小説『真・恋姫†無双〜外史の守り手〜』
作者:ブリッジ()

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第69話〜遠足、娘達のサプライズ〜















昴「よーし、それじゃいっぱい遊んでこいよ」

「「「「はーい!(にゃー!)(なのです!)(なのじゃ!)」」」」

俺の問いかけに答えた皆がそれぞれ散らばっていく。俺は今、璃々、ねね、美羽、美以とミケ、トラ、シャムの虎娘達と街の子供達をを連れて成都近くの河原へ遊びに来ていた。

七「お嬢様〜、楽しんできて下さいね〜♪」

美「うむ! 皆妾に続くのじゃ!」

美羽が子供達を引き連れ、原っぱへ駆けていく。

璃「お母さ〜ん!」

璃々が大きく手を振る。

紫「ふふっ・・」

紫苑は笑顔で手を振り返す。

ね「恋殿も一緒に遊ぶのですー!」

恋「ん」

恋はねねの所へ走っていく。一応引率者兼保護者として、俺と後は紫苑と七乃と恋がいる。

恋「♪〜♪」

・・まあ恋に保護者が務まるか疑問だが、恋は万が一の時の護衛という事にしておこう。

昴「今日は晴れて良かったな。絶好の遠足日和だな」

紫「そうですね」

七「まったくです〜♪」

子供達が元気に走り回る姿を俺達保護者は温かく見守っている。

昴「あまり俺達の目の届かない所には行くんじゃないぞー!」

「「「「はーい!(なのじゃ!)(なのです!)(にゃー!)」」」」

子供達は俺の問いかけに答えると、再び駆け回り始めた。

紫「ふふっ、ご主人様もすっかり保護者が板についてきましたね」

七「お父様みたいです〜♪」

昴「からかうなよ。・・・それにしても意外だったな」

紫「どうしました?」

昴「子供達を連れてどこか遠足にでも行きたいと言ったのは俺だけど、まさか了承されるとはな」

愛紗辺りはもの凄く反対すると思ったんだが。

紫「桃香様も愛紗ちゃんも、ご主人様にゆっくり過ごしてほしいという心遣いですよ」

昴「うーん、ありがたい限りだけど、最近仕事の量が少ないから何か手持ちぶさたなんだよなー」

紫「・・私から言わせていただければ、今までの量が多すぎたのですよ」

昴「そうか?」

七「そうですよ。昴さんが普段こなしている仕事の量は通常の太守の3倍以上ですよ?」

昴「そうだったのか・・」

全然自覚なかったな。

紫「ご主人様主導で行われた改革故にご主人様掛かる負担は今まで大きかったですけど、今ではご主人様抜きでも改革を進める事ができます。ですので今後ご主人様は少し体を休めて下さい」

