小説『真・恋姫†無双〜外史の守り手〜』
作者:ブリッジ()

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第12話〜黄巾党殲滅戦〜















華琳のところへ客将になって幾ばくかたった。思い返せばいろいろあったな。春蘭と秋蘭との鍛練や、華琳に似合う服を探したり、季衣と食べ歩きしたり、茉里と一緒にお菓子づくりをしたり、桂花の仕掛けた罠を仕掛けあったり(基本的に引っ掛かるのは桂花)、凪を鍛えたり、真桜とカラクリを弄ったり、沙和と服を作成したりもしたな。本当にいろいろあったな。
その後、黄巾の賊を討伐に行った春蘭と季衣が逃げた賊を深追いしすぎて他国の領地へ侵入してしまい、孫策に大きな借りを作ってしまうというアクシデントがあったりもした。
そして現在、俺は凪と少数の兵を率いて偵察にきている。

昴「昨日はお疲れ様。身体は大丈夫か?」

昨日は凪も参加していたからな。

凪「いえ、問題ありません。師匠に鍛えていただいていますから」

昴「そうか、でも無理はするなよ?」

凪「大丈夫です。自分にはこういう事しか出来ませんから。戦うことしか・・・自分にはそういう生き方しか・・」

俺は凪の頭にポンっと手を置き・・。

昴「そんな悲しい事言うな。俺は凪の良いところ可愛いところを知ってる。きっと他の生き方だって出来るはずだ。そうだな・・・結婚でもして家庭を築くってのもいいんじゃないか?」

凪「・・// ・・無理ですよ・・。こんな傷だらけの女なんて皆気味悪がられるだけですよ・・」

全く、凪は・・・・。凪をそのまま俺の身体に引き寄せ・・。

昴「身体の傷は凪にとって勲章だろ? 傷の数だけ多くの人が救われているんだ。だから誇ることすれ卑下することはない。だからそういうこと言うな」

俺は凪の頭を撫でてあげた。

凪「// ・・師匠!?」

昴「凪だったら嫁さんに大歓迎だけどな」

言うと凪の顔はみるみる赤くなり、

凪「・はい。・・・ありがとう・ございます//」

凪はそのまま頭を俺の肩に預けた。すると後ろから・・。

「楽進様やっぱり・・(ボソッ)」

「完全にホの字ですね・・(ボソッ)」

後ろから兵士の声が。すると・・。

凪「!?」

凪が慌てて俺から離れた。

凪「っ!(キッ!)」

「・・(ヒュ〜♪)」

「・・(キョロキョロ)」

「・・(カチャカチャ)」

兵士は凪に睨み付けられると、口笛を吹いたり、周囲を警戒したり、装備を点検しはじめた。

凪「きさまら〜・・・!?」

凪は氣を拳に集中させ、兵士の後方に打ち出した。

ドーン!!

「楽進様!?」

「いくらなんでもそれは!?」

昴「違う、敵だ! 総員戦闘体勢を! 周囲を警戒しろ!」

兵士があわてて戦闘体勢をとる。

「くっ!」

残りの1人が逃げ出した。

逃がすか!

俺が追おうとすると・・。

凪「師匠、ここは自分が!」

凪は縮地で敵の前方を塞ぎ・・。

凪「はっ!」

腹に拳を打ち込んだ。

「がはっ!」

一撃もらうと敵はその場に倒れた。凪の奴うまく縮地を使えるようになったな。

凪「こちらは問題ありません」

昴「ご苦労様。周囲にとりあえず気配はない。・・・それにしても・・」

見たところ黄巾の賊だな。こんなところで少数で何を・・・ん? 何か持ってるな。これは地図か? ・・何か書いてあるな。・・集合場所の連絡・・・ってことは。

昴「こいつらは連絡兵か」

凪「!? ・・それならばこれで敵の主要地点がひとつ分かりますね!」

昴「ああ、しかし賊もずいぶんとしっかりとした連絡を取り始めたな」

先日春蘭を手玉に取った奴らといい、賊にも頭を使える奴がいるみたいだな。

凪「賊も我々のような作戦行動取るようになっているようですね」

昴「全く、厄介だな・・・とりあえずこれを持って一度華琳のところに戻るぞ」

凪「了解です!」

「「「了解です!」」」

昴「それと・・」

「「「?」」」

昴「お前達賊がここまで近づいてるのに凪以外誰も気付かなかったな?」

「「「(ビクッ!!)」」」

昴「お前達城に戻ったら特別に訓練な♪」

「「「(ToT)」」」

その後兵士達は全員真っ白な灰になった。


















※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※


その後、城に戻り手に入れた連絡文書を元に軍議が行われた。

秋「さきほど偵察に出した部隊が戻ってきました。連中の物資の輸送経路と照らし合わせて検証もしてみましたが、敵の本隊で間違いないようです」

昴「つうことは張角もそこにいるわけだな?」

秋「ああ。張三姉妹の3人が揃っているとの報告も入っている」

華「間違いないのね?」

秋「何というか・・・3人の歌を全員が取り囲んで聞いていて、異様な雰囲気を漂わせていたとか」

華「・・何かの儀式?」

秋「詳細は不明です。連中の士気高揚の儀式ではないかというのが偵察に行った兵の見解ですが」

昴「確か張三姉妹ってもともとは旅芸人なんだよな? ・・・ライブでもやってんのか?」

春「らいぶ?」

昴「確か大人数で歌を聞く集会だっけな。大きな規模になると千や万になるらしい」

春「何だそれは? 千や万も集まっては歌声なんてまともには聞こえんだろう」

昴「まぁそうだがな」

正史はこの外史とは比べものにならないくらい文明が発達しているからな。張三姉妹はどうやってんだろ?

