小説『真・恋姫†無双〜外史の守り手〜』
作者:ブリッジ()

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第60話〜五胡襲来、驚愕の戦〜















益州平定から月日が経ち、俺達は内政と軍備をバランス良く行っていった。旧劉璋派の豪族もほぼ全て支配下に置くことが出来た。俺が実施した大改革も上手く軌道に乗り、着々と国は富んでいく。いつものように政務に勤しんでいると、成都へ凶報を携えた早馬が到着する。内容は西方の異民族である五胡の軍が益州へ侵攻した、という内容である。報を受け俺達はすぐさま将を集め、軍議を始める。




















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※※※※


昴「皆も聞いてるだろうが、外敵である五胡が侵攻してきている。これを対処しなければならない。それで、状況はどうなってる?」

朱「はい。現在五胡の兵は村の1つを占拠したあと、その村を拠点として周辺に被害を及ぼしています」

昴「なるほど・・」

愛「朱里の報告が正しいのであれば早急に兵を差し向けるべきでは?」

雛「愛紗さん言うことはもっともです。この件の処理に手間取れば、今まで私達が来たのを歓迎してくれていた人々が、一斉にそっぽを向いてしまいますから・・」

鈴「? ・・何か問題があるのかー?」

昴「早急に手を打たなければならない。だが、あまりに将兵を割きすぎると曹操や孫策に隙を見せることになる」

翠「あー、なるほど」

昴「つまり、撃退するにあたってあまり将兵を連れて行くことができない」

星「ならば、人選は慎重に行わなければなりませんな」

桃「星ちゃんの言う通りだね。ご主人様、どうしよう・・」

昴「そうだな・・」

連れて行ける兵数は5万ってとこか。問題なのは誰を連れて行くか、か。・・・よし。

昴「兵は5万程連れていく。率いる将は想華、麗羽、猪々子、斗詩、桔梗。軍師には詠とその補佐に七乃だ」

「「「「!?」」」」

皆が驚愕する。

星「主よ、想華達を軽視するつもりはないが、いくらなんでもそれでは・・」

愛「せめて私か鈴々を連れていってください」

昴「駄目だ。愛紗と鈴々は成都を離れるべきではない」

翠「ん〜、だけどさ」

昴「この人選には理由がある。今あげた将は皆大陸に名を轟かしているが、愛紗や星とかに比べ、軽視されているのは事実だ。五胡を撃退することで天下に再び名を轟かせれば曹操やその他勢力への牽制にもなる。劉備軍の将は屈強揃いだとね」

星「ふむ・・。」

昴「皆心配はいらない。麗羽も猪々子も斗詩も俺達の所で愛紗達に揉まれて袁家存命の時よりはるかに底上げされているし、想華に至っては武人としては愛紗や星に劣っていたとしても将としてはヒケを取らないと俺は評価しているよ」

麗羽は1から兵法を学んでいるようだし、猪々子や斗詩は俺が何度か鍛えた、想華は連合時の大失態が彼女を大きく成長させ、感情と勢い任せの将から冷静に戦況を見つめ、最善かつ最良の選択肢を選べる将にまで成長した。

昴「軍師には詠がいるし、実戦経験豊富な桔梗もいる。それに、もうアレは実戦導入出来る段階に来ているんだろ?」

朱「アレ・・鐙ですね」

昴「そうだ。鐙があれば騎馬を操りながらの射撃も可能になる。練度はもう充分なんだろ?」

雛「はい。集中して調練をしたのでいつでも実戦導入出来ます」

昴「なら、問題はない」

愛「むぅ・・」

桔「ハッハッハッ、お館様にこうも期待されてはその期待に応えるしかあるまいな」

愛「・・分かりました。それでは想華達に任せよう」

想「うむ、任せろ!」

麗「ご期待に応えますわ!」

猪々子も斗詩もやる気マンマンだ。

詠「・・軍師はボクでいいの?」

昴「ああ。詠に勝敗の全てを背負わせるつもりはないが、詠の采配次第で結果は変わる。任せるよ」

詠「・・分かったわ。上等よ。賈文和の実力、見せてあげようじゃない!」

昴「期待してるぜ」

桃「皆頑張ろうね!」

昴「桃香はお留守番だからな」

桃「ええっ! どうして!?」

昴「俺と桃香の両方が城を離れるわけにはいかない。どちらかが行くことになるが、連れて行ける兵力が最小で、相手が五胡だから何が起こるか分からない。いざという時、前線に出て兵を鼓舞できる俺が総大将の方が都合がいい。桃香はもし曹操や孫策が動いた時は任せるよ」

