小説『ネギま Story Of XX』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 「地下に大量のロボットと大型兵鬼か…和美が集めた情報、武道大会での彼是を併せると、超の目的は…」

 「魔法の存在を世間にばらすことで間違いねぇな。ネットの方にも大会の詳細が派手に上がってるぜ。」

 ライブ終了後、稼津斗は会場に来ていた3−Aの魔法関係者を集めて現状を整理していた。
 参加してるのは裕奈と和美と真名とリイン、それから千雨とアキラである。

 亜子はライブ終了後に美砂達に連れて行かれ、ネギは又時間遡行をしたらしいのだ。

 「けどさ稼津君、超りんが魔法をばらすことのメリットって何かあんの?」

 「其れは流石に分からないな。」

 如何に何をしようとしているのかが分かっても、それが『何の為に』かまでは予想がつかない。
 超を『未来人』であると言う事を付加しても、その全容が見えてこないのだ。


 ――あの、稼津斗さん…


 そんな中、突然のどかから念話での通信が入る。
 少し、焦っているようだ。


 ――ん、如何したのどか?

 ――その…ハルナに魔法がばれました…

 「………はい?」

 ついでに、何とも面倒な事態が発生したっぽかった…










 ネギま Story Of XX 35時間目
 『Beginning Of The End』










 ――図書館島


 「ふっふっふ…待ってたわよ稼津斗先生〜…」

 「……ダンジョンに入った瞬間にボスキャラとエンカウントした気分だ…」

 来た瞬間此れである。
 パルこと『早乙女ハルナ』の眼鏡は怪しく光り、目は完全に据わっている。
 それだけ見ると…

 「やべ、パルがジャンキーになっちゃった…」
 「其れも相当重い奴だねこりゃ…」
 「閉鎖施設で隔離治療だな。」
 「5年は出てこれないんじゃないか?」

 そう、一種薬物中毒者の様にしか見えなかった。

 「人を危険人物扱いするな、ソコォォォォォォ!!!」

 「「「「違うの?」」」」

 『ジャンキー以外の何者だ?』と言わんばかりの裕奈達。
 加えてのどか、夕映、木乃香の図書館組もフォロー無し。
 ネギとアクアも視線を外している。

 この場にハルナの味方は居ないようだ。


 「その辺にしておけ。まぁ魔法がばれたのは仕方ないだろうな…あの大会を見てたんなら尚更だ。
  俺は魔法を無理に隠す必要は無いと思ってるんだが……早乙女、お前は何を知りたくて、何を望んでるんだ?
  偶発的とは言え修学旅行のときに危ない目に遭い、興味本位での行動の危険性はあの時みっちりと教えたはずだよな?」

 裕奈達を抑え、稼津斗はハルナに問う。
 確かにハルナは修学旅行の際に、フェイトの石化攻撃を受け非常に危険な目に遭った。

 そしてその翌日に夕映と共に稼津斗からきっつ〜〜〜いお説教を貰っているのだ。
(この時は魔法云々ではなく、勝手に行動した挙句、危険な目に遭った事を叱られた)

 故に、興味本位の遊び半分で未知の事柄に(今の場合は『魔法』)係わればその身を危険に曝す事は理解出来ている筈だ。

 魔法の存在に感づいた事は最早仕方ないが、だからこそ問う『知ってどうするのか』と…

 「ぶっちゃけると『仮契約』とやらで出るマジックアイテムが欲しいってのが1つ。
  今まで知らなかった未知の領域、非日常に触れてみたいってのが1つ。
  で、のどかと夕映、木之香まで係わってんのに私だけが係わってないのは悔しいってのが1つ。
  そ・れ・と!こんなに面白そうな事を知って黙ってられますかい!!
  魔法の危険性はのどかから聞いたけど、楽しい事に危険はつきモンよ!寧ろバッチ来い!!」

 「…よ〜〜〜〜く分かった。」

 若干頭痛がしてきた。
 早乙女ハルナと言う少女は一度走り出したら止まらないと言う事はのどかから聞いている。
 スイッチが入ってる以上『こちら側』の人間になるのを止める事は多分不可能だ。

 「何を言っても無駄だろうな…まぁ良い、3−Aの面々に魔法がばれるのは時間の問題だ。
  だが、係わるつもりならこちら側の事と魔法関係の事はしっかり学んでもらう、其れが最低条件だ。」

