小説『真・恋姫†無双〜外史の守り手〜』
作者:ブリッジ()

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第42話〜暗躍・・、そして復活〜















御剣昴が劉備、曹操、孫策、名を冠した英傑が存在する外史に降りる前、外史の果てにて、1つの陰謀が始まっていた。









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??side

?「くそっ!」

ガッシャーーン!!!

つり目の気の強さを思わせる顔立ちの青年が目の前の卓を蹴り飛ばした。

?「落ち着いて下さい左慈。物に当たっても仕方ありませんよ?」

眼鏡を掛け、肩まで髪を伸ばした青年が左慈と呼んだ青年をたしなめる。

左「落ち着いてなどいられるか! また奴を仕留められなかったんだぞ!」

?「・・・」

奴。それは外史の守り手の1人、御剣昴のことである。

?「彼の武勇、そして知略は守り手の中でも随一。はてさて、万全の体勢で望み、破られた今、もはや策など・・」

左「何を悠長なことを言っている于吉! 奴は必ず仕留めなければならない! 奴の存在は外史を歪ませるんだぞ!」

御剣昴は外史に介入すると歴史を大いに変える。死すべきはずの人間を生かし、時に生きるはずの人間を葬り去る。結果的に外史はより良く安定するのだが、これは結果論で、1つ間違えば外史を大きく歪ませ、最悪消滅させてしまうリスクがある。本来なら著しく歴史を変えたりすることも、不要に外史に介入し、守り手の妨害することも禁じられてるのだが、御剣昴と左慈と于吉。どちらが正しいとも、どちらが間違いとも言えないので他の守り手や管理者は今は静観している。

于「あなたの言うことはもっともです。ですがもう打つ手がありませんよ?」

左「何かあるはずだ。まだ何か・・・!? ある・・あるぞ! 御剣昴を仕留める方法が」

于「どのような方法ですか?」

左「あいつの封印を解く。あいつなら御剣昴を仕留められる」

于「あいつ・・・っ!? 左慈、あなたまさか刃を解き放つというのですか!?」

左「そうだ。刃なら、御剣昴と言えど歯が立たないだろう。これ以上の適任はいない」

于「それはいけません! いくらあなたでもそれだけは許すわけにはいきません! 第一、刃は我々では手に負えません! 操ることなど不可能ですよ!?」

左「ならば利用してやればいい。上手く利害を一致させればこちらの思う通りに事を運べる」

于「しかし・・」

左「ならばお前は黙って待っていろ。俺1人でも封印を解きに行く」

于「どうしても、やるのですね?」

左「くどい!」

于「・・・分かりました。あなたの決意がそこまで固いなら止めません。私も一緒に行きましょう」

左「ならば急ぐぞ!」

于「・・はい」

















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「がはっ!」

白装束の男を蹴り飛ばす。

「何を・・する・つもりだ」

左「知れたことを、刃を解き放つ」

「正気・・か・・」

左「至って正気だ。これも外史の安定のためだ」

「後・・悔・・する・・」

白装束の男は意識を失った。

左「行くぞ」

于「・・・はい」

















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左「・・これか」

目の前には大きな祭壇がそびえたっており、祭壇の上には大きな装飾があしらった箱が置いてある。

左「これが聖櫃か・・于吉。すぐに始めるぞ」

于「分かりました。解封の術式は・・『問題ない。心得てる。』ならば始めます」

左「――――」

于「――――」

左慈と于吉が術式の詠唱を始めた。祭壇の上の聖櫃が微かに光を帯びてきた。

左「――――」

于「――――」

左慈と于吉は詠唱を続ける。聖櫃の蓋の隙間から目の眩むような光が漏れ始めた。

左「今こそ解き放つ。一の式、弐の式、解放。目覚めよ聖櫃! 祖が盟約により解放せり! 解(アンテ)!」

祭壇のまつわる一室が光に包まれる。

















・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・


光が収まるとそこには1人の青年が立っていた。

左「久しいな・・・刃」

















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刃side

妙な気分だ。俺は眠っていたはずなのに今起きている。おかしいな〜。俺はとある外史で俺を殺すために来たたくさんの守り手と管理者を殺していた。数はいてもあまりにも弱すぎた。武も術も俺には何の意味をなさなかった。しばらく殺り続けていたら突然辺りが真っ白になった。奴等は俺に歯が立たないと見るや否や外史ごと俺を封じた。外史を1つ自らの手で消すなど、奴等管理者からすればこれ以上にない苦肉の策だ。

