小説『真・恋姫†無双〜外史の守り手〜』
作者:ブリッジ()

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萌将伝編第6話〜孫家の母、甦りし想い出〜














思春に会いに行き、そのあと雪蓮と共に建業に帰還(連行)した。しばらくは蓮華の指南役や将兵の調練、新しい政策関連の書簡の作成、後はシャオに連れまわされたり雪蓮や祭さんの酒の相手等をしながら建業での日々を過ごしていた。今日は買い物と市場調査を兼ねて店が立ち並ぶ大通りに来ていた。

「うん、やっぱり孫家の枕元だけあって賑わっているな」

大通りは大勢の商人に加え、その立ち並ぶ出店の商品を求めての買い物客に溢れていた。

「政策は順調に機能しているみたいだな」

俺が1度この外史を離れる前に残しておいた草案の1つである通称『楽市楽座』制度が順調に機能しているみたいだ。

「でも賑わってる1番の理由は乱世の終結だな」

戦争中は常に国同士で緊張状態にあるため、商人達は他国へは行きづらかったし、街の外は賊も多数存在した。だが、乱世終結により蜀、魏、そして呉との間に同盟、そして和平が締結され、国家間の行き来ある程度自由になったことで商人達がそれぞれの国の特産品をそれぞれの国で販売出来るようになり、戦時中は高価だった他国の特産品が安価で販売出来るようになり、民はそれを求めて日々店の前へと向かっている。五胡との同盟が成立した今では五胡の特産品も割と手に入る。まあ建業は五胡の国から少し距離があるからまだ気軽には手に入れる事はできないが・・。

「あれは魏の商隊で、あっちは蜀の商隊だな。・・おっ、五胡の国の商隊までいる。珍しいな・・」

やっぱこういう光景を見ていると平和をより強く実感出来るな。

俺はしばらくその光景を見ながら大通りを歩いた。



















・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・


しばらく歩いていると、正午過ぎとなり、少々小腹も空いてきた。

「ここらで腹ごしらえでもするか・・」

近くに飲食店はないかと探していたその時・・。

スッ・・。

「!?」

俺のすぐ横を蒼いローブの様な物を纏い、フード深くかぶった人物が通った。

「今の・・、間違いない」

俺はすぐさま振り返り、その人物を追った。




















・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・


「何処に・・」

ローブを纏った人物が路地裏へと入ったのを確認し、俺も通りの人を掻き分けながら路地裏に入った。だがローブの人物の姿が見当たらない。

「確かにこの路地裏に入ったはずだが・・」

俺が辺りをキョロキョロしながら探していると・・。

「お待ちしていました」

「!?」

突如背後からの声と気配に振り返る。そこにはさっきのローブの人物がいた。

「・・・・お前、この外史の人間じゃないな。守り手・・いや、管理者か?」

俺が尋ねるとローブの人物は被っていたフードを取り、素顔をさらした。すると後ろ髪が短く、揉み上げが長い女性の顔があらわになった。

声と体格で想像はついていたが、やっぱり女か。

「はい。私はあなたの言葉通り、管理者です。名を管輅と申します」

管輅・・。

「この外史で天の御使いの降臨を占った人物の名が確か管輅だった。それはお前の事か?」

「はい。あなたが動きやすくなれるようにこの大陸全土に広めさせていただきました」

「なるほどね・・。それで、わざわざ俺の前に姿を現した理由はなんだ? 偶然、ではないんだろ?」

「はい。貂蝉様の命により、あなたの元にやってきました」

「貂蝉の?」

「はい。あなたは外史の破壊者、刃を討滅し、先の騒乱を治めました。その多大なる功績を労う為に私が来ました」

功績を、ね・・。

「具体的には?」

「あなたの願いを1つだけ叶えましょう」

「願いを?」

「私の力は占いだけではなく、そういった力も備わっています。通常めったに力を行使する事はありませんが今回特別に許可が出ました」

「へえー」

詳しく聞いてみると、管輅のその力は、特殊な道具を使用する事で可能らしい。普段は貂蝉達管理者の幹部に使用を固く禁じられているらしいが今回許可が出たらしい。しかし願いの内容にもいくつか制約があるらしい。例えば悪逆非道の願いは駄目。他には時間軸の関する願いは不可能(例えば過去未来に行くや、時間を戻したり進めたり等)。

