小説『ネギま Story Of XX』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 3−A全員に魔法その他の事をばらした翌日、つまり学園祭終わって最初の通常授業の日。

 登校時間帯に、稼津斗とネギには取材の申し込み&突撃インタビューが。
 その他学園祭(主に格闘大会や最終イベント)で活躍した3−Aメンバーは俄かファンが遠巻きに写真撮影やら噂話やら。

 「いやはや、稼津斗殿とネギ坊主は物凄い人気でござるなぁ…」

 「稼津兄は大会優勝者、ネギ君は大会準優勝者にして最終イベントでラスボス撃破だから当然でしょ?」

 稼津斗とネギの人気は物凄い。
 まるで映画の大スターが来日したかのごとく。

 「凄いものだな…」

 「ま、毎年の事だからね。皆直ぐに飽きるって」



 「なぁあの子…」
 「だよな、ヒーローユニットの…」
 「銀髪のお嬢さん…お近づきになりたい!!」

 学園祭後の毎年恒例の一幕であった。











 ネギま Story Of XX 48時間目
 『美空の愉快な懺悔室』










 とは言っても、押しかけ報道陣に捕まるような稼津斗とネギではない。(ネギは少しばかり驚いていたが)
 適当にあしらい難なく人ごみ突破。(エヴァの無言の圧力の援護が大きな役割を担っていた)

