小説『ネギま Story Of XX』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 ――龍宮神社


 和美から格闘大会の開催場所変更の知らせを受けた稼津斗はのどかと一緒にこの場所に。

 「凄いな、たかだか学園祭の格闘大会なのに物凄い人の数だ…毎年こうなのか?」
 「いえ、去年までは小規模のマイナーイベントだったはずです…」

 出場者、観客あわせてもその数は相当なもの。
 だが、のどかによれば去年までは不人気のマイナーイベントとの事だが…

 「まぁ如何でも良いか。出る以上は勝つだけだ。」
 「あの、エヴァンジェリンさんとでも当たらない限りは手加減して下さいね?」

 そんな事はなんのその。
 稼津斗は既に闘気を高めていた。









 ネギま Story Of XX 26時間目
 『予選から凄いようです』










 「お〜稼津君とのどか発見!!」

 「もう来てたのか。」

 予選会場には既に裕奈、亜子、クスハの姿が。(例によってクスハは子狐状態で亜子の頭の上。)
 真名、楓、リインフォースは予想通りに予選エントリーを済ませているらしい。

 「当然や。大会には参加せんでも、稼津さんの格好良いとこは見逃せへんて。」

 「はは、和美もそう言っていたな。それにしても凄い人の数だな……のどかが言うにはマイナーイベントらしいが?」

 「アレが原因じゃない?」

 裕奈が指差す先には大会の詳細が書かれた看板。
 其処には…

 
 『優勝賞金1000万円』

 
 トンでもない賞金額が書かれていた。
 と言うか如何考えても学園祭のイベントで出せる賞金額ではない。

 「成程、賞金目当ての参加者も大勢いる訳か…時に他には誰が出てるんだ?真名、楓、リインフォースは出てるだろうが…」

 「ネギ君と小太郎君、それとアスナと桜咲さんとエヴァや。」
 「くーちゃんと高畑先生も参加してるよ。」

 「へぇ…其れは思ったよりも楽しめそうだ。」

 瞬間、あふれ出す闘気。
 不敵な笑みを浮かべた稼津斗の顔は紛れも無く『武道家』としての顔だ。

 で、その顔を見た裕奈、亜子、のどかの3人は、

 「「「ふにゃ〜〜〜///」」」

 溶けていた。

 「取り合えずエントリーだな、って大丈夫か3人とも?」

 「「「!!!」」」

 で、覚醒。
 鈍感ではないが、無自覚とはかくも恐ろしいものがある。
 ある意味全く無意識だから余計に性質が悪い。

 「せ、せやな。受付締め切られたら本末転倒や!」
 「か、稼津君格好良いとこ見せてよ!?」
 「が、頑張ってください!!」

 「あ、あぁ…」
 ――俺は又、無自覚に何かしたのか?皆顔が紅いな……まぁ、良いか。期待を裏切らないように頑張るか。


 自分が原因だとは一応考えていたらしかった。
 尤も、だからといってやる事に変わりがあるわけではないのだが…

 「カヅトはNPB〜〜♪」

 亜子の頭の上のクスハの呟きは誰にも聞こえては居なかった。








 ――――――








 会場入りすると、既に参加者&観客で異常な熱気が周囲を満たしていた。

 『ようこそ!!麻帆良生徒及び、学生及び、部外者の皆様!!復活した『まほら武道会』へ!!
  突然の告知に関わらず、此れ程の人数が集まってくれた事を感謝します!!』

 そして司会を務める和美が更にその熱気を高めている。

 『優勝賞金一千万円!!伝統ある大会優勝の栄誉とこの賞金、見事その手に掴んでください!!』

 ノリノリの司会に参加者のテンションはドンドン高まる。
 まるでこの会場に局地的な大地震が発生したかと錯覚するほどに其れは凄い。

 「あ、朝倉さん?」
 「なんで司会なんてしてるの…?」

 無論其れに疑問を持つ者も居る。
 事情を知らずに参加を決めたネギ組だ。(参加するのはネギとアスナ、刹那とエヴァ。ついでに小太郎。)
 夏美も、小太郎を応援する為に来ている。