「うーん・・」

そう改められて聞かれると・・、願いはないなぁ・・。正直、今の俺はかなり満ちたりているからなぁ。だからといって何もないので帰ってくれって言うのも気が引ける・・。

「1つ聞いてもいいか?」

「どうぞ」

「願いの対象は俺じゃなきゃ駄目か? 例えば他の者の願いでも構わないか?」

「内容次第では可能」

「そうか、なら・・」

三国の皆と相談して決めたい・・。そう言おうとしたその時・・。

「ただ私は明日の正午にはこの外史を離れなければならない。それまでに願いを決めてほしい」

「明日の正午・・」

今は正午過ぎ。どう考えても蜀や魏の皆に相談する事は不可能。なら孫呉の皆と決めるしかないな。

「分かった。明日までに願いを決める。それまで待っててもらって構わないか?」

「構わない。ゆっくり考えるといい。では明日この場所で・・」

管輅はそう言うと通りに歩いていき、人ごみに紛れていった。

「・・さてと、城に戻って皆に相談するかな」

俺は昼食を断念し、城に戻った。























※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※


「―――という訳なんだが」

俺は城に戻り、玉座の間に呉の将の全員を集め、さっきの出来事を説明した。

「管輅って、昴がこの大陸に来ることを予言した占い師よね?」

「まさかそんなだいそれた力があるとはな」

各々が俺の説明を聞き、様々な反応をしている。

「何か叶えたい願いがあれば頼んでみるつもりだ。何かないか?」

俺が皆に尋ねると蓮華が・・。

「でもそれは昴の為のものなのでしょう? いいの?」

「俺はもう充分に今の生活に満足している。これ以上望むものはない。だから皆で決めてくれ」

「そう、だったら・・」

皆が各々意見を出す。

「そうじゃのう、ならばこの世界に存在する名酒という名酒に囲まれてみたいのう」

祭さんが願いを口にする。

「あっ、それいいわね♪」

雪蓮がそれに便乗する。

「私はあらゆる政治や軍略のまつわる書物を読んでみたいです〜」

穏も自分の願い口にした。

「私も興味あります!」

亜莎も同意見みたいだな。

「私はたくさんのお猫様に囲まれたいです♪」

「ん〜・・、俺は新しい得物が欲しいかな」

「お前達は私欲ばかりだな・・」

「ん〜、でも願いと言われても急には出てこないわね・・」

と、明命、楓、蓮華がそれぞれが自身の意見を挙げていく。

「・・・・ねえ」

「ん? どうした、シャオ」

「シャオね・・・、お母さんに会いたい」

「「「「・・・」」」」

シャオが自分の願いを口にした。すると全員が押し黙った。

お母さん・・、孫家の雪蓮の前の王であり、雪蓮や蓮華やシャオの母親である孫文台殿か・・。

「昴・・、どうなの?」

蓮華が俺に尋ねる。

「・・分からない、そのことに関しては特に言及していなかった、だが・・」

ただこればかりあの管輅でも無理だと思う。というのが俺の意見だ。と言うのも甦りに関しては、あらゆる魔術妖術が存在する外史でも不可能だった事であり、魔術に長けた管理者でも不可能な事だからだ。

