小説『ハイスクールD×D 〜銀白の剣士〜』
作者:strik()

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〜第6話〜




Side 一誠


「はあ・・・・・・出世街道は遠いな」

 俺は自室でつぶやく。俺の下僕としての役割は|兵士(ポーン)

「一番下っ端じゃないか・・・・・・」

 もし、渚が悪魔になったらどうだろう? 部長に聞いてみたが、渚は今ある駒では下僕にできないらしい。一番相性のいい|騎士(ナイト)の駒も数が足りないらしい。あいつが悪魔になったらあっという間に、抜かれてしまいそうだ。そんなことを渚に言ったら、

『僕が悪魔に転生しないか? って言われた時、|兵士(ポーン)の駒はなかったんだ』

 あいつは微笑みながらそう言ってきた。・・・・・何が言いたかったのかは、いまいちわからなかったけど、励まそうとしている感じはあったので、たぶんいい事だろう。それにしても、あいつの微笑みはヤバイ。思わず赤面するところだったからな。ホント、双子なのに似てないことで・・・・・・。遺伝子はいったいどんな仕事をしたんだろう?

「あーあ、俺、最弱の|兵士(ポーン)です。いいとこなしですが、爵位持ちになれますかね・・・・・・? えぇと、魔王様でいいのかな? って魔王様に相談しても仕方ないか」

 思わず苦笑い。目標を立てよう。うん、そうしよう。

「まずは、魔法陣からジャンプすること!」

 よし。最初の目標決定だな。なんか気合入っていた。いつまでも、自転車で移動するのは面倒だからな!

「よし! がんばるぞ、俺! やるぞ、俺!」

「兄さん、うるさい! それとそろそろ時間だよ」

 ・・・・・・・怒られてしまった。まあ、それはいい。とりあえず、悪魔に活動時刻となった。





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 深夜、自転車を飛ばして訪れたのは一軒家だ。今日は渚はいない。部長と朱乃さんに魔術を教えてもらうそうだ。渚には俺と違って有り余るほどの魔力があるらしいので、有効活用するつもりらしい。正直羨ましいです。

 しかし今回の依頼人は、家族とかに見つかる心配とかしてないのかね? 一軒家で一人暮らしはないだろうし。まあ、まずは呼び鈴を――――

「あれ? 開いている?」

押そうとすると、玄関のドアが開いているのに気付いた。

(不用心だな。――――ッ)

 得体のしれない不安が俺を襲うが、俺は玄関から中を覗き込み、家の中を見る。廊下の電気はついておらず、二階への階段もあるがこちらも電気はついていない。一階の一番奥の部屋にだけ淡い光がついていた。

(おかしい。人気が感じられない・・・・・。寝ているのか? でもそれだったらこの空気はなんだ?)

 玄関で靴を脱いで、その靴を手に持ち、廊下を進む。目標は、一番奥の部屋。抜き足差し足で奥の部屋に辿り着く。ドアから顔を覗かせて、部屋を見ると光の正体はロウソクだとわかった。

「ちわース。グレモリー様の使い魔ですけど・・・・・・・。依頼人はいらっしゃいますか?」

 返事はない。仕方ないので部屋の中へ踏み込む。ソファー、テレビ、テーブルなどが置いてある。どうやらリビングのようだ。俺はゆっくりと部屋を見渡す。

(ん? あれは・・・・・)

ふと、壁に視線を移すと男の死体が上下逆さまで張り付けられていた。傷口から内臓らしきものも零れて―――――

「おぉうぇぇぇ」

 俺はその場で吐いてしまった。生憎、今までこんな姿の死体を見るような経験はない。我慢などできなかった。こんな殺し方は常人の神経では無理だ。さらによく見ると、壁になにか書いてある。

「な、なんだ、これ・・・・・?」

「『悪いことする人はおしおきよ!』って、聖なる言葉を借りたものさ」

 突然、俺の後ろから若い男の声がする。振り向くと、白髪の男がいた。若い。外国の人で、十代くらいじゃないか? 服装は神父っぽい。ついでに美少年だ。クソがッ!