 学園祭後の恒例イベントとしては恐ろしいほど簡単に済んだようだ。
 裕奈やリインフォース達にしても遠巻きに撮影なんかをするだけで直接来る奴は1人も居なかった。

 故に、此れだけの大混雑でも遅刻することなく辿り着けたのだ。



 で、その3−Aの教室では…


 「朝倉…アンタ稼津斗先生とキスしたって本当?」

 「本当。てか私だけじゃなくて稼津兄の契約者は全員してる…よね?」

 「あぁ、このマスターの幸せそうな顔…何度見ても良いものですね…」

 「何怪しげなことしてやがんだこのボケロボォォォォォ!!」

 今まで以上に凄まじい事態になっていた。


 昨日の茶会兼宴会で大いに盛り上がり、日付変わるまで騒いだと言うのに凄まじいバイタリティだ。


 「あう…皆さん少しは落ち着いてください…」

 「其れは…無理だろうな。まぁその内落ち着くだろう。」

 で、担任2人は現状を放置の方向らしい。
 下手に止めに入ると其れは其れで止まらなくなるので、まぁ悪い手ではないだろう。

 「でも、これじゃあHRが…」

 「欠席者は1人も居ないんだ。出欠簿だけきちんとしておけば問題ないさ。」

 大盛り上がりの学園祭直後と言うのも有るだろうが凄まじい事この上ない。
 新田が突貫してくる前に終息したのは『幸運』としか言いようが無かっただろう…








 ――――――








 で、休み時間!
 朝のHR程では無いにしても、矢張りクラス全体が否応無しに盛り上がってしまう。


 そんな中で春日美空は…


 「ま、皆良くやるすね…」

 結構クールに構えていた。
 まぁ、平穏無事に過ごすことが心情の彼女的には『危険な橋は渡らない』と言うところなのだろう。


 「ふぅ…」

 「ん?亜子何か悩み事?」

 …その根幹には『いたずら大好き』がデフォルトで備わっているのだが…

 「え?あー、そゆー訳ちゃうんけど。」

 「何だったらうちの教会に懺悔でしに来ればいーよ。ウチの神父さん評判良いし。クリスチャンかどーかとかあんまし気にしないし。」

 で、テキトーな事を其れらしく言うのも得意中の得意。
 まぁ今の発言はテキトーであっても悪意は無いのだが。

 「懺悔かー…ちょっと違うかな。考えとくわ。」

 「みそらー懺悔ってなんですかー?」

 「え?何って言っても…」

 しかしながらテキトー故にこのように聞かれると詰まる。
 仮にもシスターなのだから『懺悔』の意味くらいは知っておいて然るべきなのだが…

 「ネギせんせー、稼津斗せんせー懺悔って何?」

 分からない事は先生に聞く、此れは基本。

 「え〜…懺悔と言うのは『告解』とも言ってですね、自分の罪を悔い改め、其れを神父様に聞いてもらって神様にお赦しをもらうことなんです。」

 「端的に言うなら自分がした悪い事を神父さんに言って、神様に『ゴメンナサイ』する事だ。」

 説明のしかたは二者二様。
 双方間違いではない。

 「えーーー!じゃあどんなイタズラしても許してくれるですかーーーー!?」
 「神様ふとっぱらーーーー!」

 「あの、そういう考えは拙いんじゃないかと…」
 「『仏の顔も三度まで』って言葉も有るしな。」

 騒がしいが概ね平和である。








 ――――――








 そして放課後。



 *此処から暫く美空視点


 しっかし、学祭の後は学校もおつとめもかったるい事。
 おまけに昨日はとんでもないこと聞いちゃったしね。

 あはは、何すか不死身に吸血鬼って…
 しかもエヴァちゃんが『闇の福音』御本人とかマジで何すかねー。
 魔法界じゃナマハゲ扱いされてる伝説の有名極悪人がクラスメイトとか有り得ねースな。

 コラ卒業まで大人しくしてる方が身のためスね…

 「ま、卒業までは大人しくしてりゃ問題無い訳だし。ま、適当にやりますかね♪」

 「でもミソラ楽しそう…」


 退屈だけは無いスから。


 ――ガチャ。カタン…ガタッ


 ん?
 ……朝倉ーーーー!?
 え?何で朝倉が此処に!?あ、今日教室でテキトーなこと言ったからか?


 「あの良いですか……てかそっちに居るの美空ちゃんだよねぇ?」

 「え!?何故分った!?」

 「気配で。私の気配察知能力は稼津兄のお墨付き♪」


 マジか?
 いや、人間超えてるってか…あ、既に人間じゃ無くなってるスな朝倉…

 「で、如何したの懺悔室(こんなところ)に来て?」

 「ん〜…ま、美空ちゃんなら逆に楽か。悩みみたいなモンなんだけどさ…私、てか私を含めた稼津兄の契約者って女としての魅力無いのかね?」


 ………はい?
 いや、アンタ何言ってんの?


 「だってさ、略日替わりで稼津兄のところに泊まり行ってんだよ?1人1泊状態で!
  それ以前に2年間も特殊空間で一緒だったのに、其れなのに……只の一度も襲ってこないって此れどう言う事!?」

 「オメーの脳味噌が如何言う事よ!?」

 何考えてんだよアンタ!?
 え、つーかマジ?本気!?そっち行っちゃうの!?


 「いや、やっぱ好きな人とはね〜…。行き成り襲われたらアレだけど、何もないと逆にさ〜。学祭で漸く初キスだし。」

 「あ〜…アレじゃないすか?『教師と生徒であるうちは』とかそういうの?やっちまって、ばれたら稼津斗先生懲戒モンすよ?」

 「あ、言われてみればそうか。」


 気付け〜〜〜!アンタ曲がりなりにも成績上位組なんだからさ!

 「大体焦る事ないんじゃないスか?アンタ等相思相愛でしょうに…」

 「そっか…焦る事ないか。サンキュー美空ちゃん。聞いてもらうだけでも良いモンだね。」

 「そっすか。」

 なら良かったスよ。
 私はアンタの頭の中が意外とピンク色だった事に驚いたけどね…



 しかし待てよ…?此れはバレナイ様にさえすれば意外と面白い事が…?
 やっべーな…久しく錆付いてた悪戯魂がふつふつと…



 ――ガチャ、カタン…



 お、又新たに!!


 「…失礼します。」


 今度はアキラ〜!?
 え、なに?ウチのクラスはこんなに悩み持った奴多かったの!?
 …とりあえず認識障害とボイスチェンジ掛けてと…

 「ゴホン…どうぞ、如何なされましたかな?」

 「実は…その、自分の無力さって言うのを思い知らされてしまって…」


 無力さて、アンタ学祭最終日イベントぶっちぎりだったじゃん!
 あ?いや、稼津斗先生と超りんが死んだとか言う、無かった事になった未来での話しか。


 「私の親友の大切な人が、その…ちょっと大変な事になって。結果的には何とかなったんですけど…大事な時には何も出来なくて。」

 「ふむ…其れでご自身を無力と。」

 んなこたぁ無いと思うけどねぇ…既に稼津斗組が人外魔境すぎんだと思うよ?
 アキラだって一般人レベルなら最強レベルだと思うスけどね。…下手すりゃ魔法関係者でもトップクラスかも知れねスな。


 「その人は私にとっても色々お世話になってる人で、尊敬もしてて…其れなのに…」


 …………
 あははははは、いや大丈夫すよ!フツースよフツー!
 生真面目だなアキラは〜!!!
 んなの誰の責任でもないっての!!