 「頼まれたんだそうだ、この大会を買収した奴にな。」

 「あ、カヅト。」
 「矢張り参加しますか…」

 其れを現われた稼津斗が説明。
 尚、修行組の3人もこの会場には来ている。(無論参加などしないが…)

 「買収か。誰だそんなことをした物好きのバカは?」

 「其れは…御登場だ。」

 エヴァの問に答えようとするが、それよりも先に神社本殿に動きが。

 『それでは、今大会の主催者より開会の挨拶を!』

 同時に本殿奥より、誰かが現われる。
 その人物は中国系の服を身に纏い、両腕を袖の中に隠した状態で現われた。

 『学園人気No1屋台『超包子』オーナー、『超鈴音』!!』
 「ニーハオ。」

 「「え〜〜〜!!!???」」

 「ほう、奴か。」

 「また、随分と芝居がかった演出だな…派手好きか?まぁ祭だし良いか。」

 反応は三者三様。
 刹那は警戒しているようだが、稼津斗とエヴァは『面白い』と言わんばかり。

 「私が……この大会を買収した理由はただひとつネ。表、裏を問わず、この学園の最強を見てみたい。それだけネ♪」


 「裏って何だ?」
 「さぁ?マフィアとか?」


 ざわつく会場を余所に、超の挨拶(演説?)は続く。

 「20数年前まで――――この大会は元々裏の世界の者達が力を競う伝統的大会だたヨ。
  しかし、主に個人的ビデオカメラ等の記録器材の発達と普及により使い手達は技の使用を自粛、
  大会も形骸化し、規模は縮小の一途をたどた……だが、私は此処に最盛期の『まほら武道会』を復活させるネ!!
  飛び道具及び刃物の使用禁止!!……そして呪文詠唱(・・・・)の禁止!!この2点を守れば如何なる技も使用OKネ!!」

 そして何ともとんでもないことを言ってくれた。

 「え!?」
 「…良いの?アレ。」
 「ぶっちゃけましタネ。」
 「一般人の前でなんて事を…!!」

 ネギ達は驚くも、稼津斗とエヴァは実に涼しい顔。

 「くっくっく……中々面白いことをしてくれるじゃないか超め。」
 「まぁ、大概は『呪文詠唱』が何かは分かっていないようだがな。当然といえば当然か。」

 基より、この2人は魔法秘匿をそれ程重要とは思っていない。
 無論、無関係者をいたずらに関わらせるような事はしないが、ばれたらばれたでフォローさえしとけば良いと考えている。
 なので、超の言った事も余り気にはしていないのだ。


 「案ずる事はないヨ。今のこの時代映像記録が無ければ誰も何も信じない。
  大会中、この龍宮神社では完全な電子的措置により、携帯カメラを含む一切の記録機器は使用できなくするネ。
  裏の世界の者は存分にその力を奮うがヨロシ!!表の世界の者は真の力を目撃して見聞を広めてくれればこれ幸いネ!!以上!!」


 「何だか良くわからねぇが、要するにルール無用って事だろ!!?」
 「裏の世界?結構じゃねぇか!!」
 「何が出ようとぶちのめしてやるよ!!」


 あちこちで飛び交う怒号。
 龍宮神社全体で、地球温暖化に拍車が掛かりそうなほどの熱気があふれ返っている。

 「来たでござるか。」
 「中々面白い事になってきたね、稼津斗にぃ?」
 「真名、此れは面白い事……なのか?」

 先に会場入りしていた、真名、楓、リインフォースの3名が稼津斗達のところに。
 ついでに鳴滝姉妹も楓にくっ付く形でやってきている。

 「祭りを盛り上げる演出としては中々だ。『呪文詠唱』が何か分かってない奴も多い。多少派手にやっても、まぁ大丈夫だろう。
  ただし出るからには勝ちに行く。銀閃華とXXは封印するが、お前達と当たった時はそれなりに本気でやらせてもらうぞ?」