昴「・・分かったよ。ならお言葉に甘えさせてもらうよ」

七「甘えて下さい♪ っという事で、えい♪」

昴「っとと・・」

俺は七乃の膝に寝転ばされた。

七「お嬢様達は私達が見ていますから、昴さんはゆっくり休んで下さい」

昴「・・七乃には敵わないな。分かったよ。なら休ませてもらうよ」

俺は両目を閉じた。程なくして睡魔に襲われ、眠りに落ちた。


















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七乃side

昴「スー・・スー・・」

昴さんは私の膝に頭を置いたらすぐに眠ってしまいました。

七「もう眠ってしまいましたね」

紫「ホントね」

七「まったく、そこまで疲れているならもう少し体を労ってほしいですね」

紫「・・きっとご主人様は無自覚よ。無自覚に無理をして、皆に心配かけて・・・でもそれでこそご主人様なのかもしれないわ」

七「そうでしょうね。ふふっ・・皆苦労するんでしょうね♪」

紫「七乃ちゃんも、でしょ?」

七「あはは〜」

私は昴さんの髪をそっと撫でた。




















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子供達side

璃「ねえ美羽お姉ちゃん、ねねお姉ちゃん」

美「なんじゃ?」

ね「どうしたのです?」

璃「お姉ちゃん達はごしゅじんさまの事好きー?」

美「っ//」

ね「//、璃々、突然何を・・」

璃「んとね、おかあさんもごしゅじんさまの事大好きって言ってから、お姉ちゃん達はどうなのかなって」

ね「むむっ、ねねは別にあんな外道君主など・・」

以「美以は大好きなのにゃー!」

ミ「ミケも大好きなのにゃー!」

ト「トラもトラも!」

シ「シャムも〜」

美以とミケ、トラ、シャムの3人が声高々に騒ぐ。

ね「あんなののどこが・・・見る目がないのです」

美「・・・」

璃「美羽お姉ちゃん?」

美羽は何やら沈黙している。

美「妾は、好きなのじゃ」

璃「美羽お姉ちゃんもなんだ!」

美「最初は父様のように好きじゃったが、最近では何か違う気がするのじゃ」

ね「違う?」

美「うむ。昴がおると何か胸がドキドキするのじゃ」

璃「ドキドキ?」

美「・・(コクリ)」

美羽は黙って頷く。

璃「ねねお姉ちゃんはごしゅじんさまの事嫌いなの?」

ね「ねねは・・」

璃「嫌いなの?」

璃々は瞳をウルウルとさせてねねを見つめる。

ね「うっ・・、ねねは、あいつは外道で意地悪ですが・・・たまに優しくて、暖かくて・・」

ねねは体をもじもじさせて淡々と述べていく。

恋「ねねは昴が大好き」

ね「れ、恋殿!?」

恋「? ・・違うの?」

ね「・・はいなのです」

恋に追求され、ねねは素直に認めた。

璃「皆ごしゅじんさまが大好きなんだね!」

璃々がそう言うと、皆が顔を赤らめる。

美「・・思えば妾は本当なら殺されてもおかしくないのじゃ。それなのにこうして生きておる。昴のおかげで」

ね「むぅ、ねねもなのです」

恋「恋も・・」

美「昴にはいくら礼を言っても足りないのじゃ」

3人が頷く。ここで璃々が・・。

璃「ねえ、皆でごしゅじんさまにたくさんありがとうって言おう?」

ね「む?」

美「?」

璃「ごしゅじんさまに皆でありがとうってお礼しようよ」

ね「お礼、ですか・・」

何やら考え込むねね。

美「うむ、それはいい考えなのじゃ!」

以「何やら面白そうなのにゃー!」

ミ・ト・シ「にゃー!」

ね「まあ、礼の1つくらいはしてやるのです。それで、具体的にどうするのです?」

璃「璃々にいい考えがあるよ! あのね、前にごしゅじんさまが言ってたんだけどね・・」

璃々皆に計画を話し始めた。

















・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・


その後、2時間程して昴が目を覚まし、昼食食べた後は皆で川で水遊びをして、夕暮れ前に成都へ帰還した。




















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昴side

翌日、今日の分の書簡の整理を行っている。

昴「・・・よし。ここらで昼食にするか」

俺は筆を置き、執務室を後にした。



















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昴「さて、何食おうかな」

街に行ってラーメンでも食いに行くか? ・・・・・いや、厨房にでも行って何か適当に調理でもしよう。そう決めて厨房へと歩いて行くと、何やら厨房の方から甘い匂いが漂ってきた。

昴「なんだ?」

俺は気になって厨房に入る。

昴「ん? 美羽にねねに璃々、それに虎娘達?」

厨房にいたちびっこ達に話し掛けると、

ね「むっ! 美以!」

以「任せるにゃ! 者ども、かかれ!」

ミ・ト・シ「にゃー!」

昴「うおっ!」

ミケが俺の足にしがみつき、トラが俺の腰にしがみつき、シャムが俺の顔にしがみついた。

璃「ごしゅじんさまは入っちゃだめー!」

美「昴は厨房に立ち入り禁止なのじゃ!」

昴「何でよ」

璃「だめったらだめー!」

昴「分かった! 分かったから虎娘達、離れてくれ!」

ミ・ト・シ「にゃー!」

結局虎娘達にしがみつかれたまま厨房を追い出された。



















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それからというもの、子供達の様子がどうもおかしくなった。皆俺を見つけるとそそくさと逃げ出したり、何やらコソコソ話をしたり。個人的には今まで政務の合間に璃々と遊んでいたのだが、その璃々が何処かへ行ってしまったり、美羽はお勉強の時に何かソワソワしているし、ねねは俺を見つけるなりちんきゅーきっく・・これはいつもの事か。美以や虎娘達は遠巻きに俺を・・見張ってるのか? 付かず離れず距離で俺を見張ってる。俺が近づくと逃げ、厨房に近づくとしがみついて侵入を阻止してくる。

