小説『ネギま Story Of XX』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 格闘大会の予選を無事に突破した稼津斗達は、学祭1日目の打ち上げの真っ最中。
 勿論、祭りの真っ最中ゆえ、只でさえ高い3−Aのテンションは更に5割り増しで高い。

 「成程、超から貰った其れはタイムマシンだったのか。道理でネギの気を沢山感じたわけだ…」

 そんな中で、稼津斗はネギ&小太郎とちょいと雑談中。
 其の中でタイムマシン『カシオペヤ』の事を聞き、今日1日でネギの気が最大で4つに増えた理由を知った。

 「これから又朝に戻るけど、カヅトも一緒に行く?」

 「いや、止めておく。俺は此処で打ち上げを楽しませてもらうよ。
  まぁ回る事が出来なかった1日目を楽しんで来れば良い。」

 「うん、じゃあ!」
 「ほな、兄ちゃん大会でな!」

 そう言って、ネギと小太郎はその場から消えた。

 「あ、稼津君こんなとこに居た!」

 「裕奈か…如何した?」

 「如何したじゃないって。折角の打ち上げなんだから皆で楽しもうよ♪」

 「確かにそうだな……何なら、一緒に一杯やるか?」

 「え〜、先生がそんな事言っていいのかにゃ〜?」

 「聞かなかった事にしてしまえ。俺も何も見なかった事にする。」

 何とも、アレな会話をしながら稼津斗は自分を探しに来た裕奈と一緒に打ち上げに合流した。









 ネギま Story Of XX 27時間目
 『本選だって凄いんです』










 ――麻帆良祭2日目・龍宮神社まほら武道会特設会場


 昨日の予選会が様々な所で、其れこそ口頭、ネットを問わず話題に上がり会場はパンク寸前と言うほどに人が集まっている。
 勿論、チケットが無ければ入場は出来ない仕組みだが、此れではチケットを持っていても入場できない人も出るだろう。


 そんな賑わいを見せている会場とは反対に、

 「結構入ってるみたいだな、観客。」
 「昨日の予選会が思いのほか話題になってたみたいだね。」

 控え室は意外なほど空気が穏やかだった。(勿論一部は張り詰めてはいるのだが…)

 「まぁ、昨日は割りと派手にやったからね。暴れたのは古だが…」
 「おまけに実力未知数の子供が2人…まぁ、興味が出るのは当然でござるよ。」

 正解である。
 ネット上でも話題の中心は謎の実力者である子供2人――ネギと小太郎、
 そして非常識な一撃で他の出場者を一掃した稼津斗だ。

 其の話題の中心であるネギはと言うと、

 「ふむ、昨日とは比べ物にならん位の良い顔だ。」
 「はい…よろしくお願いします師匠!」

 エヴァと雑談中。

 「そうだ、此れを渡しておこう。昨日はバカ騒ぎに巻き込まれて渡しそびれた。」

 そう言ってネギに指輪を1つ投げてよこす。

 「此れは?」
 「杖を持ったままでカンフーは面倒だろう。杖に代わる発動体だ。弟子へのプレゼントだ。」

 「あ、ありがとうございます!」
 「ふん、礼はいい。その代わり、試合では私をがっかりさせてくれるなよ?」
 「は、はい!!」

 この師弟も中々如何して良い関係を築いている。


 「おはようございます、選手の皆さん!ようこそお集まり頂きました!!」

 雑談の最中、司会と主催者登場。

 「30分後に試合を始めさせていただきますが、其の前にルールを説明しておきましょう。」

 挨拶もそこそこにルール説明が始まる。
 それによると、

 ・リングは15×15の能舞台
 ・試合は延長無しの15分1本勝負
 ・リングアウト10秒、ダウン10秒、気絶、ギブアップで負け
 ・時間切れの場合観客のメール投票で決着が付く
 ・ただし、タイムアウトと同時にリングアウト又はダウンした場合は10カウントが優先される
 ・武器の使用に関しては予選会と同じ。