 「それは私達も同様さ。」
 「当たった時は、本気でイクでござる!」
 「簡単には負けはしない。」

 格闘大会である以上、直接対決もありえるだろう。
 そうなったら、其処にマスターと従者の関係など入り込む隙間は無い。
 戦う以上は負けたくないのだ、お互いに。

 「取り敢えずは予選突破だが…この面子が予選落ちは先ずありえないだろうな。」

 「へっ、当然や兄ちゃん!あれから修行積んだ俺やネギが簡単に負けるかい!」



 「なんや皆楽しそうやな〜…」
 「やっぱ根っからの武道家なんだね稼津君て♪」
 「私達は精一杯応援するだけですね。」


 盛り上がる出場組と観戦組。



 『では参加希望者は前へ出てくじを引いてください。
  予選会はくじ引きで決まった20名一組のグループで行われる『バトルロイヤル』!!
  予選会終了ギリギリまで参加を受け付けます!!年齢性別資格制限一切無し!!只今より予選会を始めます!!』


 「「「「「「「「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜!!!!」」」」」」」」」」

 正に大歓声。
 バトルロイヤルと言う方式も、参加者と観戦者を興奮させる要因に為ったらしい。


 「…なぁ、稼津斗先生達と同じグループになっちまった連中に同情しちまうのは私だけか?」
 「いえ、実は私もです…」
 「私も…で、でもきっと最低限の加減はする筈だよ。多分…きっと…」

 修行トリオは稼津斗達と当たる参加者に微妙に同情していた。








 ――――――








 さて、くじ引きの結果各人は

 ・稼津斗&リインフォース→A
 ・ネギ→B
 ・アスナ&刹那→C
 ・真名&古菲→D
 ・楓&小太郎→E
 ・エヴァ&タカミチ→F

 見事にバラけた。
 と言うかA〜Fグループの通過者は殆ど確定だろう。

 人数が出揃ったグループから試合が始まり。
 真っ先に出揃ったDグループでは…


 ――ベギャッ!!


 古菲無双状態。
 木刀と剣道防具装備の相手もなんのその、拳で木刀を圧し折り、防具の上からでも完全KO!

 『と、この様に武器を持つものが有利とは限らない本大会の趣旨、ご理解頂けたでしょうか?』

 奇しくも其れは『木刀卑怯!』とか騒いでいた連中を黙らせる結果となった。
 因みに真名は何にもしていない。


 予選会は続く、


 『B組とE組で動きが…おぉっと此れは…!子供だぁぁ!!思いっきり場違いな小学4、5年に見える子供。
  会場は笑いと生暖かい微笑みに包まれますが此れは仕方ない!だが果たしてその実力は如何程か〜〜!!』


 当然の如く、この2つのグループの参加者は舐めきっている。
 が、


 ――ドガ!!


 ネギが一撃で巨漢を吹き飛ばし、
 Eグループの方も、

 「おりゃぁ!!」
 「むむ、腕を上げたな小太郎?」
 「あったり前や!どっちがたくさん倒せるか勝負や、楓姉ちゃん!!」
 「うむ、望む所!!」

 小太郎と楓が大量分身で一撃粉滅!


