小説『ネギま Story Of XX』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 「此れって京都のときの…」
 「似ているな『リョウメンスクナ』に…と言うよりもアレを模した機械兵器、いや『兵鬼』といった所か?」

 タカミチ救出組が辿り着いた地下の最深部に鎮座していた大型の機械兵。
 未機動状態で座していても其の大きさは10mは下らないだろう。

 「こんなもので一体何を…?」

 見るからに尋常ではない。
 100体を超える田中と此れを見る限り、戦争でも起こすのではないかと疑ってしまうほどだ。


 ――ガシュ…


 「!!伏せろ!響け『シューティング・ソニック』!」

 突然の物音に、リインが反応し不可視の衝撃波で攻撃する。


 ソレと同時に、


 ――ガゴォ!


 全く別の衝撃が、物音の発生源を打ち据えた。

 「成程、侵入者に対する警備も兼ねていたのか。」

 物音は並んでいた田中の1体が起動した音だった。
 そしてソレを打ち据えたリインではない人物は、

 「タカミチ、無事だったのね?」
 「いや、ハハハ…こういう経験はそれなりにあるからね。心配を掛けてしまってすまないね皆。」

 行方不明のタカミチだった。










 ネギま Story Of XX 33時間目
 『決勝戦!努力と才能』










 「ご無事でしたか高畑先生。」

 「心配掛けてすまないねシスター・シャークティ。超君が目を離してくれたおかげでどうにかね。」

 事も無さ気に言うが、実際は監視の目が無くなった僅かな隙を突いての脱出なのだから見事と言うべきだろう。
 ソレを的確に行ったタカミチの実力は流石の物で、超が大会中は動きを封じようと考えたのも頷けると言うもの。

 結果は閉じ込めておく事は出来なかった訳だが。


 「それにしても高畑先生、超さんの目的は何ですの?
  この大会と言い何か大きな目的が有るとしか思えないのですが…」

 「ん〜〜どんなつもりかは分からないけど『魔法の存在をばらす』って言っていたかな。
  出来れば大会中に言い訳が出来ないほどの魔法的な派手な大技が出てくれると助かるとも言ってたねぇ。」

 「魔法の存在を!?まさか……一体何のメリットが彼女にあると言うのでしょう?」

 「さぁ…其処までは分からないねぇ。
  けど、少なくとも伊達や酔狂なんかじゃない。超君は本気だと思うよ。
  尤も、超君は稼津斗君が目をかけてくれてるみたいだから、最悪の事態だけは起きないだろうけどね。」

 実際に戦った事で、稼津斗への評価は更に上方修正をされている様子。

 「まぁ、稼津斗にぃなら悪いようにはならない筈さ。
  さて、目的は果たしたし戻ろうか?今なら決勝くらいは見れるんじゃないか?」

 「そうしよう。超の気配は会場の方にあるしな。」

 自力で脱出したとは言え、『タカミチ救出』は一応の形で達成したので、一行はリインの瞬間移動で会場に戻る事に。


 なお、このとき美空が『やっぱ私等要らなかったじゃん…』と言っていたが完全・完璧に黙殺されていた。








 ――――――








 ――シュンッ



 「お、戻って来たでござるか。実にいいタイミング…丁度今から決勝戦でござる。」

 瞬間移動(認識障害付き)で会場に戻ってくると、丁度決勝戦が始まろうという所だった。

 「ふ、無事だったかタカミチ。尤もお前が簡単にやられるとは思わんがな。」
 「いや、ははは1回戦の相手が稼津斗君じゃなければもっと楽だったんだけどね…
  それにしても此れは……うん、中々面白そうな決勝戦だね?」

 空中のトーナメント表を見て呟く。


 『まほら武道会決勝戦、ネギ・スプリングフィールドvs氷薙稼津斗』


 控え室に居るのか、決勝を戦う2人の姿は此処にはない。
 恐らく準備は出来ているだろう、後は呼ばれるのを待つだけと言ったところだ。

 「実力から言うならネギが稼津斗に勝つことなど絶対不可能だ。天地がひっくり返ってもありえん。
  だが、稼津斗の性格を考えると……くく、ネギはこの試合で更に強くなるだろうな。」
 「ござるな。才能に溺れずに努力を怠らないとくれば、稼津斗殿が放ってはおかぬでござる。」

