたいです」

 不健康そうな見た目だが、部屋の中は小奇麗だ。職業は公務員らしい。人との触れ合いに飢えていたそうで、つい悪魔召喚をしてしまったようだ。

「小猫ちゃんじゃないんだね・・・・・。ところでそっちのかわいい女の子は?」

 渚に聞いているらしい。

「僕は、ただの付き添いの人間です。兄さんが面白――いえ、何か変なことをしないか心配で。ちなみに、僕は『男』です」

 今、渚面白いって言おうとしてなかったか? そして男を強調しすぎだ。

「ああ、そう・・・・・って男の娘だと・・・・・・」

 悪魔の付き添いの人間って・・・・・・と言う目でこちらを見た後、驚いたような感じの森沢さん。

「ところで、ぼ、僕はかわいい系のお願いをチラシに願ったんだけど・・・・・」

「俺もかわいい新人悪魔ってことで、一つ納得してくれませんかね?」

「ハハハ! 無茶言うね、キミ! そこの男の娘ならまだ許すけど、キミだったら、もしここに祝福儀礼された銀造りの剣でもあったら切りかかっているよ!」

「なら、これをどうぞ。銀造りでも祝福儀礼もされてはないですが、剣の重さで潰せますよ」

 渚は、鞘に覆われたあの剣を取り出して、森沢さんに渡そうとしていた。

「気が利くじゃないか!」

(な、渚ァァァ! お前! 何渡してるんだよ!?)

「ん! ふん! ・・・・・・ダメだ。重すぎて使えない・・・・・諦めるよ」

「そうですか」

 森沢さんは重くて剣を持ち上げられないようだ。なので、渚は剣を消す。

(助かったァァァァァ!)

「と、ところで、小猫ちゃんに何をお願いするつもりだったんですか?」

 ここで話を変えなければ、まずい。俺は何とか話題を変えようとする。

「これを着てもらいたかったんだ」

 そう言って取り出したのは、アニメ暑宮アキノシリーズに出てきた、短門キユの制服だった。


Side out





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Side 渚


森沢さんが取り出したのは、女子制服だった。話を聞くと、アニメの制服らしい。僕は見ていないのでまったくわからない。

「ところで、悪魔くん、君は短門が好きかい?」

「いえ、どちらかというと俺は夜水可子派です」

「理由は?」

「おっぱいです」

「――ッ」

 兄さんの迷いない一言。あまりの迷いのなさに森沢さんは言葉を失っている。

「巨乳派かい?」

「はい、おっぱいには夢が詰まっている。これは断言できる」

 兄さんはリアス先輩の胸のことでも思い出しているのだろう。すいません、お巡りさん! 変態がここに一人います。

「いい目をしてるね。おっぱいに並々ならぬ熱意を感じる。なるほど、僕とは真逆の性癖のようだね。僕はね、貧乳が好きなんだ。あと、男の娘が大好物でね」

 はぁはぁとこっちを見ながら息を荒げている|森沢さん(変態)。ここに変態は二人いた。いや、別に僕は人の趣向をどうこう言うつもりはない。ただ、こいつらはいきすぎだ。

「小猫ちゃんは短門に似ているだろう? 雰囲気とか。背は少しばかり足りないけど」

 そうなのか? 僕にはわからないけど。

「だからこそ、これを着てほしかった。着てほしかったんだよッッ!」

 |森沢さん(変態)が悔し涙を流している。よほど着てほしいのだろうが、ここまでいくとドン引きだ。そして、兄さんは空気を読んだつもりなのかバカな発言をした。

「すみません。わかりました、俺が着ましょう―――」

「殺すぞ、この野郎!」

 号泣しながら叫ぶ森沢さん。一度深呼吸をして涙を拭うと、こちらを見て言った。

「そうだ! キミが着てくれないか?」

「は?」

 突然、話を振られて困惑する僕。

「頼む!」

 まさかの土下座。兄さんも「ここまでしてるんだからやってやれよ」的な視線で見てくる。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・わかりました」

 しぶしぶ、了承する。

「本当かいッ!」

「ええ、ただしッ! お金を要求します。見るだけなら三千円。写真は焼き増ししないことを約束して一枚五千円です」

 嫌な女装をするんだ! 金くらい貰わないと誰がやるかッ!

「いいだろう!」

「あれ? もしかして俺、契約成立した?」

「兄さん、これは僕と森沢さんの契約。兄さんは関係ない」

「う、嘘ッ!?」

「ホント。それじゃあ、着替えてくる」


=数分後=


「こ、これは・・・・・・・」

「予想以上だよ、キミ!」

 渡された制服は小猫ちゃん用なので、制服がかなり小さい。丈はギリギリでお腹が見えそうだし、スカートも短いのでパンツ(トランクス)が見えそうだ。

「クソッ! これでおっぱいが大きかったら!」

 突然、叫びだす|兄さん(変態)

「何を言っているんだ!? おっぱいは小さい方がいいに決まってるだろう!! よって彼女はこれでいいんだ! いや、彼か! 男の娘ですね! 男の娘、サイッコォォォォォォォッ!」

 それに張り合う|森沢さん(変態)。そして今、僕を完全に女扱いした。後、男の娘扱いになって、叫びだした。正直、思わず手が出そうになった自分を抑えたことを褒めたい。

「わかってない! わかってないよ! おっぱいは大きいのが正義なんだ!! それに男の娘のなにがいいんだ!! 奴らは外見は女の子だがチ○コついてんだぞ!?」

「違うッ! おっぱいは小さいのが正義なんだ!! それにしても、男の娘の良さが理解できないなんて、キミもまだまだだね」

 僕を蚊帳の外に、二人は身振り手振りを交え、盛り上がっていく。そして、森沢さんから距離を取る。貞操の危機を感じた。

「どうしても、譲れないんですね・・・・・」

「キミこそ・・・・なぜ、おっぱいは小さい方がいい事が理解できない?」

 ぶつかり合う|変態(二人)。この展開についていけず、蚊帳の外の僕。

「ならば、戦うしかない! 己の|信念(エロ)の為に!!」

「ええ、俺も負けません! 俺の|煩悩(エロ)にかけて」

 ・・・・・・・・・・・・僕はいつまで、この格好でいればいいのだろう? 僕はどうしたらいい・・・・・・・・?

 僕は呆然としているしかなかった。


Side out

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