「孫文台様・・、私は孫堅様亡き後に仕官しましたのでお話程度しか・・」

「私も存命当時はまだ一工作兵でしたので遠巻きにご拝見した事しかありません」

「懐かしいな、俺はばっちゃんに模擬戦で何度もボコボコにされたっけな」

「偉大なお方でしたね〜」

皆がそれぞれの想い出を反芻させる。

「・・分かった、とりあえずその願いを管輅に伝えてみよう。皆もそれでいいな?」

俺が皆に尋ねると皆が一斉に首を縦に振る。

「それじゃあそれで決まりだな。なら明日管輅を城に連れてくる。それまで待っていてくれ」

話は決まり、この集まりはこれでお開きになった。




























※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※


翌日・・。

昨日の路地裏に向かうとそこには管輅が待っていた。事情を説明し、城へと案内した。

「あなたが管輅?」

「はい。名は管輅、占い等を生業にしているものです」

「そう・・」

蓮華は管輅の目をジッと見つめた。管輅も同様に蓮華の目を見つめる。

「それで、願いを叶える事ができるという話だけど、それは真か?」

「真です。いくつか制約があり、かつ万能ではありませんが、叶えられます」

「・・分かったわ。ならさっそく願いを言わせてもらうわ。願いは私達の母様である孫文台を蘇らせてもらいたい」

蓮華は自身の、孫家全員の願いを管輅に伝えた。

「・・話は分かった」

「では・・!」

「申し訳ない、死者を蘇らせる事は私にも出来ない」

「・・そうか」

皆が落胆する。事前に俺がその願いが難しい事を伝えていたため多少は覚悟していたようだ。

やはり無理か・・。

「しかし、僅かな時間であるなら現世(うつしよ)に呼び戻すことは可能」

「「「「!?」」」」

「死霊転生の術、というものがある。これは死者を冥土より呼び寄せ、仮の身体で転生させる術。これを行えばその孫文台殿とも会える」

「その術は俺も聞いた事がある。だがあれは長時間は無理なはずだ」

「時間は1刻半程度」

1刻半・・、約3時間くらいか。

「どうする?」

俺は皆に尋ねた。

「シャオは・・、シャオは少しの時間でもいいからお母さんに会いたいな」

シャオに続き雪蓮が・・。

「私もそうね、私も久しぶりに母様と手合せしてみたいわ」

「私も、今の私を母様見てもらいたいわ」

「うむ、儂も堅殿と酒でも酌み交わしたいのう」

「私も積もる話がたくさんあるな」

「俺もばっちゃんに会いてぇー!」

「私もたくさんお話したいですね〜」

後に蓮華、祭さん、冥琳、楓、穏が続いた。

「それでは願い事は孫文台殿の転生。それで構いませんか?」

管輅が皆に尋ねると、全員が一斉に頷いた。

「ではその願い、叶えましょう。今から私の言う物を用意して下さい。それが揃いましたら城外へとお願いします」

俺達は管輅の指示された物を用意し、城外へと向かった。




























※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※


場所を城外の荒野に移した。死霊転生の術、これを使用すると辺りが騒然となってしまう為だ。ここには雪蓮、蓮華、シャオ、冥琳、祭、穏、楓がいる。(明命と亜莎は城を将が完全に留守にするわけにはいかないので来ていない)

管輅は4つの灯篭の様な物を縦横2メートルの四角形が出来るように置き、その四角形の中に懐から取り出した小瓶の中の水を撒いていった。そして先ほど用意した貴金属と孫文台の櫛を四角形の中心に置いた。

「それでは始めます」

管輅がそう告げると、左手の中指と薬指を曲げ、印を構えると詠唱を始めた。

「―――――」

詠唱が始まると、四角形の中心に何やら魔法陣の様なものが光と共に浮き出し始めた。

「―――――」

さらに詠唱を続けると、魔法陣の光がより一層強くなった。そして・・。

ゴゴゴゴゴ・・。

魔法陣を中心に突如雷雲が出来始めた。

「何!? どうなってるの!?」

蓮華が動揺する。

「おそらく術の影響だろう。・・なるほど、これじゃ建業の城内では出来ないな」

俺がそう呟くと、魔法陣の光が天へと昇り始めた。

「―――御魂よ、我が声に耳を傾け、今一度、束の間の生を与えよ! 破っ!」

ドゴォォォォン!!!