桃「うん、分かったよ! でもご主人様、無理したら駄目なんだからね?」

昴「分かってるよ。・・話は決まったな。すぐに準備に取りかかる。皆気を引き締めて行こう!」

「「「「応っ!」」」」

















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出陣準備が整うと、早々に城を出た俺達は、斥候を放ちながら益州西方へと向かう。

詠「アンタ、どういうつもりなの?」

昴「何がだ?」

詠「惚けないで。率いる将もそうだけど、この戦に導入した兵、新参の兵が多く目立つわ。ただでさえ少ない戦力なのよ? もっと古参の兵を入れるか、何だったら愛紗か鈴々を連れて来れば・・」

昴「確かに、古参の兵を連れて行くか、愛紗か鈴々が入ればこちらの被害は多少減るだろう」

詠「・・だったらどうして」

昴「だがそれはこの戦に関しての話だ。これから先、曹操との決戦時、覚悟のない奴は生き残れないだろう」

詠「この戦で覚悟を決めさせるの?」

昴「ああ。たとえ非道と言われようと、俺達の理想を叶える為には力とその覚悟が必要なんだ。だから実戦経験の少ない兵には多少荒療治になる。だけど、だからと言って兵を不用意に失わせたくない。だから・・」

詠「分かってるわ。その為にボクがいるんでしょ?」

昴「ああ。必要なら俺を使っても構わない。信頼してるぜ」

詠「ええ、任せて。必要ならあんたでもとことん利用させてもらうわ」

昴「その意気だ」

















・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・


その後も進軍し、五胡の軍との距離、約2里ほどのまで進軍した。斥候の情報だと敵総数約5万。こちらとほぼ同数。向こうは詳しい事はほとんど分からない蛮賊。対してこちらは、軍師に詠が居るとはいえ、愛紗や鈴々等の主力抜きの軍。練度は高いとはいえ実戦経験の少ない兵を中心に編成されている。向こうは強行軍故に長期の戦が出来ない事を考慮しても、楽な戦にはならないな。

昴「全軍停止!」

兵が俺の号令で一斉に止まる。俺は村雨を抜き・・。

昴「これより死地に入る! 相手は我らの領土を食い荒らす蛮賊だ! 決して許してはならない! 躊躇うな! 恐れるな! それは、自分と仲間、ひいては家族を殺す事になる! 行くぞ、皆とこの地を守る為に!」

「「「「応ー!!」」」」

詠「全軍抜刀!」

ジャキン!!!

兵達が一斉に剣を抜く。

詠「皆、随時指示を飛ばすから聞き逃さないでよ!」

「「「「応ー!!!」」」」

兵は雄叫びをあげる。

昴「行くぞ! 攻撃開始!」

戦は開戦した。


















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※※※※


詠「今よ! 盛大に銅鑼を鳴らしなさい!」

ゴォン! ゴォン!

詠の指示により銅鑼が戦場に鳴り響く。

それに合わせ、先頭の騎馬隊を率いていた文醜隊が左右に別れ、それぞれ敵部隊にぶつかっていく。そこへ間髪入れずに顔良隊が横撃をかけて敵陣を切り裂いていく。すぐさま敵の前曲を孤立させる事に成功した。