 「OK、OK!勿論だって!先生やネギ君が教えてくれんでしょ?」

 ハルナは当然の如くあっさり受け入れた。
 で、

 「ネギ、ちゃんと基本的なことは教えておけよ?」

 「えぇ!?僕が!?」

 基本的な説明はネギにぶん投げた。
 行き成りふられて驚くネギだが、よくよく考えると驚くべき内容ではない。
 要は『魔法云々の基礎』だけを説明しろとの事、その先は稼津斗なりエヴァなりが説明するのだろう。

 更に言うと既に3−Aの半分以上が魔法関係者なのだ、ぶっちゃけ今更1人2人増えたところで何が変るという訳でもない。

 稼津斗とエヴァに至っては『いっそ3−A全員にばらして魔法関係者の特別クラスにしてもいいんじゃないか?』位は思っているのだ。


 が、それはあくまで3−Aの特異性を考慮しての事である。
 超の計画そのものは、全容が不明な点も有るがあまり容認できるものでは無さそうなのだ。





 閑話休題





 「まぁ丁度いいな、早乙女にも少し実物を体験してもらうか?月詠で届く位置に居るみたいだし…行くぞネギ。」

 「へ?行くって何処に?」

 暫し無言だった稼津斗が、ハルナへ不思議現象体験を兼て何処かへ行くと言うが、ネギは何の事かサッパリ。
 裕奈達も首をかしげている。


 「稼津兄、何処に…ううん、『誰』のところに行くの?」

 「決まってるだろ?」

 和美の問に不敵な笑みを浮かべ…

 「超のところさ。」

 行き先を告げた。








 ――――――








 「オヤオヤ…随分な団体さんだネ?稼津斗老師とネギ坊主。」

 「こっちも色々って事だ。お前のおかげで、3−A全員に魔法がばれるのは時間の問題だろうから、その前に少々聞いておこうかと思ってな。」

 「ほうほう…何かナ。」

 瞬間移動で超の元に転移し、行き成り此れである。
 まぁ、少なくとも此処に居るメンバーはハルナ以外は超が何かを企んでいる事は知っているから多くは語らないのだが…

 「単刀直入に聞く。お前、魔法を世界にばらして如何しようって言うんだ?」

 行き成り確信に切り込む。
 が、超とて其れで驚く奴ではない、寧ろその質問は予想済みと言ったところだろう。

 「残念だが、其れは言えないネ。」

 「だろうな。なら別の質問だ。お前の計画は長谷川の様な奴の事を考慮しているのか?」

 「私みたいな奴の事?如何言う事だ?」
 「質問の意味が分からないヨ稼津斗老師?」

 「恐らくは大規模な認識魔法でも使って、全人類に魔法を極自然に認識させようって事だとは思うが…
  長谷川みたいに認識魔法が効かない連中は如何するつもりなんだお前?」

 「!!!」

 思っても居なかった事だった。
 確かに千雨の様に認識魔法が効かない、或いは効き辛い人間は世界規模で見ると可也居るだろう。
 そう言った人間にとっては、突然世界が異常で満たされる事になるのだ、超の計画は。

 「…対策は無いといったら?」

 「この場でお前を倒して計画を潰す。」

 瞬間、稼津斗から闘気が溢れ緊張が高まる。
 一食触発とは正にこの状況を言うのだろう。

 誰1人として動かない……否動けないの方が正しいか?
 もしこの場の誰かが指1本でも動かそうモノならば其れを皮切りに稼津斗と超の戦いが始まるだろう。

 実際にはそんな事にはならないだろうが、そう思ってしまうほどの緊張感だ。


 「そこまででござるよ皆。」

 が、その緊張は楓の乱入で霧散した。
 と言うか、楓が現れた瞬間に稼津斗の闘気が綺麗サッパリ消え去ったといった方が正しいか。

 「…準備できたのか?」

 「バッチリにござる。いいんちょとアスナ殿が中心になって準備すると凄まじいでござるよホントに。」

 「だろうな。なら移動するか『会場』に。」

 「ござるな。」

 稼津斗と楓は話が通じてるようだが、他のメンバーは超も含めこの会話が一体なんのかサッパリである。
 そんなメンバーを余所に、

 「無影・月詠。」

 瞬間移動を発動させ、一瞬でその場を離脱し、




 「到着。」

 着いた先は今は使われていない『第3廃校舎』の屋上、ますます意味が分からない。
 こんな場所で一体何をしようと言うのか?