 決勝戦がどうなるのかは大凡の予想がついているようだ。

 「…美空、いい勉強になるでしょうから確り見ておきなさい?」
 「いや、シスター私は…「良いですね?」…はい…」

 で、美空に逃げ場は無かった。



 『さぁ、大会もついに決勝戦!!お聞き下さいこの大歓声!大変な盛り上がりです!!
  ソレもそのハズ!!!この決勝までの数々の試合、そのどれもが珠玉の名勝負!!
  TV等では決して見る事のできない真の達人達の闘いでした!
  其の中でも、かのデスメガネ高畑、桜咲刹那選手、長瀬楓選手を打ち倒してきた稼津斗選手!
  そして、エヴァンジェリン選手、高音・D・グッドマン選手、犬上小太郎選手を倒して決勝に辿り着いたネギ選手!
  奇しくも麻帆良女子中等部3−Aの担任vs副担任の対決となった決勝戦!盛り上がっていこうぜ!!』


 「「「「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」」」」」


 決勝戦と言うこともあり、和美の司会に会場は湧くこと湧くこと…

 何時の間にか会場には観戦組以外の3−Aの面々まで。
 如何にもザジが一手に店番を引き受けてくれたおかげで来る事が出来たらしい。


 『さぁ、学園最強の名を手に入れるのは稼津斗選手か!?ネギ選手か!?
  ではいよいよ達人達の頂点に立った2人に入場して頂きましょう!先ずは稼津斗…「もう、来てるぞ?」うおっと!?』

 「司会、お疲れ様。」

 和美がコールする前に、リング上に稼津斗登場!
 突然現われたとしか言いようのない、其の登場に又しても会場は沸く。
 観客のバイタリティも底なしだ。

 「あんがと。『出ました氷薙稼津斗選手!!不敵な笑みを浮かべながら此処に参上!!
  数々の強敵と闘いながらも、未だ余力を残し実力は未知数!流派も空手がベースであること以外は一切不明!
  正に天下無敵!『麻帆良の銀の魔王』と呼ぶに相応しい常勝不敗の絶対強者だ!!』

 「…だから、其の字(あざな)は辞めろ。」

 突っ込まれてもなんのその、会場が盛り上がればそれでよしだ、少なくとも今は。

 『さぁ、対するは、僅か10歳でこの達人達の間を勝ちあがってきた天才少年!
  噂の子供先生!流派、八極拳・八卦掌の少年拳士、ネギ・スプリングフィールド選手――――――!!!』


 一瞬どよめき、そして大きな歓声に包まれる会場。
 其れを受けて登場したネギだが、其の顔に迷いは無く、瞳は確りと稼津斗を見据えている。

 一足飛びで開始位置まで来るとそのまま構える。
 対する稼津斗は今まで通り、構え無しの自然体。


 『どっちが勝っても、此れが最後!まほら武道会ファイナルバウト稼津斗vsネギ!Ready……Fight!!!!』


 ――ダンッ


 開始と同時にネギが飛び出し、一直線に稼津斗に向かう…と思いきや直前でクイックターンし横にずれる。

 「?」
 ――フェイント?中々やるな。瞬動の『入り』と『抜き』を巧く利用した高速ターンか。良いだろう…付き合ってやる。


 ――シュインッ


 稼津斗も高速移動で其れを追う。

 「さて、お前の思惑に乗ったわけだが如何する?」

 「やっぱり分かってたんだ…!」

 「俺がお前なら、矢張りこうする。体格では敵わない相手に自分の間合いで闘うとなったら下手に入り込むより、
  相手に自分の間合いまで来てもらう方が早いし楽だからな。」

 「其処まで分かってて来たんだ。だったら!」

 又しても瞬動で、今度はそのまま稼津斗に肘打ちを繰り出す。

 「っと!実際見ると思った以上に鋭いな。しかも自分に有利な間合いを崩さない良い一撃だ。」

 其れをガードして、捌く。

 捌かれたネギは体勢を崩すも無理には立て直さずに、片手を地面に着いて水面蹴りを繰り出す。
 其れをステップでかわした稼津斗に、水面蹴りの回転の勢いを載せた起き上がりざまの裏拳。

 更に其処から鉄山鋼、ジャンピングアッパー掌底、そのまま中空で身体を捻って翻身伏虎、着地と同時に鶴打頂肘。
 流れるような連続攻撃を繰り出すネギと、其れを的確に防ぐ稼津斗。