「きゃあ!」

「くっ!」

管輅が唱えるのと同時に魔法陣に雷光が落ちた。その衝撃と光によりその場に居た全員が目を覆った。

「どう・・なったの?」

雪蓮がおずおずと尋ねる。雷光が落ちた所には依然として煙が舞っている。やがて風により煙が流れると・・。

「「「「!?」」」」

そこには雪蓮や蓮華が、シャオと同じ髪の色のロングヘアーに力強さを感じさせる切れ長の瞳、額には雪蓮と蓮華と同じ印で祭さんと同じくらいの歳の女性が座り込んでいた。

「かあ・・さま・・?」

蓮華が現れた人物に話しかける。

「おんや? なんだい蓮華じゃないか? どうしてここに・・まさか蓮華も死んじまったのかい?」

現れた人物は頭を掻きながらあっけらかんと尋ねる。

「良く見ると見知った顔がたくさんいるじゃないか。・・いったいどうなってるんだい?」

孫文台殿は少々混乱しているようだ。

「・・お母さん?」

シャオが孫文台殿に歩み寄りながら尋ねた。

「・・・!? あんたシャオかい!? なんだいなんだい、すっかり大きくなったじゃないか!」

孫文台殿は歓喜しつつ驚きの声を上げた。

「っ! お母さん!」

シャオが孫文台殿に抱きついた。それに続き・・。

「母様!」

蓮華もシャオに続き抱きついた。

「お母さん・・会いたかったよ〜!」

「私も母様に会いたかった・・」

蓮華とシャオが涙を流しながら自身の想いを吐露した。

「ばっちゃん! 俺も会いたかったぜ!」

「グスッ・・、私も・・、お会いしたかったです〜・・」

楓と穏も涙を流しながら歩み寄っていく。

「久しいのう、堅殿」

「・・・」

祭さんと冥琳も再会に喜んでいる。2人共その目にはうっすらと光るものがある。

「あなたを一時的に現世に呼び寄せました」

管輅がすかさず説明に入る。























・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・


「・・なるほど、そういう事かい」

「はい。・・刻限は一刻半、それまでに用を済ましてください」

「あいよ、わかったよ」

孫文台殿は皆に振り返り・・。

「しかしホントに大きくなったねぇ、シャオ、それに蓮華も」

「うん! シャオ、成長したもん」

「私も・・、成長しましたから・・」

蓮華にシャオが次々と孫文台殿に想いを告げている。

「祭さん達は行かなくて良いのか?」

「何、まずは家族水入らずの方が良かろう?」

「我々は後で構わん」

「まずは雪蓮様達からです〜」

「だな」

「ならいいけどな」

蓮華にシャオが矢次にこれまでの事を話していく。

「何だって!? 乱世はもう終結しちまったのかい?」

「はい。今では私達の呉、曹操の魏、劉備の蜀、そして五胡の四国同盟が締結しています」

「ほぇ〜、まさか五胡までもが・・、あたしゃ乱世の終結は10年は掛かると踏んでたんだけどねぇ。・・それで、今では蓮華が孫呉の王なのかい?」

「はい! 未熟ながら務めさせていただいています」

「ハッハッハッ! 蓮華なら雪蓮より安心して任せられるねぇ!」

「あ〜、母様ひど〜い!」

「事実だろうに」

今この荒野は一家団欒に包まれている。しばらくして祭さんや冥琳達も加わった。孫呉の皆で和やかに話を弾ませている中、雪蓮が不意に切り出した。

「ねえ、母様」

「お? 何だい?」

「私ね、あれからすごく強くなったのよ。今なら母様にも勝てると思うの。だから私と手合せしてくれない?」

「ほう? ・・・管輅とやら、この身体は生前の様に動く事は出来るのかい?」

「問題ありません。今のあなたの身体は全盛期と同様となっています」

「なるほど、・・なら戦ろうかい」




















・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・


急遽、雪蓮と孫文台殿の一騎討ちが行われる事になった。

「雪蓮、お前がどれほど強くなったかみてやるよ」

「ふふっ、今日こそは私が勝つわ。覚悟してよ」

「ははっ! 言うねぇ、それじゃ、始めようかい・・、雪蓮、お前の剣を貸しな。お前は南海覇王を使いな」

「?」

「その方がお前も実力を出せるだろ?」

「・・良いわ、後で後悔しないでね」

雪蓮は孫文台殿に自身の剣を渡し、そして蓮華から南海覇王を受け取った。

「それじゃ、始めましょう・・、蓮華、合図して」

「はい!」

蓮華が右手を上げ・・。

「始め!」

蓮華は右手を振り下した。

「はぁ!」

開始と同時に雪蓮が斬りかかった。






















・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・


ギィン!!!

2人の剣がぶつかる。俺は離れた位置で一騎討ちを見守っている。

「祭さん」

「何じゃ?」

「孫文台殿はどういった武人なんですか?」

「ふむ、そうじゃのう・・、恐るべき膂力に速さに加え、策殿同様に神懸かり的な勘で圧倒する武人じゃ」

「・・なるほど」

「しかもそれだけではない。野生の虎を思わせる獰猛攻めを仕掛けたかと思えば引く時は冷静に引く、江東の虎等と呼ばれていたが、儂から言わせれば理性を持った猛虎じゃな」

「理性を持った猛虎、ね・・」

確かに好戦的な人に見えるがあまり積極的に仕掛ける素振りが見えないな。決して消極的なのではなく、冷静に雪蓮の太刀筋を見極めている。

「さて、どうなるかな・・」

俺は2人の一騎討ちを見守った。























※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※


雪蓮side

「はぁ!」

ギィン!!!

私の剣を母様がたやすく受け止める。

「やるじゃないか雪蓮! 見違えたよ!」

とか何とか言って、さっきから私の剣を涼しい顔で止めてくれちゃって!

「まだよ! 私はこんなものじゃないわ!」

ドン!!!

私は地を大きく蹴り、一気に母様との距離を詰めた。

「正面から馬鹿正直とは、あたしも舐められたもんだねぇ!」

母様が剣を構える。

来る!

母様の斬撃は今の私でも目で捉えられない。だから母様譲りの勘で避ける!

ブォン!!!

私が上体を下げるとその真上を母様の斬撃が通る。

今よ!

「はぁぁーっ!」

私は母様目掛けて南海覇王を斬り上げる。

「っと!」

上体を後ろに逸らし、斬撃を避ける。

「まだよ!」

私が空振りの勢いを利用して1回転しながら右足での蹴りを母様に浴びせる。

「ちぃっ!」

ガツッ!!!

母様はその蹴りを右腕で防いだ。

これも止められた! でもこれも想定の範囲内よ!

「これで、どう!」

私は蹴りが止められたのと同時に左手に逆手に持ち替えた南海覇王を母様に振るった。

いくら母様でもこれは避けられない筈よ!

勝利を確信して南海覇王を振るう。しかし・・。

ピィン・・。

「!? うそ!?」

母様は私の斬撃を左手の人差し指と中指で挟んで止めた。

「ふぅ〜、危ない危ない」

これを止めるなんて、どれだけ化け物なのよ!