 「稼津斗にぃ、こんな場所で一体何をする気だい?」

 メンバーを代表する形で真名が聞く。
 普段クールな彼女でも、今の状況は予想の範囲外らしい。

 「何って……図書館から転移する前に説明………してなかったなそう言えば。まぁ、見てもらえば早いか。」

 説明していなかった事を思い出し、しかし見てもらう方が早いと、軽く手を挙げ指を鳴らす。



 ――パタパタパタッ…



 其れを合図に、屋上を区切る様に立てられていた何枚ものベニヤが倒れ、その先から眩い光が溢れる。
 伏兵かと身構える超だが…


 「「「「「「「「「「ようこそ、超りんお別れ会へ!!」」」」」」」」」」

 そこに居たのは他の3−Aのメンバー。
 嘗ては給水タンクが置かれていたであろう場所はステージになり、テーブルが幾つも並べられくす玉まで用意されている。

 「お……」
 「へっ……?」

 余りにも予想外の事に、超もネギも、勿論真名達も驚く。
 此れは一体なんなのかと。

 「如何言う事かな?」

 「お前、古菲に学校を辞めるって話をしたそうじゃないか。どうやら鳴滝姉妹が原因で其れが3−Aの略全員に伝わったらしい。
  其れを知って連中が何もしないはずは無いだろう?俺もお前の所に移動する前に楓から念話で聞いたんだがな。」

 「あ…図書館で少し無言だった時に…。」

 「てことはさっきの問答と闘気は準備が出来るまでの時間稼ぎ…?」

 「半分はな。説明してなかったのは…単純な俺のうっかりだ。悪かったな。」

 何事かを説明するが、この場に一番の主役が現われたとなれば3−Aのメンバーがどうなるかはお分かりだろう。


 「行き成りお別れなんて突然すぎるよ〜〜!」
 「転校ってマジなの!?」
 「何でなんも言ってくれなかったの!?みずくさいじゃん!!」

 あっという間に超を取り囲み事の真意を問い始める。

 「…話は本当ネ。どうしようもない家の事情でネ。」
 ――時間稼ぎ…とんでもないヨ、私の計画を看破した上で問題点を指摘し、挙句の果てにはあの場での戦闘は回避するとはネ。


 質問に答えつつ、超は稼津斗の見事なまでの行動に若干戦慄していた。
 説明だって態としていなかったのだろうとも思っていた。

 勿論、お別れ会の準備をしていたメンバーは超がそんな事を考えているとは分かる筈も無い。
 事が本当だというならやる事は1つなのだ。

 「なら、超りんの新たな旅立ちを盛大に祝うよ〜〜!!」

 即ちお別れ会と言う名の大宴会が始まる訳だ。
 こうなったら止まらない。
 誰が何を言おうと止まらない、それが3−Aクオリティだ。


 「それでは超さんの新たな旅立ちを祝して…乾杯!!」

 「「「「「「「「「「「「カンパ〜イ!!!」」」」」」」」」」」」

 あやかの音頭の乾杯で宴がスタート!
 その内容は……言わずとも想像できるだろう。



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・



 「流石に連続徹夜は堪えたか…。当然だが。」

 大いに盛り上がった宴は終焉。
 時間的にはもう学祭3日目だ。

 稼津斗とネギ、超以外のメンバーは流石に疲れたのか全員お休み中。
 特に2日目の武道大会に出場したメンバーは眠りが深い。

 「いやいや…連日の徹夜では仕方ないと思うヨ?大体稼津斗老師はどうしてケロッとしているのかな?
  ウォッカ、ジン、ラム、ウィスキー、焼酎と夫々1瓶ずつ空けてどうして微塵も酔ってないのヨ!?本当に人間か?」

 「全然平気。マダマダいけるぞ?」

 「「ウソ!?」」

 トンでも発言に思わずネギと超がユニゾン。
 まぁ当然だろう。

 「ところで…超さん、さっきの話は本当ですか?僕の子孫とか未来から来たとか…」

 話題の転換とばかりにネギが問う。
 宴会の最中、『故郷は何処』との質問に『火星』と答え、更に『ネギの子孫である未来人』とまで言ってのけたのだ。
 ネギは超が未来人であることは初耳、それゆえに確認しておきたかったのだ。

 「ハハハ、余りに突飛だから信じてる人は居ないだろうけど…全て本当の事ネ。
  私は『君達にとっての未来』『私にとっての過去』…つまり『歴史』を変えるために来た…其れが目的ネ。」

 「歴史を!?」
 「…矢張りか。」

 「なはは…稼津斗老師は流石に気付いていたか。まぁ世界樹の魔力を使えば不可能な事では無いネ。
  ……2人とも1つだけ質問するネ…。もしも2人がこの『長距離時間跳躍』の力を得たらどうする?
  不幸な過去を変えてみたい……そうは思わないかナ?」

