小説『真・恋姫†無双〜外史の守り手〜』
作者:ブリッジ()

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第67話〜母の顔、女の顔〜















昴「それじゃ、その件は朱里の案を採用しよう。任せたよ」

朱「御意です」

昴「雛里、以前にあがってた難民の受け入れについてはどうなってる?」

雛「はい。その件でしたら・・」

雛里が報告を始める。俺は受けた報告を頭の中で吟味する。

雛「・・以上の形を取りました。どうでしょう?」

昴「・・うん。問題ないな。人数の振り分けや住民との喧嘩とか起きないように最善の注意を払ってくれ」

雛「了解しました」

次々と報告を受け、俺が決済をする。問題点や改善点があればその都度指摘していく。南征したことにより、政務の量は普段より多い。俺は自身の書簡を処理しながら報告を決済していく。

現在執務室には俺と桃香と愛紗と朱里と雛里がおり、4人で政務を行っている。しばらく政務を行っていると・・。

?「ごしゅじんさま〜!」

昴「ん? あぁ璃々ちゃんか。どうした?」

ふと声のしたことに方を見ると、璃々ちゃんが執務室の扉の所から部屋を覗き込んでいた。

璃「ごしゅじんさま〜! 璃々と遊ぼうー!」

昴「おっと」

言うや否や璃々ちゃんが俺の胸に飛び込んだ。

璃「ねぇごしゅじんさま、璃々と遊ぼうよ!」

昴「うーん、参ったな・・」

苦笑いしながら悩んでいると・・。

紫「璃々、あまりご主人様を困らせては駄目よ」

昴「あ、紫苑・・」

璃「お母さん!」

璃々ちゃんの声を聞き付けたのか、紫苑がやってきた。

紫「璃々、ご主人様はお仕事の途中だから邪魔をしたら駄目よ。・・申し訳ありません。璃々が・・」

昴「何、謝ることのほどでもないさ」

あまりにも紫苑が申し訳なさそうに頭を下げるので俺はそれを制した。

璃「ねぇごしゅじんさま、あとお仕事どのくらいで終わる?」

昴「そうだな・・」

この量から考えて、およそ3時間って所か・・。それだとほとんど遊んであげる時間が取れないな。

俺が悩んでいると・・。

桃「ご主人様、今日はもう終わりで良いよ」

昴「桃香?」

桃「後は私達でやっとくから、ご主人様は璃々ちゃんと遊んであげて」

朱「そうですね。後は私達に任せて下さい」

昴「ん〜、しかしだな・・」

愛「ご主人様は日々の政務にご自身の鍛練にひいては兵の調練からその視察まで。ご主人様は日々あまりにも激務をこなしています。臣下から申させていただければ、少し御体を労っていただきたいと願う所であります」

