第41話〜徐州防衛戦、侵攻する袁術・呂布連合軍〜
恋side
「ワンワン!」
恋「・・セキト」
セ「ワンッ!」
恋「・・お腹減ったの?」
セ「ワンッ!」
恋「・・そう。でもね・・ご飯、無いの」
セ「くぅ〜ん・・」
恋「・・お腹減ったね」
セ「わふっ・・」
お腹・・減った・・。最近お腹いっぱいご飯食べてない。
ね「恋殿ぉ〜〜〜!」
恋「ねね・・」
ね「恋殿、吉報ですぞー!」
恋「・・??」
ね「今し方、袁術の使いの者がやってきて、共同戦線を提案してきたのです」
恋「共同?」
ね「そうですぞ。徐州に赴任したばかりの劉備に対し、軍事行動を起こすのです。それで劉備を追い払って徐州を山分けなのです!」
恋「・・・」
ね「我が軍は前の連合軍との戦いのあと、徐州の端にあるこの城を手に入れましたが、兵を養うための兵糧も残り僅か。このままではマズイのです。だから恋殿。袁術と同盟を組み、劉備をやっつけるのです!」
恋「袁術、信用出来ない。それに・・劉備のところには昴がいる」
ね「そ、それは分かっておりますよぉ。だけど今は劉備をやっつけないことには、皆飢え死にしてしまうのです! それにこれは御剣昴との雪辱を果たす好機なのですぞ!」
恋「昴とは戦いたい。けど・・こんな形じゃない・・」
ね「ですが〜」
恋「今の恋じゃ・・」
お腹減って力が出せない。今の恋じゃ昴に絶対に勝てない。でも・・・このままじゃ皆が・・。
恋「・・・・・ねね」
ね「はいです!」
恋「出撃準備」
ね「あ、了解したのであります! 恋殿、見事、虎牢関での雪辱を果たすのでありますぞー!」
恋「・・・」
もしもの時は恋の命で皆を・・・。
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昴side
白蓮と想華が来てから2日後、白蓮が連れてきた兵を俺達の隊に組み込んだり、先の話し合いで決めた軍備増強と内政に取りかかっていた時、1人の兵士が玉座に駆け込んだ。
「申し上げまーーす!」
愛「どうしたっ!?」
「え、袁術の軍勢が国境を突破し、我が国に侵攻してきました!」
昴「袁術が?」
愛「どういうことだっ!? 宣戦布告も出さず、奇襲を掛けて来たと言うのかっ!?」
「はっ! 国境の警備隊を突破後、猛烈な勢いで侵攻してきております! このままでは、州都に到着するのは時間の問題かと!」
愛「くっ・・鈴々! 星! すぐに迎撃準備だ!」
星「応っ!」
鈴「合点!」
昴「ま、慌てるな。朱里と雛里は輕重隊の手配と・・何があるか分からないから籠城戦の準備も頼む。援軍要請は・・辞めておこう」
雛「ですね。袁術さん達に合流されると危険ですからね」
昴「ま、俺達だけで何とかなるだろ」
星「無論です。袁術の軍など、我らだけで充分こと足りる」
愛「ええ。それに白蓮殿が連れてきてくれた兵士達もいます。簡単に負けることはないでしょう」
朱「ただ、素早くこの戦いを収拾しなければ、飢えた諸候達が襲いかかってくるでしょう。今はとにかく時間が大切です」
桃「素早く勝利して、隙が無いって言うのを見せつけないといけないんだね」
雛「はい。諸候は援軍も出さず、私達の戦いを傍観しています。それは私達が負けそうになったら、すぐに自分の取り分を確保するためです」
愛「・・卑怯者共め」
昴「それが乱世だ。綺麗事にこだわり過ぎれば即座に食いつくされる。早い話、弱肉強食だ」
白「・・そうだな。そうだな。そういうのが乱世って奴だ」
桃「でも大丈夫だよ。私達、絶対に袁術さんなんかには負けないんだから」
昴「当然だな。それじゃ、出撃準備を始めよう。皆行こう!」
愛「御意! では行くぞ、鈴々! 星!」
「「「応っ(なのだ)!」」」
桃「私達は兵站の準備だね。朱里ちゃんも雛里ちゃんもよろしくね♪」
朱・雛「はいっ!」
昴「準備が終わり次第出撃だ。俺達の国と家族とも言える民を守ろう」
俺達は動き出した。
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袁術軍side
袁術「七乃〜」
張勲「何でしょう?」
袁術「妾達がここに居座って、すでに2日が経過しておるぞ。このままここに居て良いのか?」
張勲「ここに居るべきですよ。だってお城を攻めるなんてしんどいじゃないですかー」
袁術「それはそうじゃが・・」