「くっ!」

私は母様から距離を取った。

「ハッハッハッ! 今のは危なかった! やるじゃないかい、雪蓮!」

「これを止める母様の方がすごいわよ・・」

「立派に育ってくれてあたしも嬉しい限りだ。・・それじゃ、そろそろ本気で行こうかい?」

「!?」

本気? さっきまで手加減してたとでも・・!?

ズン!!!

突如私の身体が重くなった。

これは・・、これが母様の本気の殺気なの?

「それじゃあ行くよ、雪蓮!」

ドン!!!

母様が地を蹴った。

は・・やい!

ギィン!!!

「ぐぅ!」

私は何とか母様の斬撃を受け止めるも大きく後ろに弾かれた。

「おも・・い・・っ!?」

「ほら、余所見してんじゃないよ!」

いつの間にか背後に回り込んだ母様が剣を構えている。

ガキン! ギン! ギィン! ・・!

次々と母様の斬撃が私を襲う。

駄目・・。一撃一撃が重くて動きが止められる。何とか避けないと・・。

私は耐えながら隙をうかがう。

・・・ここだわ!

ブォン!!!

私は母様の渾身の一撃を左に飛んで避ける。

「これで・・!」

母様に飛び込もうとした・・、その時・・。

ドスン!!!

「ぐぅ!」

母様がいつの間にか私の目の前に現れ、首を掴むとそのまま私を地に叩きつけた。そして・・。

ザク!!!

私の顔の僅か横に剣を突き刺した。

「・・あたしの勝ちだね」

母様がフッっと笑った。

「・・あ〜あ、まだ敵わないか・・」

私も母様に笑い返した。

「しょ、勝者、母様!」

蓮華が決着を宣言する。

負けちゃったか・・。

「強くなったじゃないか、雪蓮」

「まったく歯が立たなかったけどね」

「たいした進歩だよ。忘れたのかい? お前は以前まではあたしを1歩も動かす事が出来なかったんだよ?」

「・・ふふっ、そう考えれば進歩かもね」

でもやっぱり少し悔しいわ。

「さすが母様です! 雪蓮姉様に勝ってしまうなんて!」

「お母さんすごーい!」

一騎討ちが終わり、蓮華とシャオが私達に寄ってきた。

「ハッハッハッ! やっぱり戦いはいいねぇ! 興奮しっぱなしだったよ! 蓮華、シャオ、お前達もやるかい?」

「わ、私は遠慮しておきます」

「シャ、シャオもいいや・・」

2人共逃げたわね・・。

「ところで、さっきからずっと気になってたんだが、祭の横に居るあの男、あいつは何者だい?」

母様が昴を指さして尋ねた。

「彼は御剣昴。この大陸に舞い降りた天の御使いで、乱世を終結に導いた立役者よ」

「ほう・・」

「そして私の夫でもあるわ♪」

「ちょっと! シャオの夫でもあるわよ!」

「わ、私との・・ゴニョゴニョ・・」

「へぇー、お前達のねぇ・・」

母様が何かを考えている。どうしたのかしら?

「御剣昴とやら! ちょっとこっちに来てくれないかい!」

母様が昴を呼んだ。

























※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※


昴side

決着がついた。

強い・・。あの雪蓮がああも容易く・・。

しばし集まった雪蓮達と話していると・・。

「御剣昴とやら! ちょっとこっちに来てくれないかい!」

「?」

突如俺が孫文台殿に呼ばれた。

何だ?

俺は呼ばれるがまま孫文台殿に歩み寄った。





















・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・


「あんた、天の御使いなんだって?」

「まあそう呼ばれてますね」

「そしてあたしの娘達の夫でもあると・・」

「えっと、それは・・」

正確にはまだですが・・。

「・・なら、あんたが娘達に相応しいかどうか、見定めさせてもらうよ」

「?」

見定める? 何をするんだ?

「雪蓮、南海覇王をよこしな」

「? 母様?」

雪蓮は疑問を浮かべながらも孫文台殿に南海覇王を渡した。

「ははっ! やっぱりこっちの方が手に馴染むねぇ。・・御剣昴、あたしの娘達を娶りたければ、あたしを認めさせな」

・・なるほど、何処の馬の骨とも分からない奴に娘はやれないと・・。

「分かりました。勝負、受けさせていただきます」

俺と孫文台殿の一騎討ちが始まった。




















・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・


俺の目の前に南海覇王を構えた孫文台殿が立っている。すぐ傍らに審判として雪蓮が居る。

「始めるわ」

雪蓮が右手を上げる。俺は村雨に構え、孫文台殿は南海覇王を構える。

「それでは、始め!」

一騎討ちが始まった。

「行くよ!」

ドン!!!

孫文台殿が飛び出す。

「はぁ!」

ドン!!!