昴「愛紗・・」

愛「後の事は我々に任せ、ご主人様は璃々と遊んであげて下さい」

愛紗はそう俺に言った。雛里の方を見ると・・。

雛「・・(コクッ)」

俺の顔を見ると、一度頷いた。

昴「・・分かった。ありがとう、皆」

俺は皆に礼を言い・・。

昴「そう言う事だから、璃々ちゃん。一緒に遊ぶか」

璃「ホント!? やたーっ!」

喜んだ璃々ちゃんが俺に抱きついた。俺は璃々ちゃんを抱っこしたまま立ち上がり・・。

昴「それじゃ、後の事は頼む。紫苑、行こうか」

紫「いえ、私は・・」

桃「ほらほら、紫苑さんも」

桃香が紫苑の背中を押し、俺の方へ押しやった。

紫「桃香様・・、それではお言葉に甘えさせていただきます」

紫苑が少し遠慮するような素振りを見せたが、桃香の好意を受けることにしたようだ。

桃「ご主人様、楽しんで来てね!」

俺達は皆に見送られ、執務室を後にした。




















※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※


璃「ごしゅじんさまー! お母さんー! こっちこっちー!」

璃々が城の庭を駆け回りながら俺と紫苑を呼ぶ。

昴「すぐ行くよー!」

紫「璃々、あまり走ると転ぶわよ」

紫苑が璃々ちゃんをたしなめる。俺は璃々ちゃんを追いかけ、抱き上げる。

昴「それっ!」

俺は抱き上げたまま璃々ちゃんをグルッと一回転回した。

璃「うにゃーーーっ!」

一瞬驚いたようだけど、璃々ちゃんはとても楽しそうだった。3回転ほど回った後地面に降ろした。

昴「さて、何して遊ぼうか?」

璃「うんとね、お砂で遊ぼ!」

砂か、たしか庭の隅っこに砂遊びに適した柔らかい砂があったな。

昴「なら、あそこの砂で遊ぶか」

璃「うん!」

俺達は砂場に向かった。















・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・


璃「んしょ、んしょ・・」

璃々が一生懸命砂を固めて何かを作っている。俺もその横で砂を固めて作品作りをしている。

璃「・・・できたー!」

昴「おっ、出来たか。どれどれ・・」

璃々ちゃんの作品を見てみると、どうやらお城のようだ。

昴「立派なお城だね」

璃「うん! このお城で璃々とお母さんとごしゅじんさまで暮らすのー!」

昴「ほう、そうか。それは楽しみだな」

璃「うん! 璃々もー! ごしゅじんさまは何を作ったの?」

昴「俺はこれだ!」

俺は片手を作品の方に向けてお披露目をする。

昴「愛紗!」

璃「すごーい! 愛紗お姉ちゃんそっくりー!」

昴「だろう?」

俺は砂を持ってきた水で土を固めたり、木の枝を駆使して等身大愛紗を作り上げた。その横には桃香像もある。現在鈴々像を作成中。

璃「ごしゅじんさますごく器用だねー」

昴「まあな。後で璃々ちゃんと紫苑も作ってあげるからな」

璃「やったー! ありがと、ごしゅじんさま!」

俺達はしばらく砂場で遊んだ。


















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※※※※


その後、俺と璃々ちゃんは紫苑がお茶を持って来るまで砂場で遊んだ。璃々はお城の後は動物等を作ったようだ。俺は鈴々像を完成させた後、紫苑像と璃々ちゃん像を完成させた。その後にねね像も作成しようと思ったが、時間がなかったので残念ながら頭だけである。俺達は紫苑に呼ばれると2人で手を洗い、紫苑が淹れてくれたお茶やお茶菓子をいただきながら3人で談笑をした。現在は璃々ちゃんは傍の原っぱで花や草を集めて遊んでいる。