華「それは何をする集まりなの? 宗教儀式?」

昴「いや、娯楽の一環だ。連中は士気高揚も兼ねてるんだろうがな。感想は・・・奴らにでも聞こう」

華「そうね」

昴「何にせよこれは好機だ。ここで奴らを一網打尽に出来れば黄巾の賊による争乱も終わる」

季「そうなれば兄ちゃんは・・・」

皆が沈黙する。

昴「こうしてる今も力のない民が賊の猛威にふるわれてるんだ。早く終わらせなきゃいけない。この争乱を」

季「分かってるよ、兄ちゃん」

華「昴の言うとおりよ。早く終わらせるわよ」

春「はっ!」

華「動きの激しい連中だから、昴の言うとおりこれは千載一遇の好機よ。気を引き締めなさい。皆、決戦よ!」

「「「「了解!!」」」」























※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※


凪「秋蘭様、本隊、到着いたしました」

秋「そうか、各隊の報告は纏まったか?」

真「ちょうど終わったところやで。連中、かなりグダグダみたいやな」

秋「やはりな・・・華琳様の予想通りか。・・それで、まずは報告を聞かせてもらおうか」

真「はいはい。まず、連中の総数やけど約20万」

沙「ものすごい大軍隊なの〜」

季「それって、ボク達だけで勝てるんですか?」

昴「まぁ落ち着け。その全てを相手にするわけではないさ。真桜、そのうち戦えそうなのはどのくらいなんだ?」

真「さすが隊長や。そのうち戦えそうなんは3万くらいやないかな」

季「? ・・どういうこと?」

昴「補給線を潰しまくったから食糧も装備も足りてるはずかないからな」

真「そのとおりや、さっきもどっかの敗残兵みたいなのが合流してたみたいや」

凪「さっきの大兵力は非戦力を合わせた上での数ということか」

真「そういうことや」

凪「それで、作戦は当初の予定通りで大丈夫でしょうか?」

秋「問題はなかろう。華琳様の本隊に伝令を出せ。皆は予定通りの配置で各個錯乱を開始しろ。攻撃の機は各々の判断に任せるが張三姉妹にだけは手を出すなよ。以上、解散!」




















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※※※※


「「「オォォォ!!!!!」」」

自軍の兵達の雄叫びが戦場に轟いた。

昴「さすが華琳、ドンピシャだな」

季「兄ちゃ〜ん!」

真「隊長、おまたせー」

昴「こっちも予定通りだな」

凪「師匠、御指示を」

昴「よし、それじゃ・・・」

俺はスゥーっと息を吸い・・・よし、行くか!俺は村雨を抜き空に切っ先を掲げ、

昴「これより俺達は本隊に合流、その後本隊左翼として攻撃を続行する! だが張三姉妹は生け捕りにするぞ! 皆ここが正念場だ、気合い入れろよ!」

「「「応!!」」」

昴「先陣は俺が切る、皆俺に続け! 総員突撃ーー!!」

俺は村雨を構え、賊へ突撃した。




















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※※※※


俺はただただ村雨で賊を斬り裂き、敵陣に穴を空けていく。

昴「はあぁぁぁ!」

「ギャア!」

「ガフッ!」

賊を1振りで5人切り裂く。

昴「よし、このまま・・!?」

前方の弓隊がこちらへ斉射しようとしている。斉射されればこちらに被害が出る。

昴「オォォォ!」

「早く矢を放『遅い!』ぐはぁ!」

縮地で一気に加速し、弓隊を斬り裂く。

凪「はぁぁぁぁ!」

季「でやぁぁ!」

ドゴーン!!!