張勲「それに敵より多くの兵を持ってるんですから、ここで待ち構えて、一気に殲滅しちゃいましょー。そのための策も用意してますしね〜♪」
袁術「何じゃ、その策というのは?」
張勲「ふふーん。実はですねー。呂布さんには、旗を隠したままついてきてもらってるんですよー」
袁術「どういうことじゃ?」
張勲「つーまーりー。劉備さんが私達だけしか居ないと思って、安心して迎撃に出たときに、サッと呂布さんの旗をあげてびっくりさせると。そーいうことです♪」
袁術「おおー。なるほどの。知らずにやってきた劉備を、呂布に討ち取らせるという訳じゃな」
張勲「そーですよ♪ 七乃は頑張って策を考えました! 美羽様、褒めてくださーい♪」
袁術「うむ、良くやったのじゃ! さすがに妾の傅役なのじゃ! これで御剣昴を妾の部下にすることができるのじゃ!」
張勲「そうですねー。劉備さんのところには優秀な人がいっぱいいますから、まとめて美羽様の部下にしちゃいましょうー♪」
袁術「おおー! そうすれば妾の軍は無敵なのじゃ♪」
張勲「そのとおりですー♪」
袁術「待っておるんじゃぞ劉備め。すぐに妾が打ちのめしてやるのじゃ!」
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昴side
桃「朱里ちゃん、状況はどんな感じかな?」
朱「我が軍の兵力に白蓮さんと行動を共にしていた兵隊さん達を加えて、ようやく形を整えられた・・という軍容ですね。ですが斥候さんの話によると、袁術さんの兵力はかなりの規模だそうです。その中には正体不明の部隊も居るようで・・」
桃「正体不明って?」
雛「その部隊だけ、兵の練度が段違いに高いんだそうです。だけど誰が率いているか分からない」
愛「謎の部隊、か。いやな予感がするな」
星「練度が違うということは、それだけ優秀な将が率いているということか。しかし・・袁術のところにそれほど優秀な人材が居ただろうか?」
朱「もしかすると、客将という扱いで袁術さんに保護されている、孫策さんが出てきたのかも・・」
昴「・・・」
雪蓮・・か。おそらくは違うと思う。兵そのものを伏せるならともかく、旗だけ隠すということは開戦直前に旗をあげて動揺を誘いたいんだろう。雪蓮が出てきても脅威ではあるが動揺を誘えるほどのものではないだろう。それに、もし仮に雪蓮なら俺達と戦うより反旗を翻して俺達と共に袁術を倒してそのままかつての自領を取り返した方が遥かに有益だから今頃使者の1人でも寄越しているだろう。だとすれば一体誰が・・ま、考えても答えは出ないか。
昴「考えても仕方ないことだ。俺達は何があっても動じずに袁術を倒すだけだ」
鈴「お兄ちゃんの言う通りなのだ。今は袁術をぶっ飛ばす方法を考えるのだ!」
星「うむ。我が方よりも多い敵の軍勢を、どうやって撃退するか。・・やはり策が必要か」
愛「そうだな。雛里。敵との会敵予想地点はどの辺りになる?」
雛「ここより東方、東海地方曲陽辺りになるかと」
昴「曲陽か。ずいぶんと東だな」
朱「私達が本拠を置く彭城。曲陽はその裏口ですから奇襲するためにそこから来た、というのならば納得いくのですが・・」
鈴「それにしても遠すぎるのだ」
星「何かある、と見て間違いは無いだろうな」
昴「だろうな」
朱「何かしら策があるんだと思います。用心しておいた方が良いかと」
昴「そうだな。とりあえず斥候の数を増やしてより重要な情報獲得に努めよう」
雛「了解です♪」
桃「素早く情報を手に入れて、素早く敵と対峙して、素早く敵を撃退しちゃおう♪」
鈴「相変わらず桃香お姉ちゃんはノーテンキなのだ」
昴「桃香の言うことは尤もだ。素早くケリをつけよう」
桃「じゃ、方針も決まったことだし、曲陽に向けて出発しんこー♪」
さて、どうなるかな・・。
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
「前方一里のところに敵陣を発見! 随所に炊煙が上がっているため、現在は食事中かと思われます! まだ我々には気付いていないかと!」
昴「・・食事中? しかも気付いてないって・・」
愛「・・非常識極まり無いですね。何を考えているのだか」
昴「まったくだな」
雛「ですがこれは好機ですね。このまま敵陣を急襲すれば、数の不利を覆すことが出来るかと」
昴「そうだな。この際この隙を有効活用させてもらおう」