 ――やっぱり入らない…なら!!
 「てやぁぁぁ!」

 再び鉄山鋼で当たる、と同時に左腕を振り上げガードを強引に持ち上げる。
 無論此れで簡単にガードが開くわけも無いが、自分の拳1つが入る分でも開けば充分だ。

 ――今だ!
 「はぁぁぁぁぁ…雷華崩拳!!」


 僅かに開いたガードの隙間からネギの最大必殺技が稼津斗に突き刺さり、其の身体を場外まで吹き飛ばす。


 『吹っ飛んだ〜〜!!身長140cmにも満たないネギ選手が185cmもある稼津斗選手を場外までぶっ飛ばした〜〜!
  身長もさることながら、稼津斗選手の体重はネギ選手のおよそ2倍!其の体格差をまるで無視した特大の一撃!!
  水煙で見えないが、場外までぶっ飛ばされた稼津斗選手は果たして無事か〜〜〜!?』まぁ、無事だろうけど。」

 確かに吹っ飛んだ先には水煙が立ちこめ、詳細は分からないが…


 ――バッシャ〜〜〜!


 『うぉぉっと!!何だこの水飛沫は……って稼津斗選手帰還〜〜!
  まさか水中から此処まで飛んできたのか!?アンタは人とトビウオの合いの子か〜〜〜〜!!』

 水飛沫と共に帰還。
 とは言っても全身ずぶ濡れな辺り、確りと水中には突っ込んだらしい。

 「やっぱり効いてない…!」

 「いや、そうでもない。実際大したモノだ、最初のフェイントもそうだが、
  攻撃を捌かれた後の対処、連携の組み立て、ガードの抉じ開け方、
  そして自分の最大の一撃を放つタイミング……ドレを取っても最高レベルだ。」

 自分の一撃が大した効果が無かった事にショックを受けるネギに、稼津斗は今までの闘い方を評価する。
 が、勿論誉めるだけではない。

 「だが、今ので倒せなかったのは拙い……この意味は分かるな?」

 「うん…カヅトは、もう2度と僕の間合いには入らないし、入らせない…そうだよね。」

 「其の通りだ。…行くぞ。」

 ネギの回答に肯定すると同時に、今度は稼津斗からネギに瞬動で接近し、突進の勢いの乗った肘打ち。
 其処から反対の手で気を込めた掌底、そのまま掬い上げるように持ち上げ、放り投げる。

 「くっ…!」
 「遅い。」

 何とか空中で体勢を立て直そうとするも、横跳び蹴りと後ろ回し蹴りの連携攻撃による追撃。

 「!!!でも、此れなら…翻身伏虎!」

 その攻撃を風楯で防ぎ、先に着地した稼津斗に反撃を試みる。
 自身の落下速度が加わった其れは、悪くない一撃だが…

 「甘いぞネギ。波導掌!」

 カウンターのアッパー掌底で真上に吹き飛ばされる。

 「あぐっ…!」

 「落ちろ。」

 其れを追いかけ、トドメとばかりにハンドルパンチを打ち下ろし、リングに叩き付ける。


 ――ドガァァァァァァァン!!


 『爆撃か〜〜!恐るべき連続攻撃、正に全力全壊!!流石『麻帆良の銀の魔王』半端じゃねぇ!!
  つーか大丈夫かネギ君!?まさか挽肉とかになってないよね?』なってないよね?」

 「ネギが耐えられる程度の加減はした。
  しかもリング激突の衝撃は風楯で軽減してるはずだ。其れが間に合うように撃ったし。」

 流石に耐えれる程度の加減はしていたらしい。
 其の証拠に、ギリギリながらもネギは立ち上がってきた。

 「はぁ…はぁ…や、やっぱりカヅトは凄いや…。」

 「矢張り耐えたか。今のが2割解放……オリハルコンの力を受ける前の俺が大体此れくらいだ。」

 「え?」

 「人間であった頃の俺が此れくらいだった。
  此れでも相当に強いとは思うが、此れでも勝てなかった奴が居る。」

 「カヅトが勝てなかった相手!?」

 ネギの驚きはこの会話を聞いていた和美も又然り。
 2割解放でも相当に強い稼津斗…其れでも勝てなかった相手が居ると言うのだ。

 「何度も挑んで、何度も負けて…正直俺が強くなれたのはその人のおかげだ。
  …結局1度も勝つことは出来なかったけどな。」

 予想外の情報だ。
 まさかそんな事が有ったとは誰も思わなかっただろう。

 「まぁ、其れは良い。要するに、世界には自分以上の奴は五万と居ると言う事。
  お前は才能もあるし努力も怠らない、何時かは絶対に超一流のみが到達できる高みに達するはずだ。
  故に今のお前に必要な成長の為の1ピースは『完膚なきまでの敗北』だ。負けを知ってこそ人は強くなる。」