左「久しいな・・・刃」

ん? 誰だ・・・・・・・・・・・・ああ。

刃「・・・・左慈か」

左「気分はどうだ?」

刃「・・普通・・で? 俺に何の用?」

左「貴様の力を貸してほしくてな」

刃「・・お前が?」

左「不本意だが、こちらもなりふり構っていられないのでな」

刃「ふーん・・・で?」

左「貴様にこいつを葬ってほしい」

1枚の写真を差し出す。そこには1人の眉目秀麗の男が写っていた。

左「こいつの名は御剣昴。外史を乱す男だ」

刃「・・・話は分かったけど俺には関係ないね〜」

左「俺は貴様が何故外史を荒らし回っていたかを知っている」

刃「・・・」

左「俺達に協力してくれたらお前の目的のために力を貸してやろう」

刃「ふーん」

左「しばらくは貴様の片腕として働いてやろう。貴様の望む物も用意してやる」

刃「何でもするってこと?」

左「そういうことだ」

刃「それはありがたいね。じゃあ早速命令していい?」

左「何でも言ってみろ」

刃「それじゃ―――」
















刃「――死んで?」


















左「? 一体何を・・」

ズシャ!!!

左「が・・はっ・・」

左慈の胸に刀を突き刺した。

左「き・さま・・な・・ぜ・・」

刃「駄目だよ〜。そんなに弱くちゃ、片腕どころか駒にすらならないよ?っていうわけで不合格♪」

左「だれ・のお・かげ・で・自由に・・」

刃「あ〜、勘違いしてみたいだから教えるけど、俺、その気になればいつでも封印破れたんだ♪」

左「なっ!?」

刃「もっと言っちゃうと封印自体、はね除けることも出来たんだけど・・知っての通り、アレが成るには時間がかかるからそれまで眠ってただけなんだ。ついでに、俺、導師って嫌いなんだ。左慈、于吉、君達は特に・・・っていうわけで・・・サヨナラ♪」

左「く・・そ・・」

左慈は息絶えた。

于「左慈ーーーーー! よくも、よくも左慈を・・・っ!?」

ズシャ!!!

于吉の胴を一閃し、于吉の体が2つに別れる。

刃「さてと、これからどうしよ・・・・ん?」

振り返ると真っ二つにしたはずの于吉が立っていた。

刃「あれ〜・・・あぁ、そういえば、于吉ってこの程度じゃ死なないんだっけ?」

于「そのとおりです。私の体はいわば不死身。如何にあなたでも勝てませんよ。増!」

その言葉と同時に30人程の白装束集団が現れる。

于「さあ、じわじわ仕留めさせてもらいますよ! 無限に続く地獄を・・・なっ!?」

一瞬で白装束集団の首を飛ばし、于吉の目の前に立ち、そして・・。

ズシャ!!!

再び于吉の胴を一閃した。

于「くっ!」

やはりすぐさま体は再生した。

刃「于吉。お前の不死身の秘密。知ってるよ。お前は体に特殊な術式をかけているから、体が負傷するとお前の妖力で自動的に再生を行う。だよな?」

于「ならばどうします? どのような力、妖術を用いても私には効きませんよ?」

刃「簡単だよ。それならお前の妖力が尽きるまで殺し続けてあげるよ。同じ雑魚でも左慈より楽しめそうだ。せめて肩慣らしぐらいにはなってね?」

于「なめるな、刃ー!」

















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※※※※


ズシャ!!!

何度も殺し続けた。再生しては殺し、再生しては殺しを繰り返した。圧倒的な力により、于吉は戦うことも逃げることもかなわない。やがて・・・。

于「う・・・ぐっ・・」

刃「あ〜あ。もう体が再生しきらないねぇ? もはや生命維持が手一杯だ」

于「ぐっ・・・」

刃「もういいや。じゃ、バイバイ♪」

于「あ・・あ・・」

ズシャ!!!

倒れている于吉の背中から心臓を刀で突き刺した。

于「がはっ・・」

于吉は息絶えた。

刃「これからどうしようかな〜。この馬鹿達が早く起こすから暇でしょうがないよ」

于吉の頭を足蹴にする。

刃「ああ、そういえば・・」

先ほど渡された写真に目を移す。

刃「御剣昴・・ね。楽しみだな〜。近い内に会いに行くからせいぜい楽しませてね?」

写真を上に放り投げ、

ジャキン!!!

写真を一閃し、鞘に戻す。写真は中の御剣昴の頭の中心から縦に真っ二つになる。

暇潰しに何して遊ぼうかな〜? ・・・あ、そうだ! 適当に外史に入って強い奴と遊びに行こう! 飽きたら皆斬っちゃおう♪ 絶望の顔を浮かべた奴を殺すと楽しいんだよね〜♪ それじゃ、出発〜♪

ドス黒い影、とても深い闇が動き出した。











続く

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