 との事。

 「はい、質問です!呪文とかは良く分からないんですが技名は叫んで良いんでしょうか!」

 「え〜っと…」
 「技名はOKね♪」

 「良かった!」

 何か良く分からない質問も飛び出していたが此れで大会の説明も終了。


 「それにしても稼津斗殿、其の外套と言うか布は何でござる?拙者や真名には懐かしい出で立ちにござるが…」
 「確かに。初めて会ったときと殆ど同じ格好だね?」

 「言われてみれば、確かにそうだな。此れは新しいやつだけど。いや、何となく必要になる気が…」

 「「???」」

 「まぁ、只の勘だ。」

 取り合えず『何か』は起きるようだ。








 ――――――








 場面は変わって此方は会場。

 「うっひゃ〜凄い人だね〜。」
 「此れは会場に入りきらん人もでるんやない?」

 不参加組は観客席の一番良く見える場所に陣取って観戦するらしい。

 「まぁ原因はネギ先生と稼津斗先生だな。何かと噂の子供先生の本選出場と、稼津斗先生の非常識な一撃がネットでも話題そうぜんだぜ?」
 「まぁ、あの一撃はインパクト凄かったですから…」

 此方は此方で『普通には終わらない』と予感していた。


 そんな不参加組を余所に観客の興奮は高まっている。
 其れほどまでに、この大会の話題性は大きいものなのだ。

 そして遂に、


 『ご来場の皆様、大変長らくお待たせいたしました!只今よりまほら武道会第1試合に入らせていただきます!』

 本選開幕。
 和美の司会が更に観客を盛り上げる。

 『さぁ、一体どの様な戦いが我々を楽しませてくれるのか!1回戦第1試合、長瀬楓vs中村達也…FIght!!』



 ――1回戦第1試合:長瀬楓vs中村達也



 こうして始まった第1試合だが…

 「烈空掌!!」
 「ほいっと。」

 全く勝負になっていなかった。
 中村は気を使った『遠当て』で楓に攻撃をするも、其の攻撃は掠りもしない。

 一つ言っておくと中村の気の質が低いわけではない。
 しかし、普段の修行で稼津斗の気功術を見ている楓にとって此れくらいは全く問題ではない。
 ぶっちゃけ、技の発動を見てからでも充分に避ける事が出来るのだ。


 「ふむ、なかなかやるでござるなぁ?」

 「へっ、驚いたか!貰ったぜ!烈空双…「しかしマダマダにござる。」グヘッ!」

 それを示すように、中村の攻撃を『縮地』でかわし、頚椎に手刀一発。
 この一撃で中村は意識を刈り取られダウン。

 『あぁ〜っと終始攻めていたにも拘らず、中村達也選手、長瀬楓選手の一撃でまさかのKOだぁぁぁ〜〜!!』

 結果が分かりきっていたとは言え、会場を盛り上げる為に、和美は態と驚いてみせる。
 この辺の演出は流石といえる。


 「『気』の練りは悪くは無いが、稼津斗殿と比べれば遥かに弱い。それ以前にお主は近接戦闘をもっと磨く必要があるでござる。」


 正に圧倒的。
 初っ端からの一撃KO劇に会場の盛り上がりは更に大きくなる。


 ――○長瀬楓(1分13秒、頚椎への手刀)中村達也●――






 ――1回戦第2試合:田中vs高音・D・グッドマン


 『続きまして1回戦第2試合、麻帆良大学工学部所属、田中選手vs聖ウルスラ女子高等学校2年、高音・D・グッドマン選手!!
 それでは1回戦第2試合、Ready…………Fight!!!』


 興奮冷めやらぬ中始まった第2試合。
 厳ついビジュアルの田中と、見た目可憐な高音の戦いは意外と目を引くものがある。

 「……この試合で、この布が必要になる気がする。」

 しかしながら稼津斗は何故か嫌な予感に襲われていた。


 そんな稼津斗の予感を余所に試合は進む。
 何と田中は工学部製作のロボット戦士で、口からビーム、更にロケットパンチをも繰り出し高音を攻め立てる。

 ビームとか明らかに反則だが、和美が反則負けを宣告しようとも其の暇も無いくらいの猛攻が行われている。



 そして遂に田中のビームが高音を直撃。
 製作者の葉加瀬に言わせると出力不足で、人体に影響は無いらしい。


 しかし、少し考えてみて欲しい。
 如何に人体に影響は無いとは言えビームは非常に高い熱エネルギーを持っているものだ。
 それが直撃したらどうなるであろうか?