昴「ははっ、楽しそうで何よりだ」

紫「ええ、本当に・・」

俺と紫苑は卓に座りながら璃々ちゃんを見守っている。

紫「・・・ご主人様」

昴「ん?」

紫「璃々の為にお時間を作っていただいて本当にありがとうございます」

昴「礼なら桃香達にしてあげてくれよ。皆が俺の分の仕事を引き受けてくれたんだから」

紫「もちろん、桃香様達にも感謝しております。ですが、ご主人様の貴重なお時間を割いていただいたわけですし・・」

昴「感謝なんて不要だよ。俺も最近は璃々ちゃんと遊んであげられなかったからな。それに、璃々ちゃんと遊ぶのは楽しいから心も身体も癒される気分だよ」

紫「そうですか。それなら良いのですが・・」

紫苑は相変わらず申し訳なさそうだ。

昴「それにな」

紫「?」

昴「普段は将としての紫苑ばかり見ているけど、母親としての紫苑の姿が見れるから俺としても新鮮な気分だよ」

紫「もう、ご主人様ったら・・」

紫苑は少し恥ずかしそうだった。

紫「あら? ご主人様?」

昴「ん?どうした?」

紫「お口に先ほどのお菓子が・・・失礼致します」

紫苑が俺に詰め寄り、俺の口の横を触れ、何かを掴むと、それを自身の口へと運んだ。

昴「し、紫苑?」

紫「ふふっ・・」

紫苑が妖艶な笑みを浮かべると俺の耳元に顔を近づけると、

紫「将や母の顔ではなく、今度は是非女の顔をご覧になって下さい」

昴「っ//」

紫苑はそう告げると軽く耳に息を吹きかけた。

紫「ご主人様・・」

紫苑が何かを告げようとしたその時・・。

璃「できたー!」

突如璃々ちゃんの声が響いた。俺は慌てて声のした方を向く。

璃「ごしゅじんさまー!」

昴「ん、どうした?」

璃「はい! これごしゅじんさまにあげる!」

見ると花や草で作った冠のようだ。

昴「良いのか?」

璃「うん! ごしゅじんさまの為に作ったんだよ!」

昴「・・そうか」

俺は璃々ちゃんの目線まで膝を曲げ、しゃがんだ。そして璃々ちゃんは俺の頭に冠を乗せた。

昴「ありがとう。璃々ちゃん」

俺は璃々の頭を撫でた。

璃「えへへ〜」

璃々ちゃんはとても嬉しそうだった。

璃「また一緒に遊ぼうね。ごしゅじんさま!」

昴「ああ。今度はちゃんと時間を作ってたくさん遊ぼうな」

璃「うん!」

俺は璃々ちゃんを抱き上げ、膝の上に乗せた。

その後、俺達は夕刻まで遊んだ。


















※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※


あれから数日。相変わらず政務に追われる毎日だが、暇を見つけて璃々ちゃんと遊んであげた。今日は仕事の量が多かったため、時刻は夜になってしまった。

昴「さて、どうするかな」

寝るにはまだ少し早い。しかし時刻は夜だから街に行くのも誰かに付き合ってもらうのも気が引けるな。

どうしようか迷っていると・・。

昴「ん?」

ふと前を見ると、前に一組の集団がやってきた。

桔「これはこれは、お館様ではありませんか」

昴「桔梗。それに紫苑に星も。3人揃ってどうしたんだ?