詠「まずは予定通りね」

前曲を孤立させ、敵部隊を2つに分けることに成功し、次に移行しようとした所、孤立してた敵前曲部隊が猪々子めがけ、一点突破を図ろうとする。

詠「やるわね。袁紹隊を救援に向かわせなさい!」

詠がすぐさま対応する。袁紹隊が指示を受け、文醜隊の救援に向かった。

詠「華雄隊は左翼から一斉掃射後、そのまま敵右翼を突き破りなさい!」

華雄騎射隊が一斉掃射を行い、すぐさま突撃を敢行する。敵はまさか騎馬からの射撃など想定外だったのか、かなり浮き足だっている。

詠「顔良隊、右翼から敵左翼に横撃を掛けなさい! 厳顔隊はその援護に向かって!」

先ほど敵陣を切り裂いて右翼に飛び出した顔良隊が陣形を整え、横撃を掛ける。厳顔隊も速やかに援護に回る。敵は前方の文醜隊、袁紹隊に集中していたため、対応出来ない。

昴「・・・」

俺達の軍が優勢だ。敵は強行軍故に時間を掛ける戦いが出来ないからおのずと開戦早々に勝負をかけてきた。詠はそれを見事に逆手に取った指示を飛ばす。順調、なのだが・・。

七「うーん・・」

七乃が何やら唸っている。

昴「どうした七乃?」

七「優勢、ですよね?」

昴「見ての通りだ。何か心配事か?」

七「根拠も何も無いんですけど、何か胸騒ぎがするんです」

昴「そうか・・」

俺も同意見だ。五胡の軍は蛮賊特有の荒々しさと奇抜な用兵術をもって戦いを挑んでいる。しかし、何か妙だ。敵はまるで何か目的を持って動いているみたいに見える。後もう1つ、順調過ぎる。あまりに思惑通りに進み過ぎている。七乃と同じに俺も何か悪い予感がする。

昴「手は打っておくか・・」

俺は兵を2人呼び、指示を飛ばした。



















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その後も戦は優勢に進み、敵陣を突き破った文醜隊が敵本陣に迫る。勝敗は決した・・・そう思った瞬間、俺達は驚愕の渦に巻き込まれることになった。




















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※※※※


猪々子side

猪「おっしゃあー! おまえら、このまま敵本陣一番乗りすんぞー!」

「応っ!」

一時はヤバかったけど、麗羽様のおかげで助かった。あたいらは敵陣を突破して本陣に突き進む。

猪「行くぜー!」

敵本陣にたどり着き、どんどん突破していく。

敵総大将を討ち取ってやる!

そんな意気込みで先陣切っていった。そして敵本陣に突き進むと・・・。

猪「えっ?」

どういう事だ? なんで・・・。
















なんで本陣に誰もいないんだ?















場所間違えたかな?

兵達も混乱している。そこへ1人の伝令が来た。

「申し上げます! 敵部隊が我が軍の本陣近くに現れました!」

猪「何だとー!?」

何でそんなところに・・っ!? まさか本陣に誰もいないのって・・。

猪「やべーぞ! 早く本陣の救援に向かうぞ!」

あたいはすぐに来た道を戻った。




















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昴side

猪々子の隊が敵本陣へと突入し、勝敗は決したと思ったその時・・。

「西側の森から敵兵が現れました!」

昴「!?」

詠「何ですって!?」

自軍本陣に衝撃が走る。

詠「あの森に1部隊を伏せていたの!?」

1部隊・・・。いや違う。あれは・・。

昴「あれはおそらく敵本隊だ」

詠「本隊? そんな、だって本隊は・・」

詠が前方の敵本陣の方向を見る。

昴「おそらくだが、本陣は空だ」

詠「空? そんなわけ・・」

昴「考えても見ろ、いくら伏兵で俺達の本陣を突いても自軍本陣、本隊を全滅させられたら意味がない。例え不意討ちでもただの1部隊が早々に本隊が落ちる事はない。多少被害が与えられても最後には救援に来た部隊に挟撃されて終わりだ」