 「え?あの――神父様、今の…?其れにアキラって…」

 「ああっ!?いやゲフンゲフン…いやいや、成程苦悩されてますな。そのての感情は人として誰もが持つものでしょう。」

 あ、アブねー…ばれるとこだった。

 「寧ろそう行った感情が無い方が不自然でしょう。ですが――あまりご自身を卑下なさるのは良くありませんなぁ。」

 「え…?」

 「貴女は立派にご自身のすべき事をなさったのではないですかな?その御友人の活躍が凄すぎて霞んで居るだけで。
  もっとご自身を褒めてあげなさい。役にたった、たたなかったではなく己のなした事に誇りと自信を持つ事です。
  貴女は無力などではありませんよ――学園祭の最終日にあれだけ大活躍していたではありませんか。」

 結果的にアンタの大立ち回りが世界樹防衛の要だった訳だからね。
 ぶっ壊れた未来とやらでは単に出番が無かっただけでしょ、周りが凄すぎで。
 つーかこりゃアキラ間違い無く稼津斗先生に惚れてねーかね?無自覚っぽいけど。いっそ契約しちまえばどうスか?多分大丈夫だと思うよ?


 「あ…。…はい、ありがとうございました。」



 ………
 うはははは!こりゃスゲーや!
 アキラみたいな深刻な悩みは困るけど、此れはオモシレー!もっと誰かこねーかな!?


 「ミソラ、今の…」

 「ん?何時も神父様がくどくど言ってたの並べてアレンジして言ってみたんだけど拙かった?」

 「割と悪くなかッタ…カモ。」


 こりゃ本腰入れてやってみるか!


 *美空視点終了








 ――――――








 ――翌日


 「アキラ〜、教会どうだった?」

 「凄く良かった。神父さんも良い人だったし。」

 「へ〜〜、私も行ってみようかな?」

 クラスでは、アキラが昨日教会に行った時の感想でちょっとザワツキ気味。
 クラス中で噂になるくらいには話題になっているようだ。


 其れにほくそ笑んでいるのは当然美空。
 きっと心の中では『大漁大漁』とか思っているのだろう。







 あ、と言う間に時は進んで放課後。



 *再び此処から暫く美空視点!


 さぁ〜て今日も皆の懺悔を聞いちゃおか!
 ん?ココネ、如何してこんなことするかって?そりゃ皆の力になりたいからに決まってんじゃん!
 因みに今日はボイスチェンジに加えて幻術も使用!バレル心配ありません!


 「天罰下ると思ウ…ミソラ。」

 「ま、誰かに迷惑掛ける訳じゃないし。」


 ――コンコン


 お、早速♪


 「こんにちわ〜。」


 お、ゆーな?
 つーと稼津斗先生がらみか?


 「実は好きな人が居るんですけど、その人一人暮らしだから料理くらい出来た方が良いだろうと思うんですよ?
  其れで料理教えてるんですけど、幾ら教えても一行に上達しないんですよ〜。何か良い解決法無いですかね〜?」


 いや、其れ懺悔室で言う事じゃねーし!
 てか稼津斗先生料理できねーんだ。

 「人には得て不得手というものがありますからなぁ…参考までにどれほどの腕前で?」

 「前にカレー作らせたら鍋の中で具材と調味料が化学反応起こしてたんですよ〜。」


 どうやったらそうなる!?

 「…失礼ですが諦めた方が宜しいのではないですかなぁ…。貴女が作って差し上げた方が安全かつ安心と思いますよ?」

 「あ〜…やっぱり其れしかありませんか。じゃあ、其れとは別に…」


 未だなんかアンの?


 「最近胸が大きくなってきて運動の邪魔で―――」


 呪殺すんぞ即席ホルスタイン!(怒)いいな、ちくしょ〜〜!









 「失礼します。」


 お?今度はいいんちょ?


 「その、誰にも言えない悩みを抱えていて…」


 深刻そうだね〜、世間知らずのお嬢様にも悩みが?意外と苦労性だしな〜…


 「実は私…『ある方』への愛が溢れて止まりませんの!あぁ、愛は罪!!」


 ソレ皆知ってるよ!!

 しかしこうしてみるとネギ君モテモテだね〜。
 いや、稼津斗先生も相当か?



 「失礼するヨ。」


 お、超りん?