星「何、我らはこれですよ」

星は徳利を見せた。

昴「なるほど」

星「良い酒を手に入れましたのでな・・そうだ、主もご一緒にいかがかな?」

昴「俺まで良いのか?」

桔「何をおっしゃいます。お館様にも是非ご一緒願いたい」

紫「お酒はたくさんありますから是非ご主人様もいらして下さい」

昴「分かった。ならご相伴に預かろう」

俺は3人についていった。


















※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※


俺達は城の少し広めの部屋に卓と椅子を並べ、そして準備が整うと・・。

「「「「乾杯!」」」」

俺達は一斉に酒を煽った。

昴「なるほど、これはなかなか・・」

桔「ふむ、確かに」

紫「ホントね」

星「であろう?」

確かに美味い酒だ。星が言うのも分かるな。

桔「たまにはこうしてお館様と酒をいただくのも良いものですな」

星「まったくだな」

2人は毎日酒を煽っている印象しかないんだが・・。

4人で酒を煽りながら談笑していると不意に桔梗が・・。

桔「ところで、お館様は酒にはお強いか?」

昴「俺か? そうだな、結構イケる方だと思うぞ」

桔「そうですか、ならばここいらで1つ、我らで飲み比べ等はいかがかな?」

桔梗が俺や星や紫苑に言う。

星「ほう。それはこの趙子龍に対して言っているのか?」

星はニヤリと笑う。

紫「桔梗。ご主人様の前なのよ?」

桔「以前にした紫苑との決着もまだ着いておらぬ。ちょうど良いのではないか?」

紫「・・もう、まったく、仕方がないわね」

紫苑もやる気のようだ。

昴「・・ゆっくり酒を楽しまないか?」

星「おや、自信がないのであれば主は我らを見守っていてくだされ」

星は意地悪い笑みで俺にそう告げる。

昴「・・良いだろう。そこまで言うならその勝負、受けて立つよ」

桔「決まりだな」

桔梗が卓に徳利を大量に並べ、それぞれに酒を注ぐ。

桔「では始めようか」

桔梗がそう宣言すると、突如飲み比べ大会が始まった。


















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※※※※


1時間後。

桔「ふむ、なかなかやるではないか」

星「お主もな」

紫「ふふっ、まだまだこれからよ」

皆以前としてペースは落ちない。

これは長丁場になりそうだ。









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2時間後。

皆一定ペースで酒を煽ってきたが、ここで1人に変化が現れた。

星「・・なかなか・・・やる・・な」

どうやら星に酒が回ってきたようだ。

桔「くくっ、当然だ」

紫「まだまだよ」

桔梗や紫苑はまだ余裕があるみたいだが、最初比べるとペースは落ちてきている。

まだまだ終わりそうにはないな。



















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※※※※


3時間後。

星「・・ヒック・・むにぇん・・。こにょ趙子龍が後れを取るとは・・」

遂に星がダウンした。

桔「まずは1人。さて、勝負はこれからだ」

紫「ええ。もちろんよ」

2人はまだまだイケるみたいだ。

残り3人・・。



















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※※※※


4時間後。

桔「・・くっ、や、やるな・・」

紫「あ、あなたこそ・・」

2人はかなり酒が回ってきたようだ。

紫「それにしても・・」

桔「何故お館様は平然としていられるのだ?」

昴「ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ・・・」

俺はペースを崩さずに酒をいただいている。俺は元来酒が強いのだが、以前別の外史で、火が着くぐらいの強い酒を浴びるように飲む奴がいた。そいつに事あるごとに酒に付き合わされた為、今では簡単には酔わない体質になった。今飲んでる酒もそれなりに強いが、俺から言わせればそれほどでもない。

昴「・・降参か?」

桔「くっ、まだまだだ!」

紫「と、当然よ」

昴「はぁ・・」

勝負はまだまだ続くようだ。


















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※※※※


5時間後。

桔「・・もう、限界だ・・」

桔梗が器を落とし、卓に突っ伏す。

紫「さすが・・・ご主人様・・だわ」

紫苑も同じく卓に突っ伏した。

昴「Winner、勝者俺! ・・・・はぁ。どうしようこれ」

部屋には3人の酔い潰れと大量の空瓶。

昴「・・とりあえず軽く片付けてから皆を運ぶか」

俺は空瓶を一ヶ所に集め始めた。



















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※※※※


部屋を軽く片した後、まずは星を部屋まで運び、次に桔梗を部屋まで運んで寝かせた。本来なら着替える必要があるんだろうが、さすがに着替えさせる訳にはいかないので、そこはご愛敬。

俺は最後紫苑を背負って部屋まで歩いている。やがて部屋にたどり着き、扉を開け、寝台にまで運ぶ。

昴「よいしょ」

俺は背負っていた紫苑を降ろし、寝台に寝かせ・・・・・・・・・・・・ようとしたその時・・。

昴「えっ?」

グルン・・。

突如視界が反転した。俺は状況が全く掴めなかった。視界が反転したかと思うと、俺は寝台へ叩きつけられた。

ドスーン!

昴「な、何だ!?」

動揺して、状況を整理しようとしたその時、俺の上に先ほどまで酔い潰れていた紫苑が跨がっていた。

紫「ふふっ・・」

紫苑は妖艶な笑みを浮かべている。その瞳から色が消えていて何処か不気味だ。

昴「し、紫苑、どうしたんだ?」

俺は慌てて起きようとするが、紫苑の上手い乗り方と体重のかけ方により、なかなか上手くいかない。

紫「ご主人様・・」

紫苑がおもむろに自身の服の留め具に手を当て、1つ1つ外していく。やがて・・。

ブルン!