星「うむ。私も同意見です」
鈴「鈴々も異議な〜し!」
桃「みんな賛成なんだ? じゃあ雛里ちゃんの意見を採用〜♪」
昴「決まりだな。それじゃ、先陣は・・」
鈴「はいはいはーい! 先陣は鈴々なのだ!」
昴「うん。それじゃ先陣は鈴々な」
鈴「やたっ! 鈴々が先陣〜♪」
愛「いくら奇襲とはいえ、先陣には危険が付きまとう。油断するなよ、鈴々」
鈴「分かってるのだ♪」
昴「頼むな。それじゃ配置は、右翼は愛紗、左翼は星。中軍に白蓮と雛里。遊撃に想華を。後曲に本隊、桃香、朱里、雫に俺。こんな感じかな?」
雛「適材適所だと思いますし、良い采配かと♪」
昴「それじゃ、全軍に通達。迅速に敵を討つ。皆行くぞ!」
皆「御意!!」
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※※※※
戦が始まり、両者入り交じっての戦いが始まった。その直後、1人の兵士が伝令に駆け込んだ。
「申し上げます! 敵陣に旗があがりました! 旗印は呂!」
昴「呂・・呂布か!」
朱「はわわ! 正体不明の隊は呂布さんの隊だったんですね!?」
桃「ご主人様、どうしよう!?」
昴「・・他に伝令は?」
「我らに敵なし、と」
昴「そうか。なら皆に任せよう」
桃「大丈夫かな?」
昴「愛紗も鈴々も星も出来ないことを言うほど愚かじゃない。確かに呂布の武はかなり脅威だけど、こと戦は戦術より戦略だ。袁術軍があの様じゃさほど心配ない・・・とりあえず華雄隊に援護するように通達してくれ」
「御意!」
昴「朱里は勝敗が決したら即座に呂布軍を包囲してくれ」
朱「ぎょ、御意です!」
戦そのものは1隊が優れた程度では問題ない。肝心なのは最後の最後。恋を如何に投降させるかだ。
昴「桃香」
桃「なにかな?」
昴「桃香は呂布をどうしたい?」
桃「どうしたいって?」
昴「捕縛した後、今後の脅威にならないように斬首するか、こちらへ引き入れるか」
桃「・・私は、殺したくないよ。例え、私達のところに来てくれなくても・・」
昴「そうか。ならそうしよう」
桃「いいの?」
昴「俺も同意見だからな」
桃「・・ありがとう、ご主人様!」
昴「まあ、今は戦のことに集中しよう」
桃「うん。そうだね♪」
とりあえず恋のことは皆に任せよう。
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※※※※
戦況はこちらの優勢となり、敵の部隊は崩れていった。やはり如何に呂布の隊の練度高くても明らかに袁術軍が足を引っ張っている。程なくして前線の部隊が追撃に向かった。呂布の隊が善戦してるものの袁術の軍は壊滅状態になり、各地でちりぢりになっている。
昴「朱里、すぐに呂布の隊の包囲に向かってくれ」
朱「御意です!」
昴「桃香」
桃「はい!」
昴「君の王としての器の見せどころだ。包囲が完了したら呂布の説得に向かってくれ」
桃「うん。分かったよ」
昴「雫は桃香を護衛をしてあげてくれ」
雫「了解しましたわ」
昴「さてと・・」
俺はもう一方の方に行くかな。
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袁術・張勲side
袁術「はぁ、ひぃ、ふぅ、へぇ、ほぅ・・」
張勲「はぁ、はぁ、はぁ・・」
袁術「うぅ〜、負けたのじゃ〜」
張勲「負けてしまいましたね〜」
袁術「うぅ〜、次は絶対に勝ってやるのじゃ〜」
?「君に次なんてない」
張勲「!?」
袁術「!?・・・お主は、御剣、昴・・」
昴「久しぶりだな。袁術。それに張勲」
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昴side
桃香達が動き出した後、俺は袁術を探しに自陣を飛び出した。辺りを探したら程なくして袁術は見つかった。
昴「久しぶりだな。袁術。それに張勲」
袁術「うぅ〜。こ、これで勝ったと思わないことじゃ! この仮は必ず・・」
昴「だから次はないって言っただろ?」
袁術「ど、どういうことじゃ。妾を殺すのかや?」
昴「・・それ以前に・・張勲、君なら俺の言ってる意味が分かるだろ?」
袁術「どういうことじゃ、七乃!?」
張勲「・・・これだけ派手にやられちゃいましたから。今頃は孫策さんにお城を攻め落としているかと・・」
袁術「なんじゃとぉ〜!」