 そう言って構えを取る。
 腰を落としてスタンスを大きく開き、利き手の左手を腰の辺りに構えた其れは惑う事なき『正拳突き』の構え。

 稼津斗が最も得意とする空手の基本にして究極の打撃の構えだ。

 「這い上がって来いネギ、お前はこんなところで終わる奴じゃないだろ?」

 地を蹴り肉薄する稼津斗。
 ネギは如何に軽減したとは言え、流石にダメージが大きく動く事は出来ない。

 「一撃必殺!」

 そして炸裂する重い正拳突き。
 防御も出来ず、其れを喰らったネギはリングの端まで吹っ飛ばされる。

 「日々の鍛錬を怠るな。そして自分が強くなったと思ったら又挑んで来い。
  其の時は何時でも相手をしてやる。」

 吹っ飛んだネギに其れだけを言う。


 『決まった〜〜!!素人目に見ても威力抜群の正拳突き!!ネギ選手は……あぁ〜〜っと、ネギ選手失神!
  今の一撃は流石に耐えられなかったか〜〜!兎に角此処に決着!!優勝…氷薙稼津斗〜〜!!』


 ――●ネギ・スプリングフィールド(6分18秒、正拳突き)氷薙稼津斗○――


 3−A教師対決の決勝戦は稼津斗に軍配。
 が、客席で観戦してた裏の事情を知らない3−A面々は納得行かないと言った所だ。


 「ちょっと、稼津斗先生やりすぎじゃないの?ネギ君可哀想だよ!」
 「あそこまでやる事は無いと思う!」

 手加減したのも分かる筈はない。
 それ故に『稼津斗がネギを苛め潰した』ように映ったらしい。

 「アホ、稼津斗先生はちゃんと手加減してる。本気でやってたらネギ先生は塵も残さず吹っ飛んでるさ。」

 其れを否定したのは千雨。
 事情を知らない連中が色々言うのは少し見過ごせなかったと言った所か…

 「て、手加減てアレで!?」

 「まぁな。稼津斗先生が出してたのは…2割くらいかよ明石?」
 「だね。今の試合で稼津君が使ったのは2割程度の力で間違いないにゃ〜。」


 「「「「「!!!!」」」」」


 正に衝撃。
 素人目に見ても、稼津斗の実力はプロの格闘家を遥かに上回っているように見えた。
 しかし、それでも2割とは驚くほか無い。

 「それになぁ稼津さんとネギ君の闘いは『男同士の勝負』や。ウチ等が如何こう言うんはお門違いや。」

 更に亜子の一言。
 闘う事を決めた者同士の闘いは、確かに外野が口出ししていいものではない。

 「それに…リング上を見てください。」

 「「「「「?」」」」」

 のどかに言われるままリングを見ると、


 「しっかりしろネギ。」
 「っ!…か、カヅト…そっか負けたんだね僕は…」

 気絶したネギに、稼津斗が活を入れて起こしていた。

 「あぁ…だが良い闘いだった。中々に楽しめたぞ?」
 「でも、マダマダだね僕も。…もっと頑張らなきゃ…」
 「…其の意気や良しだ。この負けを無駄にするなよ?」

 頷くネギを起こし、健闘を称えるように右腕を高く上げる。

 途端に湧き上がる大歓声。
 この武道大会は大成功だといえるだろう。


 『それでは引き続き授賞式へと移らせて頂きます…』


 そして大会は授賞式へ。







 『―――と言うようにどの試合を取っても最高だたネ!
  優勝者の技量は学園最強…否、世界最強と言ても過言ではない!!
  大会主催者として大変満足行く内容だたヨ!
  余りの凄まじい内容に、大会側のやらせでは?と言う疑問も有るだろうが…真相の判断は皆様に任せるネ♪
  選手及び観客の皆様ありがとう!!又の機会に会おう!!』