 「…思わんな、少なくとも俺は。不幸な過去をやり直して如何する?『過去』の改変は『今』の否定と同義だ。」

 超の質問を稼津斗はバッサリと切って捨てる。
 逆にネギは何も言えなかったが、その辺は生きてきた時間の長さが違うせいだろう。
 少なくとも稼津斗はネギの80倍以上生きているのだから仕方ない。

 「稼津斗老師はそう言うと思たネ……矢張り貴方はイレギュラーだよ稼津斗老師。
  ……今日の午前中はまだ動かない、稼津斗老師、ネギ坊主…又会おう。」

 「ま、待ってください超さん!」

 言うだけ言うと、ネギの静止も聞かずにその場から消えた…








 ――――――








 場所は変わってエヴァンジェリン邸……の中のダイオラマ球。
 稼津斗を除く3−A魔法関係者は現在この場所に運び込まれて休息中。
 誰よりも早く回復したリイン(回復力促進の為に通常サイズの34cm)が月詠で全員を運び込んだのだ。

 3日目に備えて此処で気力体力を回復しようと言う事らしい。


 「…成程、超の奴め中々どうして面白い事を考えてるじゃないか?
  確かに魔法の存在が明らかになり、其れが一般的になれば先の未来は大きく変わる事になるだろうよ。」

 全員が眠った後、ネギは1人エヴァの元を訪れさっき起きた事を全て話した。
 要するに弟子から師匠に相談といった所だ。

 「で、お前は如何したいのだネギ?」

 「…正直分からないんです。確かに魔法が一般的になる事で得る物も有ると思います。
  でも、カヅトも言ってた事なんですが、それによって苦しむ人が居るなら黙ってみている事は出来ません。」

 「成程。確かにそう言った連中は出るだろうな。
  其れをどうにか出来ないのであれば計画は独り善がりの身勝手に過ぎん。」

 頷き、更に話を進める。

 「それと超さんは『過去を変えたいと思わないか』とも聞いてきました。僕は答えられませんでしたけど…」

 「稼津斗の奴は?」

 「『変えない』って。『過去の改変は現在の否定だ』と。」

 「アイツらしい答えだな。」

 グラスのワインを飲み干し、溜息。

 「本当は静観するつもりだったが気が変った。ネギ、私も力を貸してやろう。」

 「師匠!ほ、本当ですか!?」

 突然だった。
 学祭中の問題事に関しては一切手出しをしないと、エヴァはネギに言っていた。
 下手に手を出すとネギの成長を阻害する事になると思ったからだ。

 其れなのに突然手伝うとは如何いう風の吹き回しか…


 「正直、超には少々失望したよ。奴の考え方そのもの…『善と悪では割り切れない』と言うのは評価していた。
  だが蓋を開けてみれば己の不幸を回避するために『過去を変える』とはな…がっかりだ。
  くくく…私が正面から敵対すると知ったらどんな顔をするかな。」


 どうやらエヴァ的に気に食わない事が有ったらしい。
 しかし、此れでネギ達の戦力は大幅に増強。

 アスナが地下で見たと言う大量のロボットや兵鬼が相手でも負ける事は無いだろう。

 「ところで稼津斗は何処へ行ったんだ?」

 「さぁ…僕には何も言って無かったです。」

 「ふむ…まぁ良い。奴ならば下手打つ事もあるまい。3日目に備え休むとするか。」

 「あ、そうですね。お休みなさい師匠。」

 そう言ってネギは自分に当てられた部屋に。

 「…ふぅ、せめて休む前くらいは名前で呼ばぬか…馬鹿弟子が。」

 エヴァの言った事は誰にも聞かれることは無かった。















 で、ダイオラマ球内部での夜も開け一行は球内部から外に。
 其処からはリインが認識障害付き月詠を使って一気に転移する事になっている。

 「準備は良いか?」

 最終確認。
 勿論全員が『是』だ。

 「では行くぞ…『無影・月詠』!」

 一瞬で一行はエヴァンジェリン邸から消え、一気に世界樹前に転移。




 したのだが…


 「?アレ、何かおかしくない?」

 世界樹広場が何かおかしい。
 余りにも人が少なすぎる。

 それどころか昨日ライブが行われた特設会場も見当たらない。
 昨日までは派手に飛んでた飛行船や気球も見当たらない。
 しかも妙に静かだ……とても学園祭最終日の光景とは思えない。

 「一体何が起きたんや…?」

 亜子のこの一言は誰もが思っただろう。

 「取り合えず現状確認。皆で情報を集めるでござる!」

 先ずは何が起きてるのかを知らなければならない。
 一行はメンバーを分けて情報収集を開始。








 …何か嫌な予感を感じながら。

















  To Be Continued… 

-35-
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