 答えは簡単…

 「く、いい気になって…もう怒りましたよこの木偶の坊!!」


 ビームによって巻き起こった粉塵が晴れた中から現われた高音は…


 ――たぷん♪


 見事に服が吹っ飛んでいた…


 「あ、あ………いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 ハッキリ言って此れは酷い。
 多感な年頃の少女にとって、この羞恥は耐えられるものではない。

 「嫌な予感は此れか…!あのセクハラロボ……高音!!」

 嫌な予感が当たった稼津斗は、すぐさま外套代わりに纏った布をリングの高音に向かって投げ入れる。

 「か、稼津斗先生?」

 「さっさとそいつを纏え!それから和美、田中の攻撃は明らかにルール違反だ!
  度重なる反則行為による反則負けを宣告しろ!」

 稼津斗の指示を受け、更に試合が止まった事で和美は漸く田中に反則負けを宣告する事ができる。

 『た、田中選手、大会規定違反により反則負けとします!』
 「そのまま大人しく寝ていろ。」

 和美の宣告と同時に、何時の間にかリングに上がっていた稼津斗が田中の機関部を破壊し其の機能を停止する。

 「大丈夫か高音?」
 「は、はい身体の方は何とも…。す、すみません助かりましたわ…。」
 「取り合えず一度戻って着替えて来い。」
 「そ、そうさせて頂きます…」

 高音はそのままリングを降り、会場の外へ。

 「ゴメン、稼津兄。助かった…」
 「大学工学部と葉加瀬にはあとできっつ〜〜〜いお仕置きが必要みたいだな。」

 取り合えず葉加瀬と大学工学部は言い訳位は考えておくべきだろう…


 ――●田中(3分12秒、反則)高音・D・グッドマン○――





 「はぁ…まったく。不幸中の幸いはこの会場では記録機器が使えない事だったな…」

 「ご苦労様、稼津斗にぃ。」

 ハプニングを見事に収めた稼津斗を真名が労う。
 其の真名は次が試合だ。

 「次は真名の試合だったな。相手は古菲だが如何だ?『枷』を嵌めた状態で?」
 「さて如何かな?でも、稼津斗にぃの前でみっともない試合をするつもりは無いよ。」
 「それは古菲の方も同じだろうな。」

 稼津斗の言うように、古菲もネギとなにやら話している。
 恐らくは此方と似たような内容だろう。

 「取り合えず、悔いが無い様にな?」
 「ふふ、枷を嵌めた状態での全力で戦うさ。」

 軽く笑ってハイタッチ。
 真名と古菲はリング上へ。






 ――1回戦第3試合:龍宮真名vs古菲


 『お待たせしました!お聞き下さいこの大歓声!!本日の大本命!!
 前年度『ウルティマホラ』チャンピオン!古菲選手!対するは此処龍宮神社の一人娘!龍宮真名選手!!』


 古菲の登場で主に格闘系の部活に所属しているものを中心に歓声が大きく上がる。
 其の殆どは古菲の応援であり、真名を応援する声は……殆ど無い。

 「私はまるで悪者だな…しかしいいのか古菲?ここで負けでもしたらお前のファン達はガッカリだぞ?」
 「名声にこだわりなどないアル。それよりも真名、手加減など無粋な真似はするでナイヨ?」

 それでも古菲はあくまで目の前の真名との戦いに神経を集中している。
 観客の歓声など二の次だ。

 「勿論だ……と言いたいが。稼津斗にぃから遠距離攻撃禁止と言う『枷』を嵌められているのでね。
  悪いが、今の私に出来るオンリー体術のみの近接戦闘の全力を持って行くぞ古!!」
 「遠距離攻撃がなくとも真名の力は本物アルよ!いざ尋常に…」


 『1回戦第3試合…Fight!!』


 「「勝負!!」」


 掛け声と同時に、両者とも一足飛びで間合いを詰める。


 ――ガッ!!