昴「いったい何だって言うんだ?」



















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※※※※


昴「はぁ」

そんなことが1週間ほど続いた。これは以前に朱里や雛里の時にも味わった事だけど・・。

昴「無視されるって、辛い」

桃香や愛紗に聞いても要領を得ない。紫苑や七乃や月は何か知ってるみたいだけど、クスクス笑うだけで何も教えてくれない。

昴「俺、嫌われたのかな?」

覚えはないけど、何かしたのかな・・。

昴「はぁ・・」

最近(ToT)←こんな顔することが増えたな。大いにへこみながら日々を過ごしていると・・。

七「昴さ〜ん♪」

昴「ん、七乃ぉ・・」

七「そんな落ち込んだ時のお嬢様みたいな声出しちゃって♪ 昴さんもう政務は終えられましたか?」

昴「ん、終わった」

俺は片付けた書簡の束を指差した。

七「相変わらずお仕事が早いですね」

昴「まあな」

寂しさまぎらわせるためにがむしゃらに政務に取り組んでいる。

七「ならちょうど良かったです。お手数ですがついてきていただきませんか?」

昴「?」

俺は言われるがまま七乃についていく。


















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七「到着です♪」

昴「・・ここは?」

着いたのは城の近くの一軒の建物。

七「とりあえず中にどうぞ♪」

七乃に背中を押され、建物に入ると。

?「せぇーの」

「「「「ごしゅじんさま、ありがとう(なのじゃ)(なのにゃ)!」」」」

昴「!?」

そこに待っていたのは無視されてた思っていた娘達がいた。

昴「・・・」

俺が放心状態になっていると・・。

璃「はい、ごしゅじんさま!」

璃々が俺に1つの包みを渡す。

美「開けてみるのじゃ!」

言われるがまま包みを開けると・・。

昴「っ!? これって・・」

中から出てきたのは茶色の甘い匂いがするお菓子。

昴「これ、チョコレート・・」

璃「ごしゅじんさまが前に天の国のお菓子の話をしてたでしょ?」

昴「ああ、そういえば・・」

以前に桃香達とお茶をしてた時、お菓子の話をした事があった。

昴「でもチョコレートを作るには・・」

決定的に足りない材料があった。

以「そのかかおなる木ならみぃ達の国にいっぱい生えてるのにゃ!」

昴「・・・」

南蛮は常夏気候だけど、まさかあるとはな。この外史は何でもありだな。

昴「それにしてもよく作れたな?」

材料があったって簡単に作れる代物じゃないのに。

美「うむ、それは月に教わったのじゃ」

昴「月に?」

あの時一緒に作り方も話したけど、月のやつ、それだけで再現したのか。月の家事スキルは恐ろしいな。

ね「ごたくはいいからさっさと食べるのです!」

昴「ああ、分かった」

俺はチョコレートを一欠片割って食べる。砂糖の量の関係で若干甘味は控えめだけど・・。

昴「美味い」

璃「ホント!?」

昴「ああ。とても美味いよ」

美「当然なのじゃ!」

ね「当然なのです!」

美羽とねねが胸を張る。

昴「それにしても、今日はいったいどうしたんだ?」

璃「うんとね、ばれんたいんでーだよ」

昴「バレンタインデー?」

美「うむ、天の国にはそのような風習があるのじゃろ?」

昴「ああ、まあな」

天の国、平成の正史の風習だけど。

ね「璃々の提案でお前に日頃の感謝をする事にしたのです」

昴「感謝?」

すると、美羽が俺の前に立ち、

美「昴、ありがとうなのじゃ」

美羽が頭を下げた。

美「本当なら殺されておかしくないのに、昴のおかげでこうして生きる事が出来るのじゃ」

昴「美羽・・」

次にねねが俺の前に出る。

ね「・・・」

ねねが黙り込む。

璃「ほらねねお姉ちゃん」

ね「分かってるのです! す、昴、ありがとう、なのです・・」

もじもじしながら俺に告げる。

昴「・・・。」

俺は・・。

ギュッ。

美・ね「!?」

2人を抱きしめた。

昴「美羽、ねね、それに璃々に美以とミケとトラとシャムも、こんな最高の贈り物してくれてありがとな」

俺は皆に感謝した。すると・・。

以「早く料理を食べようにゃ!」

美以が料理が並べられた卓の前で大きく手を振る。待ちきれなくなったか。

昴「そうだな。いただこうか」

璃「皆でいっしょうけんめい作ったんだよ。ごしゅじんさま食べて!」

昴「ああ」

俺はその料理をいただいた。所々形が悪かったりしたが、その料理はとても美味かった。

その後、皆で最後まで楽しく盛り上がったのだった。











続く

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