 その神父は俺を見るなり、ニンマリと笑う。

「んーんー。これは、これは、悪魔くんではあーりませんかー」

 何故だか、実にうれしそうだ。

 先日の部長の言葉を思い出す。教会関係者にはかかわってはダメって言っていたはずだ。目の前にいる少年は格好からして神父だろう。俺のことを悪魔と認識しているし、これはもしかしてピンチ?

「俺は神父♪ 少年神父♪ デビルな輩をぶった斬り〜、ニヒルな俺が嘲笑う〜♪ お前ら、悪魔の首刎ねて〜、俺はおまんまもらうのさ〜♪」

 神父が歌い出す。なんなんだ、こいつ! 訳がわからんぞ!?

「俺のお名前はフリード・セルゼン。とある悪魔祓い組織に所属している末端でございますですよ」

 神父が名乗るが、俺には名乗らなくていいと言う。出会ったことのないタイプだ。言動もメチャクチャだぞ。だが、とりあえず、こいつには聞きたいことがある。

「おい、おまえか? この人を殺したのは?」

「イエスイエス。俺が殺しちゃいました。だってー、悪魔を呼び出す常習犯だったみたいだしぃ、殺すしかないっしょ」

 な、なんだそりゃ!

「あんれ? 驚いてるの? 逃げないの?おかしいねぇ、変だねぇ。つーかね、悪魔と取り引きするなんて人間としえ最低レベル、クズ街道まっしぐらっスよ。」

 その辺理解できまでかねぇ。と続けるフリードとかいう神父。ダメだ、こいつ! 話にならねぇ!

「もういいかな、かな? いいですね? 了解です。今から光に刃を突き立てちゃいます!」

 神父が駆けだしながら、光の剣で俺を攻撃してくる。俺はすんでのところでそれを躱すが、足に激痛が走る。

 神父を見ると片手に拳銃が握られ、そこから煙が出ていた。

「ぐあぁぁ!」

 呻きながら膝をつく。この痛みは覚えている。光の痛みだ。

「死ね死ね悪魔! 死ね悪魔! 塵になって、宙を舞え!」

 笑いながら俺に止めを刺そうとしてくる。

「やめてください!」

聞き覚えのある声がした。視線だけを向けると俺の知っている子だった。

「アーシア!」

 俺が教会まで連れて行った金髪のシスターがそこにいた。

「おんやぁ? なんのつもりかな、アーシアちゃん?」

「! い、いやぁぁぁぁぁ!」

 壁に打ち付けられている死体を見て悲鳴を上げるアーシア。

「かわいい悲鳴ありがとう! この手の死体を見るのは初めてですかねぇ。悪魔に魅入られた人間はそうやって死んでもらうのですよぉ」

「そ、そんな・・・・」

 ふいに彼女の視線が俺をとらえた。

「フリード神父・・・・・・その人は?」

「人? 違う、違うこいつはクソ悪魔さ」

「―――っ。イッセーさんが・・・・・悪魔・・・・・?」

 その事実にショックだったのか、言葉を失っている。

 ・・・・・・・・知られたくなかった。あのままでよかったんだ。知らないままでよかった。俺は二度と会うつもりなんてなかったのに・・・・・。

「なになに? キミら知り合い? もしかして、悪魔とシスターの許されざる恋とか?」

 面白そうに言う神父。こいつは俺たちを交互に見ていた。

「アハハ! 人間と悪魔は相いれません! 特に教会関係者と悪魔ってのは天敵だ! まあいいや、とにかく俺はこの悪魔を殺せればぁ」

 まずい、このままじゃ殺される。そう思うと俺と神父の間にアーシアが割り込んだ。

「おいおい、マジですかー。アーシアたん、キミ、なにしてるかわかってる?」

「はい。・・・・・フリード神父、お願いです。この方を許してください」

 その一言に俺は声を詰まらせる。

「なにを言ってやがりますかぁ? 悪魔はクソだって教会で習ったろろうがぁ!」

 フリードはキレている。

「悪魔にだっていい人はいます」

「いねぇよ! バァァァァァァカ!」

 神父がアーシアを殴る。アーシアは床に転がった。

「堕天使の姉さんからはキミを殺さないように言われてるけど、ちょっとムカつきマックスざんすよ」

「おい、アーシア!」

 神父は倒れたアーシアを一瞥し、再度、俺に光の剣を向けてくる。

「庇ってくれた女の子を前にして、逃げらんねぇよな。よっしゃ、こい!」

 俺が勝てる見込みは少ないが、女の子を置いて逃げられるわけがない!