 「肉まんで世界征服を目論むのは悪い事かナ?」

 「いえ、その美味なる肉まんであれば問題ないので是非!」

 てか出来たらアンタはノーベル平和賞間違いねーよ?
 …後で超包子に食いにいこ。









 「うちのネコが壁で爪研ぐんです〜。困ってて〜〜。」

 「ペット相談所じゃないから。」





 「駅前のまつ屋が移転しちゃって…」(泣)

 「ソレは辛いですなぁ…わかります。」





 「10歳の少年の性への興味は如何程でしょう?」(超真剣)

 「何の話をしている。」





 「双子の姉とも言える存在が、超人的メ蟹ックと結ばれたかどうか気になるんだが…」

 「知らないよ。てか超人的メ蟹ックってだれ?」





 「悩みが思いつかなくって〜〜。」(マジ泣)

 「帰れ。」





 「あの、ちづ姉が葱を…大量に…」

 「強く生きてください。」





 「お揚げ〜〜〜〜♪」

 「飼い主に頼め。もしくは亜子か?」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・


 アハハハハおもしれ〜〜!やめらんね〜〜〜!
 流石はウチのクラス、まともに悩んでる奴が殆ど居ねー!!

 「ま〜、こんな連中を受け持ってる教師2人は来なかったけど。」


 ――コンコン…


 「失礼するぞ?」

 「!?」

 噂をすれば!?
 稼津斗先生…最強戦士にも悩みは有るかねやっぱし!


 「格闘技をやっているんだが……俺よりも強い奴に会いたい。」


 そら無理ですがな!!
 いや、アンタ自分の強さを自覚しろや!いや、してんだろうけど。
 現状地球上にアンタより強い奴なんて全人類と野生生物合わせたって存在しないっての!


 「将来有望な少年が2人ほど居るんだが流石にマダマダで…」

 「大会を拝見しましたが圧倒的でしたからなぁ…現状では無理ではないですかな?」

 つーかアンタ不死身なんだから気長に待てよ!
 100年くらい待てば出て来る……かどうかは保障出来ないスけど…(汗)


 「矢張りか…仕方ないな。まぁ、鍛錬は続けるが…」


 アンタ何処まで強くなる気だよ!?
 生徒が普通じゃなけりゃ教師もフツーじゃねぇスな。
 つか、強いと強いで悩みもあるのか…

 アンタには朝倉やゆーなはじめ良い仲間が居るから大丈夫でしょ。

 「つってもまあ私はメンドイからこれまで通り無関係でいさせてもらうけどね〜〜!!」


 ――コンコン


 「失礼します。」

 「おっと、フォフォフォ何でもお聞きしますぞい♪」

 「……」((( ゜Д゜)))ブルブル


 どったのココネ?


 「ええ、神父様…たっぷりお話を聞いていただきますわ…」(激怒&極怒)


 シスター・シャークティーーーーー!?



 *美空視点終了……ついでに美空終了…








 ――――――








 「アレ、カヅト?」
 「兄ちゃん、こんなとこで何してんねん?」

 「ネギと小太郎か。いや、少しばかり神父様とやらに悩み事をな。」

 懺悔室を出た稼津斗は、外でネギと小太郎の『好敵手コンビ』とばったり。

 「兄ちゃんにも悩み有るんか?」

 「まあな。その悩みを解決する為にも…2人とも強くなってくれよ?お前達の成長には期待してるんだ。」

 「「??」」

 言われた事の真意は解らず『?』なネギコタコンビだが悪い気はしない。

 「…何や解らんけど言われんでも強くなったるわい!」
 「大会でのリベンジは何時か果たすから!」

 「楽しみにしているぜ。」

 そしてこの2人は子供ながらも男の子。
 負けん気は誰よりも強い。

 しかも遥かに強い存在から『成長を期待』『楽しみ』と言われれば、ソレは燃えるだろう。



 ――ドガァァァァァァン!!



 「「!!?」」

 「あー…矢張りこうなったか。」

 で、突然の爆音。
 発生源はさっきまで稼津斗が居た懺悔室の有る教会から。

 「え、あ、何!?」
 「て、敵襲かい!?」

 「…気にするな。1人の謎のシスターが地獄の端を垣間見てるだけだ。人払いも完璧の上でのお仕置きとは…中々やるなミス・シャークティ。」




 「予想通り…」
 「もうしませ〜〜ん!」(泣)


 悪戯は一度はすべし、されどやり過ぎは危険也。
 今回の一件における重要な教訓であった…














  To Be Continued… 


 

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