昴「こっちも確認はしたわけではないが、孫策がこの機を逃すわけがない。もう袁術に帰る場所はない。悪いが、投降してくれ。悪いようにはしないから」
袁術「・・・」
昴「投降してくれ、袁術。桃香、劉備なら投降を拒んでも命は取らないだろう。けど・・俺は桃香程甘くない。後々、脅威になるかもしれない相手を逃がすわけにはいかない。だから袁術、投降してくれ、頼む。俺は君達を斬りたくない」
張勲「美羽様・・」
しばし沈黙が支配する。
袁術「・・・分かったのじゃ。妾はお主に降るのじゃ」
張勲「よろしいのですか、美羽様?」
術「うむ・・。もう妾達に何も出来ぬし。それに・・そのような悲しげな顔をした御剣昴に斬られたくないのじゃ」
悲しげ・・俺はそんな顔していたのか。
昴「ありがとう。袁術。張勲はどうする?」
張勲「私も美羽様と一緒に投降します」
昴「そうか。助かる」
これで全て終わるな。
袁術「のう、昴」
昴「なんだ?」
袁術「お主はどうして・・どうして・・妾に会いに来てくれなかったのじゃ?」
昴「!? 袁術・・」
袁術「お主は会いに来てくれると言ったのに、どうして来てくれなかったのじゃ? ずっと待っておったのに・・」
昴「袁術・・」
あの後仕事やら戦やらで時間を作れずに結局会いに行けなかった。
袁術「待っても待ってもお主が来ぬから会いにいったらお主はもういなかった。どうして来てくれなかったのじゃ? ずっと待っておったのに・・・皆嘘つきじゃ。グシュ・・父様も母様も、グスッ、大丈夫と言って結局逝ってしもうた。皆嘘つきなのじゃ。皆妾を置いていってしまうのじゃ」
袁術は王でも何でもなく、ただ1人の幼い女の子として泣きじゃくった。
袁術「うえ〜ん。皆嫌いなのじゃ・・」
俺は袁術をここまで悲しませてしまったのか。軽はずみに約束なんかして。
俺は泣いている袁術を抱き上げ、抱きしめた。
袁術「ふぇ?」
昴「・・ごめんな、袁術。寂しい思いをさせて」
袁術「うぅ〜」
昴「これからは寂しい思いはさせない。ずっとってわけにはいかないけど出来る限り一緒にいるから。だから、許してくれないか?」
袁術「・・本当かや?」
昴「ああ」
袁術「本当に本当に、一緒かや?」
昴「ああ。一緒だよ」
袁術「うぅ〜、うぇーん・・」
昴「よしよし」
俺は袁術が泣き止むまで頭を撫でながら抱きしめていた。
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
やがて袁術も泣き止み、一緒手を繋いでに自陣に歩いている。
昴「もうすぐ着くからな袁術」
美「美羽なのじゃ」
昴「ん?」
美「妾のことは美羽と呼んでほしいのじゃ!」
昴「・・分かった、美羽」
美「えへへ。それと・・また抱っこしてほしいのじゃ・・・駄目かや?」
昴「・・よっと」
俺は美羽を抱き上げた。
美「高いのじゃ〜!」
昴「ははっ。」
こうしてみるとただの子供だな。
はしゃいでいた美羽もやがて・・。
美「すぅ〜、すぅ〜・・」
俺の腕の中で眠っていた。
張勲「こんな可愛い美羽様久しぶりです〜」
昴「王として生きるにはあまりにも幼すぎる。早くに親を無くして、ずっと張勲以外に頼れる人がいなかったんだろうな」
張勲「そうなら嬉しいですね」
昴「悪いんだけど・・」
俺は張勲に美羽を預ける。
昴「俺は呂布の所に行く。後は・・誰か!」
「ここに!」
昴「2人を護送してくれ、くれぐれも丁重にな」
「はっ! 了解致しました!」
昴「なら張勲、後でな」
張勲「昴さん!」
昴「ん?」
七「私のことは七乃と呼んでください〜」
昴「いいのか?」
七「美羽様が預けた相手なら構いませんよ」
昴「・・分かった。では七乃、後でな」
七「はい♪」
俺は恋の元に急いだ。
※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※
辿り着いてみると、恋の隊はすでに包囲されており、愛紗や鈴々や星はもちろん、恋も無事だった。愛紗達の間に殺気めいたものはなく、どうやら桃香の説得は上手くいったみたいだな。
昴「よう。話はついたみたいだな」
桃「あ、ご主人様! うん、呂布さん仲間になってくれるって♪」
昴「そうか、良かった」
桃「・・って言っても決め手になったのはご主人様なんだけどね」
昴「それでも桃香が信用ならなきゃ仲間にならないさ」
やはり桃香に任せて正解だったな。
恋「! ・・昴!」
ギュッ!