凪が氣弾で、季衣は岩打武反魔で残りの敵を吹き飛ばす。

凪「師匠。我らがいることも忘れないでください」

季「兄ちゃん無理しすぎだよ〜」

真「隊長出過ぎや」

どうやら俺は後続を置いて1人で出過ぎたみたいだな。

昴「悪い悪い。斉射されたら面倒だったからな。それにしても・・・」

もともと士気が低いのと事前に敵陣に火を放ったことによる混乱で賊の指揮系統はボロボロで賊は陣形すらまともに構築できていない。

昴「これなら早くにカタがつきそうだな」

凪「悪条件が重なっているとはいえ、賊がここまで脆いとは」

昴「罠にかかった獣はもはやなすがままだ。それより・・」

敵陣で抜けられるところは・・・あそこだな。

昴「季衣、部隊の指揮を頼む。真桜は季衣を補佐してくれ。凪は俺についてきてくれ」

凪「師匠、どちらに?」

昴「張三姉妹を捕らえる」

真「せやったら、敵本陣に行ったらええんやないの?」

昴「もう本陣にはいないさ。季衣、確か張三姉妹はもともと旅芸人なんだよな?」

季「街で見掛けたから間違いないよ〜」

昴「張三姉妹がどういう経緯で黄巾の賊の首領になったかはわからないがもし大陸平定が目的ではなく成り行きでここまでの事態になったならもう指揮も統制もとれないこの状況じゃ逃げ出しているだろう」

凪「なるほど、ですがそれなら居場所が・・」

昴「逃げるなら敵にも味方にも見つかるわけにはいかない。こっそり抜け出すならこっちしかない」

真「なるほどな。しかし凪と隊長で大丈夫なんか?」

昴「2人で移動した方が早いし兵を引き連れて追い詰めたら下手すると自害される可能性がある。それに混乱し過ぎて最悪賊に張三姉妹が殺されることも考えられるから時間が惜しいんだ」

季「分かったよ! こっちは任せて!」

真「隊長、くれぐれも無理せんといてや」

昴「分かってるって。凪、少し飛ばすからしっかりついてこい」

凪「はい! お供いたします」

俺と凪は縮地で敵の後方へ移動した。






















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※※※※


張三姉妹side

張宝「この辺りまで来れば・・平気かな」

張角「もう声もだいぶ小さくなってるしねー。・・でも、みんなには悪いことしちゃったかなぁ?」

張梁「難しい所だけど・・正直、ここまでのものになるとは思っていなかったし・・潮時でしょうね」

張宝「けど、これで私達も自由の身よ! ご飯もお風呂も入り放題よね!」

張梁「お金ないけどね」

張宝「うっ」

張角「そんなものはまた稼げばいいんだよ。ねー?」

張宝「そう、そうよ! また3人で旅をして、楽しく歌って過ごしましょうよ!」

張梁「で、大陸1番の・・」

張宝「そうよ! 今度こそ歌で大陸の1番に・・・っ!?」

男「こんにちは。盛り上がってるところ悪いな」

そこにはサラサラの黒髪の綺麗な人がそこにはいた。

張角「あなたは?」

男「俺は曹操軍の者だ。君達は張三姉妹だね?」

張宝「!?」

張梁「くっ! こんな所まで!」

張角「どうしよう・・もう護衛の人達もいないよー?」

張宝「くぅぅ、まだあんな事やこんな事もしてないのにー!」

すると黒髪の人の後ろからもう1人女の人がもの凄い速さでやってきた。

女「師匠、遅くなりました」

男「遅いぞ」

女「申し訳ありません。・・・この3人が・・」

男「季衣の言ってた特徴によく似てる。ってことで、悪いが君達、一緒に来てくれないか?」

張梁「・・付いて行かなかったら?」

男「少し荒っぽくなるな」

男は顔しかめて言った。

女「幸い私達は無手の心得があってな。お主らを傷付けずに捕まえることも出来る。安心しろ」

張宝「そっちはともかくあなたのそれものすごく固そうだけど!?」

女「心配しなくても手加減してやる」

張宝「そういう問題じゃない!」

「張角様!」

男「ん?」

女「!?」

「テメェ! 俺達の張宝ちゃんに何をしようてんだ!」

女「逃げた主をなお庇うか」

男「こいつらは純粋に張三姉妹の歌に惹かれたやつらなんだろうな。全く、この熱意をもっと正しく別の方向に向けらればな・・・」

女「私にお任せください」

男「死なすには惜しいな。凪くれぐれも・・・」

女「分かっています。・・はぁぁぁぁ!」

「ぐふっ!」

「がはっ!」

女の人が瞬く間に移動するとあっという間にぶっ飛ばした。

男「だいぶ氣を操れるようになったみたいだ」

張角・張宝・張梁「!?」

後ろを振り向くとそこには黒髪の男がいた。

張宝「(いつの間に傍に近寄ったの!)」

張梁「(一瞬目を離しただけなのに・・)」

張角「(何で何で〜?)」

男「君達の歌に惹かれて命を賭けてくれる人がいる。君達の歌は良いものなんだな」

男は笑顔で言った。

張梁「・・諦めましょう、姉さん。この人達から逃げ切るのは無理だわ。・・いきなり殺したりはしないのよね」

男「ああ、そう言われてるからな」

張梁「ならいいわ。投降しましょう」

張宝「人和・・」

張角「れんほーちゃん・・」

男「心配するな。大丈夫だから、な?」

男は片目を閉じて笑顔で言ってくれた。

張角・張梁・張宝「・・//」

その笑顔はとても美しく、3人の不安は取り除かれたのだった。

かくして、この大陸全土を震わせた本日をもって黄巾党は壊滅した。







続く

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