 授賞式に先立っての超の挨拶は実に見事に観客の心を掴んでいる。
 実際次の開催を望む声も会場のあちこちから聞こえるくらいだ。


 そしてリング上の表彰台には、頂点に稼津斗、2位にネギ、3位に楓と小太郎が。


 『さぁ、大会主催者、超鈴音の手から優勝者・氷薙稼津斗選手に賞金1千万円が手渡されます!』


 「お見事、流石の強さだたよ稼津斗老師。」
 「お前の目的は知らないが…久しぶりに楽しい戦いが出来た事には礼を言うぞ超。」

 お互いに牽制とも取れることを言いつつ賞金が受け渡される。
 と、同時に


 「麻帆良スポーツです!稼津斗選手優勝のご感想は!」
 「賞金の使い道は!?」
 「よし、カメラ動くぞ!」

 麻帆良の報道陣が殺到。
 何時の間にか超は居なくなっている。


 ――…面倒臭いな、時間的には丁度いいか。
 「悪いが取材はお断りだ。…彼女の独占取材が決まってるんでな。」

 それだけ言うと和美をお姫様抱っこしその場を離脱。

 「ちょ、稼津兄!?///」
 「別に良いだろ?2日目はお前とデートの予定が入ってたしな。っと、楓、ネギと小太郎を頼む!」

 その際に楓にネギと小太郎への取材をとめる事も言っておくのは流石。

 取材陣が矛先をネギにと思おうが、既に遅い。
 ネギも小太郎も、楓が抱えて何処かへ行ってしまった。
 他の参加者も同様だ。

 「さ、探せ〜〜!!」
 「記事ネタ逃がすな〜〜!!」

 いつ何時でも取材陣の意気込みはすごいらしかった。








 ――――――








 「か、稼津兄良いの?」

 「何が?」

 会場を離脱した稼津斗は和美を抱えたまま飛行中。

 「いや、超りんの事。」

 「あぁ…俺は『今の所』はアイツを如何しようとは考えてない。
  タカミチもそうだと思うし、爺さんも変な命令を下してもいないだろう。
  ガンドルフィーニ辺りは独自に動きそうだが…ハッキリ言って超を如何にかできるとは思わないし、まぁなるようになるさ。」

 「そっか。…取り合えず、どっかで降ろしてよ。
  流石に司会服のままデートって訳には行かないから着替えてくっからさ。」

 「了解だ。」

 稼津斗がそう言うなら大丈夫だろうと、和美もこの後のデートに思考をシフトさせる。
 尚、降りるまでの間、しっかりと抱きついていたのは言うまでもないだろう。








 ――――――








 同刻、龍宮神社の回廊では超が数人の魔法先生に取り囲まれていた。

 「おやおやガンドルフィーニ先生を筆頭にご苦労様ネ。何用かな?」

 「白々しい事を…!魔法の存在をバラすなんて、何を考えているんだ君は!其れはとんでもないことだぞ!!」

 「フフ、魔法使いは其の存在を秘匿して居るという話は古今東西幾らでも有るネ、其れこそ掃いて捨てるほどに…
  だが逆に問おう、何故に君達は其の存在を秘匿したがるのかな?例えば今大会のような強大な力を持つ個人、
  其れこそ君達が危険視している稼津斗老師の様な存在を秘密にしておく方が社会にとって危険ではないのかな?」

 ガンドルフィーニの一声に怯むことなく、それどころか逆に問いただす超の胆力は相当なものだろう。
 そして言われた教師陣は思わず怯む。

 確かにガンドルフィーニを筆頭とした此処に居る『反稼津斗派』の面々は稼津斗の強すぎる力を危険視している。
 故に、超の一言に思わず納得しかけてしまったのだ。

 「…兎に角君は強引にでも連れて行く!」

 「ふむ、出来るかナ?」

 生じた疑問を誤魔化すように、教師陣は動くが、超は余裕綽々。

 「ふふ、3日目に又会おう、魔法使いの諸君♪」


 ――シュンッ


 口元に僅かに笑みを浮かべ、そのまま消えた。
 其の姿は何処にもない。

 「なっ!消えた…?そんな馬鹿な…」

 後に残るのは静寂と、そして興奮冷めやらぬ会場から聞こえてくる歓声のみだった…
















  To Be Continued… 

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