留め具が外された事により、服の中から小振りのスイカ程の大きな胸が露になった。

昴「・・ゴクリ」

紫苑の胸はとても大きいながら形を失わず、さらに重力にも負けていなかった。

昴「し、紫苑。少し落ち着こう。一度俺から離れて・・」

俺はしどろもどろになりながら紫苑に告げる。が、しかし、紫苑には全く言葉が届いていないのか、左手の小指で自身の髪をかきあげると俺に顔を寄せ、そして・・。

紫「ん・・」

昴「んぐっ!」

紫苑は俺の唇を奪った。

クチュ・・クチュ・・。

とても情熱的に、時に優しく俺の舌に自分の舌を絡ませる。

舌のやり取りが3分ほど続くと紫苑は俺から顔を離した。

昴「ぷはぁ!」

俺と紫苑の間に一糸の銀糸が伝う。その銀糸はやがて重力に負け、切れてしまう。紫苑は切れた銀糸の一部。自身の身体に付着した銀糸を人差し指と中指ですくい取り・・。

グチュ・・グチュ・・。

それを自分の口へと運び、とてもいやらしく、それでいとても甘美に舐めあげる。さらに紫苑は空いている手で俺の服の留め具を次々に外していき、上半身の衣服を剥ぎ取った。

昴「し、紫苑。駄目だこんな事。俺達には・・『ご主人様・・』」

言葉を続けようとすると紫苑が途中で割り込んだ。

紫「・・2人目は、男の子が欲しいわ・・」

そう俺に呟いた。

えっ・・未来設計?

紫「さあご主人様。私に愛の結晶を・・」

紫苑が再び俺に詰め寄り、そして・・。

昴「んぐっ!?」

今度はその大きな胸で俺の顔に押し付けた。

昴「んー! んー!」

ヤバいヤバい! とても気持ちいい・・じゃなくて、息が出来ない! くっ、どうする!? 俺に入ってる酒の事もあり、引き剥がせない。それどころか脳がその甘い誘惑に侵食されかかってきている。このままじゃ誘惑に負けて紫苑を・・。どうする。どうするよ俺!?

どうにか残った理性で頭を働かせ、考えを巡らせていると、突如、俺の耳に・・。

紫「・・スー・・スー・・」

紫苑の寝息が耳に入ってきた。

昴「むぐぐ・・ぷはぁ!」

俺から顔を出すことに成功した。

昴「どうやら眠りに落ちたようだな」

助かった・・。とりあえず安堵したのも束の間、また新たに危機に直面した。

昴「・・離れられない」

紫苑が強く俺を抱きしめているため、離れる事が出来ない。何度も離れようとするが、依然として離れられない。それどころか無理に離れようとすると紫苑がそれを嫌がってホールドをきつくなる始末だった。

昴「・・つまり、紫苑が起きるまでこのまま抱き枕か?」

正直かなりつらい。裸の女性の胸に顔を押し付けられながら眠るのは。

やがて、理性との戦いが始まった。

















※※※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※


昴「ん・・」

ふと気が付くと朝だった。あれからしばらく理性と戦っていると、酒が回っていた事もあり、そのまま眠ってしまった。人間意外にもこの状況でも眠れるようだ。

昴「とりあえず、紫苑から離れないと」

昨晩のように離れないとするがやっぱり離れられない。仕方なく紫苑を起こそうと決めたその時。

コツコツコツコツ・・・。

誰かがこの部屋へと近付いてきた。

ヤバい! こんな姿見られたら・・。頼む、入って来るな!

そんな淡い希望も通じる事もなく・・。

ガチャ!

部屋の扉は開けられた。しかも入って来たのが、

愛「紫苑、朝早くにすまないな。ご主人様を見掛けなかった・・」

愛紗だ。よりによって1番最悪な相手。何も知らない者がこれを見たらこの状況をどう見る? 互いに裸。俺は紫苑の胸に顔を埋めている。

誤解されるとマズイ! とにかくこの場をやり過ごさないと!

昴「愛紗、ちょうど良いところに! これはだな・・」

愛紗に誤解を与えないように説明を始めようとしたその時・・。

紫「・・う・ん。ご主人様。きっと元気な男の子だわ・・」

昴「なっ!?」

どんな夢を見ているのかは知らないがこの状況でその言葉は最悪・・。

愛「アハハ、ワタシハドウヤラマダユメノナカミタイダ。ハヤクオキナイト」

愛紗はフラフラしながら部屋を後にした。

昴「待て、愛紗! 誤解だ! 待ってくれ! っていうか紫苑も早く目を覚ましてくれー!」

城中に俺の慟哭が木霊した。

その後、紫苑のご懐妊疑惑が城中に伝わったのは言うまでもない。誤解が解けるのに1週間かかったのだった。











続く

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