「え? え? マジ? マジ? 俺と戦うの? 死んじゃ――ウゲラッ!」

 ガシャン! というガラスが砕ける音とともに、喋っている最中の神父が、突然吹き飛んだ。何事かと思ってみると、そこにはよく見慣れた、黒髪のポニーテールが揺れていた。

「助けに来たよ、兄さん。それと女の子を見捨てないなんて、なかなか、カッコいいじゃいか」

 颯爽と現れたのは、女の子みたいな弟の渚だった。


Side out





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Side 渚


 今日は、兄さんについて行かないで、リアス先輩と朱乃先輩と魔力の使い方を教わっていた。

「あらあら、ナギくんは魔力で自然現象を起こすより、物の強化や自分の強化、それに魔力の集束・圧縮・放出に向いているようですね」

 朱乃先輩のように、魔力で炎を起こしたりしてみたのだが、使っている魔力に対して炎がやけに小さかった。だが、魔力による強化は少ない魔力で十全たる効果を発揮しているらしい。そう言えば、依然に僕が使っていたのを「魔力放出」と言っていたのを思い出した。

「そうなると、私ではあまり教えられないと思いますわ」

「そうね。私の魔力は特殊だから教えようもないし」

 朱乃先輩は自然現象などを起こす方が得意で、強化系は苦手らしい。リアス先輩はグレモリー家特有の魔法だとか。僕は集束・圧縮も十分なレベルでできているらしいので教えることがないと言う。放出ができる人は極めて稀らしく、朱乃先輩では教えることができないらしい。自然現象として魔力を放出するのと、純粋な魔力を放出するのでは勝手が違うようだ。朱乃先輩は部室にある本の何冊かを抜き取り、僕に渡してきた。

「これが強化系の魔法が書いてある本。こっちが魔力の集束・圧縮に関する本ですわ。残念ですけど、放出に関する本はありませんの」

 渡された本を見てみる・・・・・・。

「先輩・・・・・・・字が読めません」

「あらあら、そうだったわ」

 仕方ないので朱乃先輩読んでもらうことになった。

「――なので、この魔法は―――という効果がありますわ」

「なるほど、なるほど」

 しばらく、朱乃先輩に読んでもらっていると、祐斗が戻ってきた。

「ただいま」

「おかえりなさい。祐斗」

「おかえりなさい」

「おかえり」

 読んでもらった本から顔を上げて、時計を見る。

「そういえば、兄さんは大丈夫だろうか?」

「気になるのかい?」

「まあね」

「じゃあ、見てきてもらおうか」

 そう言って、祐斗はどこからか小鳥を呼び寄せて、窓の外に飛ばした。

「さっきの小鳥は?」

「あれは僕の使い魔さ」

 なるほど、悪魔にもそう言うのがいるのか。使い魔って言うとどちらかと言うと、魔法使いをイメージしてしまうけど。

 数分待っていると、木場が慌てた様子で言ってきた。

「兵藤くんが悪魔祓いに襲われています」

「なんですって!? すぐに小猫を呼び戻して!」

「祐斗! 場所は?」

「え? ○○市××の3-2-4だけど・・・・・」

 言われた場所を頭の中の地図で、大体目安をつける。

「先に行きます!」

「ちょっと!? ナギ!」

「ナギくん!?」

 リアス先輩と朱乃先輩の呼ぶ声が聞こえたが、無視して僕は空に向かって走り出した。

「さっそく、役に立ったな」

 さっき朱乃先輩に読んでもらった本に書いてあった魔力を集束、固めて足場にする魔法を使って足場を作り、魔力放出でジェットのように魔力を噴き出しながら、僕は空を駆けた。


Side out

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