 リングの略中央でかち合う真名のニーパットと古菲の肘打ち。
 しかし此れは単なる挨拶に過ぎず、すぐさま目まぐるしい攻防が開始される。

 「ふっ!はぁ!!」
 「よっ!ほっ!!」

 凄まじい速さで蹴りを繰り出す真名に対し、古菲は細かい動きで的を絞らせない。
 一見それは簡単な攻防に見えるが実はそうではない。


 『な、なんと言う凄まじい蹴りの嵐!余りの速さに足が沢山に見える〜〜!?』

 そう、真名の蹴りは残像が出来るほどの速度なのだ。
 其れにも拘らず古菲はそれのクリーンヒットを許さない。
 この辺りは体術オンリーの近接戦闘の経験差だろう。

 だが、其の拮抗は突如として崩れる。

 「蹴りにばかり気をとられていると危険だぞ?」

 この一言を皮切りに、真名が今度は蹴りに加えて拳や肘を繰り出し始めた。

 「な!この攻撃……拳脚一体のこの攻撃…まさか『ムエタイ』アルか!?」
 「正解だ!さぁ捌ききれるか古?」

 先程の蹴りの比ではない攻撃が古菲に襲い掛かる。
 それらは勿論、残像が残るほどの攻撃スピードである。

 そうなると流石に捌ききれず被弾が増えて行く。
 だが、古菲とてただ防戦一方と言うわけではない。


 ――体術に限定しても真名は流石アル。しかし私も弟子の前で無様な姿は見せられないアルヨ!


 この試合を見ているネギの事を考えると、このまま一方的にやられるわけにはいかないのだ。


 ――とは言っても中々の重い打撃を結構喰らったあるからな…時間は掛けられないアル!


 ――シュバッ!


 「!!!な、此れは…成程な、其の尻尾は飾りではなかったと言うわけか。」

 嵐のような打撃の僅かな隙を突き、古菲の服の飾り布が真名を拘束し右腕の使用を封じる。

 「ふふ、やられっぱなしは好きじゃないアル!今度は此方の番アルヨ!」

 今度は古菲の反撃だ。
 布で真名の動きを制限しつつ、懐に入っての鶴打頂肘、そのまま肩口を当てての鉄山鋼に掌底。
 此れもまた目にも止まらない速さだ。

 「此れで決めるアルヨ真名!」
 「ふ、望む所!!」

 フィニッシュを宣言し、古菲は布を思い切り引っ張る。
 真名はそれに逆らう事無く、寧ろ其の勢いを利用する。



 そして…


 「残念…僅かに届かなかったアルか…」
 「そうだな。最後の最後でリーチの差が出たな。」


 最後の一撃。
 真名の蹴りは古菲に届いているが、古菲の双掌の一撃はギリギリで届いていない。

 「ふふ、しかし私は此れで満足アル!修行して今度は勝つアルからな!」


 ――ズゥウン!



 『ダ、ダウン〜〜!!カウント…いや、此れは……古菲選手KO!!勝者、龍宮真名選手ーーー!!!』


 古菲を応援していた者達にとってはまさかの展開。
 だが、


 「ふふ、それは私も同じだぞ?次にやる機会があったら其の時は更に近接格闘に磨きをかけておこう。」

 真名が、古菲に肩を貸して起こし、リングを去ると途端に会場は拍手と歓声に歓声に包まれた。


 ――○龍宮真名(9分21秒、横足刀蹴り)古菲●――




 1回戦、残り5試合。












  To Be Continued… 

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