俺も同時に飛び出す。

ガキィィーーーン!!!

2人の得物がぶつかる。

「くっ! ・・重い・・」

「ぐくっ! ・・さすがだねぇ」

ギン!!! ・・ドン!!!

1度距離を取り、再び距離を詰める。

キィン! ガキン! ギン!

再度距離を詰め、斬り合いを演じる。

ギィン!!!

ちぃ! 距離を詰めての斬り合いは分が悪いか・・。

俺は縮地で一度距離を取った・・、だが・・。

「なに!?」

俺の縮地による高速移動に孫文台殿は容易く付いてくる。

「逃がしゃしないよ」

ギィン!!!

「くっ!」

重い斬撃が俺を襲う。俺は何度も距離を取ろうとしたが孫文台殿は動きを先読みして回り込み、鋭い斬撃を連発する。

この人・・、氣の使い手ではないのに恐ろしいまでの力と速さだ・・。正直恋や鈴々、凪以上に強い・・。

「なら!」

縮地で一気に孫文台殿の懐に飛び込み、村雨の一撃を囮に空いている左手で掌打を打った。

パシッ!

「なっ!?」

俺の掌打は孫文台殿の左手で掴まれた。

「嫌な予感はこれかい」

ちっ! 勘か!

孫文台殿は俺の手を引っ張り、体勢を崩すと、俺に斬撃を浴びせた。

「まだまだ!」

ギィン!!!

「ほう?」

俺は村雨を咄嗟に手放し、太腿にくくりつけている朝陽で斬撃を受け止めた。

「ふっ!」

俺は蹴りを浴びせる。だがギリギリで後ろの飛び去り、避けられる。

「やるねぇ・・、あんたみたいなのは初めてさ」

「・・まったく、強いですね、それだけの強さを持ちながらどうして死んだんですか?」

伏兵に討たれたと聞いたが、それだけの強さと勘があって討たれるとは思えないんだが・・。

「ん〜? あ〜劉表の戦の事かい? あんときゃはもうあたしの身体は病魔でボロボロだったからねぇ」

「病魔?」

「ああ、それも末期、あの時にはもう立っているのがやっとだったねぇ、ハッハッハッ!」

孫文台殿はケラケラ笑いながら答えた。

「そんな状態でどうして戦場に・・」

「ハッ! どうせ黙ってても死ぬんだ、寝床で病魔に殺られるくらいなら、戦って死んだ方がマシさ!」

「なんという豪快な・・」

「あたしの事はいい、御剣昴殿、あんたはこんなものかい?」

「・・・」

「あんたの強いのはハナから分かってた。けどね、あたしが見たいのはそういうものじゃない。あんたが娘達をどれだけ想っているかさ。・・あんたは腕っぷしで娘達を屈服でもさせたのかい?」

「・・違います」

「あんたにとって娘達はただ横に侍らせたいだけの女かい?」

「違う! 俺は皆を真剣に愛している! 何があっても守り、永遠に愛し続ける!」

「・・なら、その想いをあたしにぶつけてきな!」

孫文台殿はそう言うとフーっと大きく息を吐き、身体から力を抜いた。

























※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※


祭side

一騎討ちが始まり、ひとしきり打ち合うと動きが止まり、そして堅殿が構えた。

「むっ? あれは・・」

「祭? お母さんは何をしようとしてるの?」

小蓮様が儂の袖を引っ張り、尋ねる。

「あれは堅殿が渾身の一撃を繰り出す時の構えじゃ。昔、あの一撃で城門を綺麗に真っ二つにした事があったのう」

「城門を!?」

「全身の力を抜き、究極の脱力状態からその1撃は繰り出される。さて、昴は大丈夫かのう・・」

儂と皆は再び2人の一騎討ちを見守った。
























※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※


昴side

「・・・」

前方で上段に構える孫文台殿の身体からどんどん力が抜けていくのが分かる。これは渾身の1撃を繰り出す為だ。そして想像絶する1撃が来る。

ならば俺は!

カシン!

俺は村雨を鞘に納め、抜刀術の構えを取った。

「フー・・」

そして村雨に氣をどんどん送り込む。

「・・・」

「・・・」

互いに構え、互いの間合いに入ると、双方睨み合う。暫し睨み合い、そして・・。

「「行くぞ!!」」

俺は鞘から村雨を抜き、孫文台殿は南海覇王を振り下した。





















ガキィィィィィーーーーーン!!!!


