恋が駆け寄り、俺に抱きついた。
恋「会いたかった」
昴「俺もだよ」
恋「恋達を受け入れてくれてありがとう」
昴「気にするな。ただそうしたかっただけだ」
俺は恋の頭を撫でた。
恋「っ//」
恋は気持ち良さそうだ。するとそこに。
?「貴様! いつまで恋殿にくっついていますか!」
昴「久しぶりだな・・根値寝」
ね「字が違うのです!#」
昴「冗談だ。ねね」
ね「やはりお前はここで仕留めるのです! 喰らえ、ねねの新しい必殺技!」
ねねが飛び上がり・・。
ね「きりもみ・反転・ちんきゅーキーック!」
ねねがひねりを大いに加えた飛び蹴りを俺に繰り出す。
ガシッ!!!
俺はその蹴りを掴み取る。
ね「は、放すのです!」
昴「いい蹴りだ。なら俺も新技を披露しよう。必殺・・。心中斬首!」
ズズズズズッ!
ねねは首だけ残し、地中に埋まった。埋まるまで2秒ほど。
昴「それじゃ皆、行こうか。恋。あの肉まんまた食べさせてあげるよ」
恋「楽しみ」
ね「こらー! ねねを出すのですー!」
愛「・・よろしいのですか?」
昴「気にするな、人柱だ」
ね「出せー! 出すのですー!」
荒野にねねの声が響いた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※
戦も終わり、彭城へと引き上げた。現在、将及び、投降した恋や七乃が玉座に集まっている。美羽はお休み中。
恋「モキュモキュ・・」
鈴「モグモグ・・」
恋と鈴々が俺の蒸した肉まんを食べている。
愛「ご主人様、恋やこの張勲はともかく、袁術は本当に我が軍で保護するのですか? この戦の元凶ですし、孫策との確執になりかねないのでは・・」
昴「心配ないだろ。孫策からすれば旧孫呉の領が取り戻せれば今さら美羽をどうこうしようとは思わないだろうし」
星「かもしれませぬが、何より、袁術は何も出来ませぬ。そのような者に民からの税で施しを与えるのはいかがなものかと・・」
昴「それは俺が再教育するよ。すぐには無理でもいずれは働けるようにきっちり教育する」
星「そうですか。であれば私は何も言いません」
昴「すまないな」
皆すぐには無理でもいずれ受け入れてくれるだろ。
クイクイ。
昴「ん? どうした、恋?」
振り返ると、肉まんを食べながら俺の服の裾を引っ張っていた。
恋「・・ねね」
昴「・・・・あ」
忘れてた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※
改めて美羽との決戦地。日も暮れかかっている。
ね「この外道君主! ねねをこんなところに置き去りにして!#」
昴「いやー、すまん。そんなに怒るなって。何て言うか冗談じゃん?」
ね「こんな時間まで置き去りにして何が冗談ですか!#」
昴「ホントにすまん! 許してくれ。このとおり!」
直立不動。
ね「頭を下げろです!# 早く出せです、この外道君主!」
昴「すまんな、今出すからな」
ズズズズズッ!
昴「ごめんな。さあ帰ろう。皆待ってるぞ」
ね「岩! それはねねではなく岩なのです!」
昴「さあ〜帰ろうな〜」
ね「こらー! 出せー! 出すのですー! ・・いや出して下さい! 外道君主は言い過ぎました。出して下さいなのです! ・・土の中は嫌なのです〜〜!」
日暮れの荒野にねねの声が響いた。
袁術・呂布連合軍との戦は俺達の完全勝利に終わった。
続く