 更に更に、


 『おぉっとこちらでは謎のセーラー服2人組が次々と屈強な猛者を打ち倒して行きます!
  正に大番狂わせ!!この大会、予想が付きません!!』

 「いや、予想通りでしょウ…」

 アクアの突っ込みは兎も角、Cグループではアスナが天魔の剣(ハリセンver)、刹那が気で強化した拳で敗北者の山を築き、


 「く、広域指導員の高畑か…て、てめぇ何しやがった?」

 「悪いね、もっと修行してきてくれ。」

 Fグループではタカミチが一見しては歩いているだけで出場者をKO。

 「雑魚が気安く私に触るな。」

 エヴァもエヴァで、触れてきた相手には得意の合気柔術で制圧。
 なんと言うか次元が違う。


 『凄い事になってきました!!…と、此処で漸くA組の参加者が集まりました!!』


 物凄い試合の中、稼津斗とリインフォースが出場のAグループが遂に試合開始。
 しかし、まぁある意味予想通りだが、


 「セァ!!」
 「はぁぁぁ!!」

 一撃必殺。
 稼津斗と、何時の間にか騎士服(羽根なし)に着替えたリインが一瞬で出場者の半分を滅殺!


 『あ〜〜っと!!一体何が起きたA組〜〜!!黒衣の蒼髪美人と、黒目黒髪のイケメンの前に半数が一瞬でダウンだ〜〜!!』


 微妙に身内贔屓の入ってる司会だが、確かに此れには驚くほか無い。
 何せ約8人が倒されたのは試合開始僅か5秒。
 文字通りの『秒殺』なのだ。

 「…まるで手ごたえが無いな…」
 「如何した?本気で来て良いんだぜ?」

 不敵にして無敵。
 だが、こう言われて黙る麻帆良の人間ではない。

 「やったらコラァァ!!」
 「アノ2人を狙え〜〜!!」
 「舐めんな〜〜!!」

 一瞬で沸騰し、2人に向かって行く。

 「…下がってろリインフォース。纏めて片付ける。」
 「分かった…手加減はしてやってくれ。」

 其れに無言で頷き、稼津斗は気を高める。

 「俺とリインフォースに勝ちたいなら、100年ほど修行して来い。金剛…裂爪斬!!!」

 そのまま拳を打ちつけ、瞬間発生する強大な衝撃波。
 あわれ突撃してきた参加者は皆場外へ…

 『決まった〜〜!!何と拳を床に叩き付けた事で発生した衝撃波で全員場外だ〜〜!!』


 「…手加減したよな、稼津斗先生?てかよせめて『人間』が使用可能な技使えよ!」

 「手加減してるって。稼津君あれで多分1割くらい?」
 「1割も出してるやろか?」
 「下手したら5%位かも知れません…」

 「ドンだけだよ稼津斗先生!!あ〜〜〜もう何処に突っ込んでいいかわからねぇ〜〜!!!」
 「は、長谷川落ち着いて!」

 あまりの事に、千雨は突込みが追いつかなくなっていた。


 そして予選会は遂に、


 ――ドンッ!


 Bグループのネギが、リーゼントの学ラン男『豪徳寺 薫』を掌底でダウンさせた事で終わりを告げた。


 『な、何と〜〜!!子供先生まさかの本選出場だ〜〜〜!!!』


 遠当てを使う中々の使い手だったが、日々エヴァと古菲に扱かれているネギの敵ではなかった。


 『皆様、お疲れ様です、本選出場の16名が決定しました!本選は明朝8時より龍宮神社特別会場にて!
  では、大会委員会の厳選な抽選の結果決定したトーナメント表を発表しましょう……こちらです!!』


 「えっ…」
 「へえ?」
 「アイヤ〜〜…」






 「えぇぇ〜〜〜師匠〜〜!?無理、絶対無理だよ〜〜〜!!」

 ネギにとってはご愁傷様としか言いようの無い組み合わせになってしまった。

 「ほう、此れはなんとも…ふむ、可愛い弟子の成長でも見せてもらうとしようかなぁ、ネギ?」

 一方のエヴァは殆ど苛めっ子モード。

 それとは別に、

 「一回戦から稼津斗君か。」

 「タカミチ…お前なら楽しめそうだな。」

 恐らく1回戦最大の戦いと成るであろう稼津斗vsタカミチ。
 その2人は静かに火花を散らしていた。


 「…某龍玉的漫画の武道大会以上になるような気がすんのは、気のせいじゃねぇよな…」
 「否定できないです…」
















  To Be Continued… 

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