双方の得物がぶつかり、耳をつんざく轟音が辺りに鳴り響いた。

「・・・」

「・・・」

お互いの渾身の1撃がぶつかり、そして勝敗は決した。俺の村雨が孫文台殿の首元に突きつきられ、南海覇王は俺の後方に弾かれ、地に突き刺さった。

「・・見事だ。あんたの1撃は確かにあたしの胸に届いたよ・・」

「これが俺の、雪蓮達への想いです」

「ふっ、やっぱりあたしの見込みは正しかったみたいだねぇ」

俺は村雨を鞘に戻した。それと同時に皆が俺達の元に集まってきた。

「昴すごーい! お母さんに勝っちゃうなんて! さすがシャオの旦那様だね!」

「あの母様に・・、やっぱり昴はすごいわ!」

「相変わらずお主の底は知れんのう」

「すげえぜ旦那!」

皆が俺に賞賛の声を掛けてくれる。

「これでシャオ達の結婚を認めてくれるでしょ、お母さ・・・・・・えっ?」

シャオが途中で言葉を止めた。

「「「「!?」」」」

それと同時に皆もとある変化に気付いた。それは・・。
























※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※


第三者side

「ははっ! どうやらお別れがきたみたいだねぇ」

それは孫文台殿の身体から光が発生し、それと同時に身体がどんどん透けていっているからだ。

するとどこからともなく現れた管輅が説明を始める。

「時間が来ました。もうまもなく孫文台殿は天に帰られる」

「・・・」

時間・・、それはあまりにも短かかった。

「あっという間だったねぇ、あたしゃ充分楽しめたさ!」

孫文台殿は満面の笑みを浮かべてあっけらかんと言った。

「・・母様」

蓮華が孫文台殿に歩み寄る。

「蓮華、お前は雪蓮と違って随分真面目だったねぇ。けどその真面目すぎる一面が時々心配だった。お前がこれからも王として生きるならもっと心に余裕もたなくちゃいけないよ。たまにはおおらかに生きてみな」

「はい・・、肝に・・、命じ・・ます・・」

蓮華は頬を涙が伝うのも気にせずに答えた。

「お母さん・・」

「シャオ・・、ごめんな、お前が一番寂しい時に、もっと甘えたい時に傍にいてやれなくて」

「ううん、シャオ・・、寂しく・・、なかった・・。お母さんの想い出はいつだって・・、グス・・、いつだってシャオの心にあったもん!」

「そうかい、なら良かった。これからもあたしはシャオの心の中に居る。あたし達はいつでも一緒だよ」

「グス・・、うん!」

小蓮は袖で涙を拭い、笑顔で返事をした。

「堅殿・・」

「祭・・、思えばお前とは誰よりも長い付き合いだったねぇ」

「そうじゃのう、堅殿とは幼少の頃より一緒じゃった」

「ははっ! お前と共に駆けた戦場、どれも忘れないよ。お前が背中を守ってくれるだけであたしはいつまでも戦える気分だった」

「儂も同様じゃ」

「・・あたしの代わりに娘達を支えてくれてありがとな。お前には感謝の言葉しかないよ」

「礼など不要じゃ。主であり、1番の友でもある堅殿の愛娘を見守るの当然じゃ」

「・・本当にありがとな。これからも娘達を頼む・・」

「当然じゃ・・、堅殿の・・、娘達じゃからな・・」

それと同時に祭は瞳を閉じ、手で顔を覆った。

「孫堅様・・」

「冥琳。お前がいてくれてあたしは随分助けられたよ」

「そうですね。孫堅様は隙を見ては政務を抜け出し、探しまわる私をのらりくらりとやり過ごし・・、雪蓮以上に苦労をかけられました」

「いや〜、耳が痛いねぇ」

「・・ですが、今の孫家があるのは孫堅様のおかげです。あなたが私達の道を照らしていただいたおかげで今の私達があります。そんなあなたに仕えられた事は私の一番の誇りです」