詠「つまり・・。」

昴「敵は短期決戦に対応してくる俺達の策を逆手に取り、本陣を囮に孤立した俺達本隊を本隊で殲滅を図ろうとしたんだろう」

詠「っ!? 蛮賊にそんな事・・」

昴「敵にも頭が回る奴がいるといるんだろう。蛮賊言えど、たくさん人数が居れば1人や2人切れ者はいる」

詠「くっ! 今はとにかく対応しないと。華雄隊に通達、敵本隊の迎撃を・・」

昴「駄目だ、華雄隊も交戦中だから対応には間に合わない。俺達本隊で迎撃する」

詠「本隊だって迎撃体勢が・・!」

昴「万が一に備えて既に本隊の1部隊に陣形を構築させてる。俺がその1隊を率いて迎撃に向かうから詠は事態を収拾して隊を立て直せ」

詠「あんた、この事態を予測してたの?」

昴「ただの勘だ。根拠は全くなかった。今は一刻も争う状況だ。後のことは任せるぞ」

詠「・・分かったわ」

昴「それじゃ、後は頼む」

俺は詠に総指揮を任せ、あらかじめ陣を構築しておいた部隊の先頭に向かった。

















・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・


昴「俺達はこれより西側の森より現れた敵部隊の迎撃に向かう! 皆俺に続け!」

「「「「応っ!」」」」

俺は村雨を抜いて先陣を切る。

あらかじめ陣を構築しておいたとはいえ、あまり長丁場になれば厳しい。なら俺がすることは・・。

昴「敵総大将を討ち取る!」

もうまもなく接敵する。

「大将首はもらった!」

敵先駆けが俺に斬りかかる。俺は一度村雨を鞘に戻し、上体を下に下げる。

昴「北辰抜刀術・・」

足に氣を集中させ。

昴「疾・風!」

前方に飛び、鞘から村雨を引き抜き、斬り裂いた。

「ぐはっ!」

「うぐっ!」

「がはっ!」

一気に3人の首を飛ばす。敵がぞろぞろ俺に集まってくる。

昴「一掃する」

俺は村雨を再び鞘に戻し、朝陽と夕暮を抜き、氣弾を前後左右に乱射し、敵の急所を撃ち抜く。

ダダダダッ・・。

「ぎゃは!」

「うげっ!」

「がはっ!」

氣弾で撃ち抜き、双剣で斬り裂き、時に蹴り飛ばし、敵を次々に葬る。

「死ね!」

敵が4人俺に飛びかかる。自身の命をもって俺の動きを止めに来た。

昴「その意気込みは買うが、甘い」

俺は上空に飛び、それを避ける。朝陽と夕暮を鞘に戻し、村雨を引き抜き。村雨に氣を込める。

昴「飛龍・衝撃!」

地面に落下と同時に氣が込められた村雨を叩きつける。

ドゴーン!!!

叩きつけられた場所を中心に大きな爆発が起きる。辺りにいた敵はその爆発に呑み込まれ、弾き飛ばされる。

「殺せー!」

昴「ちっ!」

今までの敵ならこれで少しは怯むんだが、こいつらはあるで怯まない。言うなれば死兵だ。まずいな、如何に精鋭揃いの本隊でもこんな奴ら相手ではいずれ崩れる。

昴「早い所敵総大将を・・・っ!?」

突如強い殺気が俺を襲った。俺はすぐさまその場を離れる。

ドーン!!!

俺がつい先程までいた場所が爆ぜる。そこには1人の人が居た。

?「・・・」

五胡の兵は皆奇妙な仮面を付けているが、こいつにはそれはなく、素顔を晒している。明らかに他の奴らとは違う。

昴「お前が総大将か?」

?「肯定」

見つけた。こいつが総大将。背丈は星と同じくらい。髪は腰に届く程に長い。得物は恋が使う方天画戟の柄を短くしたような戟を両手に構えている。

昴「俺は劉備軍、総大将の御剣昴。お前は?」

姜「姜維・・、伯約」

昴「姜維か。姜維、その首貰い受ける!」

俺は姜維に飛び込んだ。

姜「否。私が討ち取る」

姜維も同時に飛びかかる。

ギィン!!!

俺の村雨の一撃を姜維は戟を交差させて受け止める。

ガチン!!!

一度距離を取り、再度距離を詰める。

ガキン! ギィン! ギン!

お互いが数合斬り結ぶ。

強い。単純な実力は愛紗級だ。想華や猪々子や斗詩には悪いが、3人では荷が重かっただろうな。戦い方は蛮賊特有の荒々しい戦い方ではなく、堅実でどっしり腰を降ろしたような戦い方だ。この手の手合いはなかなか隙を見せない。本来なら時間をかけて体力を削って集中力がわずかでも緩んだ所を狙うのが常道だけど、あいにく俺に時間をかける余裕はない。時間が経てば経つほどこっちの士気はどんどん落ちていく。一騎討ちに勝っても戦に負けましたじゃ意味がない。・・やむを得ないか。多少危険でも勝負を仕掛けるか。

姜「ふっ!」

姜維が戟を俺の顔めがけ、突いてくる。

ここだ!

俺はその突きに向かっていき、直撃スレスレで首を左にひねり、避けると同時に村雨を振り抜く。

ギン!!!

姜「ぐっ!」

姜維はかろうじてもう1本の戟で受け止める。

昴「はあ!」

俺は受け止められるのもお構い無しに振り抜く。

ギィン!!!