「嬉しい事言ってくれんじゃないかい」

「孫堅様・・、天の国でもお元気で」

「あんたも、これからもあの馬鹿娘と一緒に頼んだよ」

「っ! ・・ぎょ・・い・・」

冥琳の両目から涙が伝った。

「ばっちゃん・・」

「ハッハッハッ! あの男とも女とも区別が付かない楓が随分女らしくなったじゃないか!」

「うるせえ! 俺だって・・、女、なんだよ・・」

すでに楓は涙で顔を濡らしている。

「・・そうさ、お前は女なんだ。武を鍛えるのもいい、けどな、乱世はもう終わったんだ。これからは女の幸せを掴みな」

「おう・・よ・・」

「文台様・・」

「穏、お前は相変わらず書物を読んでは身体を火照らせてるのかい?」

「あはは〜、あればかりは治りません〜」

「あははッ! そうかい。・・でもお前が1番恐れていた事、それは興奮状態になって好いてもいない男と契りを結んじまう事、そうだろ?」

「・・はい」

「・・でも、そんなお前を受け入れ、そしてお前が全てを預けても構わない相手はもう居るんだろ?」

「はい〜、とっても素敵な殿方なんですよ〜♪」

と、ちらっと孫堅と穏が昴を見る。

「そうかいそうかい、なら、そいつを逃すんじゃないよ。そいつと一緒に幸せになりな」

「・・はい」

穏は眼鏡を取り、指で涙を拭った。

「・・・」

皆が、今にも消え行きそうになる孫堅を見守る中、ただ1人孫堅に背を向けている者がいる。

「雪蓮・・」

「駄目・・、今母様の顔を見たら・・」

雪蓮は小刻みに肩を震わせている。

「私は孫家の前王。そして母様の娘・・。だから私は絶対・・」

「・・馬鹿な子だねぇ・・」

孫堅は肩を震わせる雪蓮の元に歩み寄り、後ろから雪蓮を抱きしめた。

「!? 母様・・」

「あたしは確かに王は人前でみだりに涙を流すなとお前に教えた。・・けどね、ここに居るのは孫家の前王、孫伯符じゃない。ここに居るのはあたしの大切な娘、雪蓮だ」

「母・・様・・」

雪蓮がおずおずと振り返る。そこには満面の笑顔の孫堅が居た。

「あ・・」

「お前はあたしが死んで、一生懸命孫家の王として乱世を駆け、皆を先頭で引っ張って来たんだろ? よく頑張ったね」

「母・・様・・!」

そう優しくを声を掛けると、雪蓮の瞳から大粒の涙が溢れた。それはまるでダムが決壊したかのように・・。

「ずっと・・、母様に・・、認めて・・もらいたかった・・。褒めてほしかった・・」

「ごめんな、雪蓮。蓮華やシャオと違い、お前にはあたしの後の孫家の家長としての役目があった、だからお前には厳しく当たってばかりだった。・・けどお前はそんなあたしに王として・・、そして母親として慕ってくれた。あたしはそれがたまらなく嬉しかった。ずっと言う事ができなかったけど・・、雪蓮、お前はあたしの誇りだ。あたしの・・、自慢の娘だよ」

「母様ぁ! うわぁぁぁぁぁぁん!!」

雪蓮は母である孫堅の胸で力いっぱい泣いた。そんな雪蓮の頭を孫堅は優しく撫でた。

「・・御剣昴殿」

「はい」

「この娘はとても強いが・・、ご覧のとおり、とっても泣き虫で、寂しがり屋だ。こんな娘だが、幸せにしてやってくれ」

「はい。雪蓮を・・、ううん、ここに居る皆は俺の大切な人達です。必ず幸せします!」

「・・ははっ! あんた、やっぱ良い男だね。今更死んだ事が惜しくなってきたよ」

「孫堅殿も・・」

「紅蓮(ぐれん)だ」

「えっ?」

「あたしの真名は紅蓮だ。義理の息子になる御剣昴殿にいつまでも預けないんじゃかっこがつかないだろ?」

「・・分かりました。では紅蓮殿。天より俺達の事を見守っていてください」

「もし不幸にしたら天罰くれてやるからな」

「ははっ! お手柔らかに」

紅蓮は雪蓮から身体を離し・・。

「我が娘と孫家に仕えるあたしの娘達・・。これがあたしの最後の・・、願いだ。お前達―――」






















―――幸せになりな・・。

























そして紅蓮は消えていった。その発する光はそれと同時に天へと昇っていった・・。





























※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※


昴side

紅蓮殿は皆に最後の願いを伝え、天に帰っていった。皆は天へと昇る紅蓮殿の光を見えなくなるまで見送った。

「ありがとう、昴」

光を見送り、涙を拭った雪蓮が俺に礼を言った。

「礼は俺にではなく管輅に・・」

ふと管輅の居る方に視線を向けると、そこにはもう誰も居なかった。

「ったく、急に現れて急に居なくなるんだからよ・・」

俺は頭を掻きながら悪態を付いた。

「それじゃ、帰ろっか」

「・・そうね」

俺達は帰路についた。























・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・


その道中・・。

「ねえ、昴」

「何だ?」

俺が返事をすると雪蓮は俺の腕を抱き・・。

「幸せにしてね」

「・・ああ」

俺はそう返した。すると周りから・・。

「おや、雪蓮だけか? 私も忘れるな」

「そうだよ! シャオも妻になるんだからね!」

「わ、私も忘れるな」

「この老いぼれも忘れんでくれよ?」

「俺もだぞ!?」

「私もですよ〜、旦那様♪」

皆が一斉に俺に抱きつく。

「皆、こんな俺で良かったら、いつまでも一緒にいてくれ」

「「「「当然(よ)(じゃ)(だ)(なんだから)(ですよ〜)(だろ)!」」」」





















とても忘れられない・・、大切な1日が終わった・・。




















続く

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