姜維が後方に弾かれる。

昴「まだまだ!」

俺はすぐさま追い討ちをかける。

ギィン! ガキン! ギィン!

姜「ぐぐぐっ・・!」

姜維はかろうじて体勢を立て直し、俺の連撃をしのぐ。

昴「ふっ!」

ギィン!!!

姜「くっ!」

姜維は再び戟を交差させて受け止める。

ギギギギギッ・・。

鍔迫り合いが行われる。

昴「強いな」

姜「あなたも」

昴「この戦の策は君が考えたのか?」

姜「肯定」

昴「なかなかやるな。だが、本隊が迎撃体勢を取っていたのは予想外だろ?」

姜「・・・否」

昴「何?」

姜「想定はしていた」

昴「何だと?」

姜「もし私が止められたとしても―――」














姜「――さらなるもう一手があなた達を貫く」














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詠side

「申し上げます! 東方より砂塵!」

詠「何ですって!?」

伏兵・・いや別働隊!? そんなものまで・・・。こっちは敵本隊で手一杯なのに・・。どうする・・このままじゃ・・。

本隊が全滅・・。そんな予感が頭をよぎったその時・・。

「申し上げます! 我が軍後方から砂塵!」

詠「っ!?」

振り返ると後方に砂塵がまっていた。

まだ別働隊が? もしそうなら手の打ちようが・・。いや違う。あれは・・。

星「趙雲隊、敵別働隊にぶつかる! 気を引き締めてかかれ!」

「「「「応ー!!」」」」

後方から趙雲隊が飛び出し、敵別働隊へぶつかっていく。

詠「星!? 何で星の部隊が・・。援軍要請は出してないのに・・。いや、出してたとしても速すぎる。もしかして朱里か雛里の指示?」

そうでなければおかしい。・・でも助かった。これで体勢を整えられる。すでに文醜隊は敵本隊に向かっているし、敵前曲ももうすぐ撃破できる。これで勝敗は決したわ。

詠「急いで立て直すわ! 体勢を整え次第昴の救援に向かうわ!」


















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※※※※


昴「別働隊まで用意していたとはな」

姜「読んでいたのか?」

昴「これを想定していたわけじゃないけどな」

俺は出陣の際、星に遅れて出陣するように指示をした。そして俺達に気付かれないようにこっそりついてくるようにと。これは万が一の時の為の切り札として用意しておいた。ちなみに俺以外誰も知らない。教えなかった理由は安心感を与えない為だ。結果的にこれが功を奏した。

姜「・・・退く」

姜維が指示を飛ばし、五胡の軍は一糸乱れぬ動きで撤退していく。

姜「御剣昴」

昴「何だ?」

姜「――――」

昴「っ!?」

姜維は五胡の兵と共に撤退していった。

昴「そうか・・」

・・・五胡がここまでのものとはな。姜維程の切れ者がいるならこの先五胡はさらに恐ろしい存在になる。詠をここまで手こずらせるとはな。詠を責めることはできない。正直、朱里や雛里。冥琳や穏。桂花や茉里、華琳でも同じ結果になっていたと思うから。それに結果的には序盤は詠の指揮もあって順調だったし、中盤の敵本隊自らの伏兵も俺が機転を利かしたから大した被害も出ていない。終盤の別働隊も星を控えさせてた事もあってこちらもあまり被害を出していない。かなり偶然に頼った結果でもあるが、被害は軽微。結果だけみたら完勝だ。

昴「五胡対策を立てないとな」

俺は五胡への対策に頭を巡らせた。


















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詠side

五胡は撤退し、ボク達は戦に勝利した。

星「何とか退けることが出来たな」

詠「星。あんたどうしてここに? 朱里か雛里の指示?」

星「聞いておらぬのか? 私は主の命で別働隊として後方に待機しておったのだ」

詠「昴の?」

星「うむ。・・むっ?主が戻られたようだな」

星は昴の元に向かっていった。

何よ・・。ボクを信頼するって言ってたのに何で星を・・。ううん、何でその事をボクにすら言わなかったの? ボクは信頼するに値しないとでも言うの? 何でなのよ・・・。

外敵、五胡を退けることに成功した劉備軍。しかし、昴と詠の間に亀裂が走った。











続く

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